孤高なゾウ

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諸葛亮孔明1900

諸葛亮孔明1900

Category

Jan 25, 2009
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カテゴリ: Finality

・・・紅の日差しが・・・

空と海の境い目に沈みきると

砂浜に長く伸びた4本の足影も

その闇の中に形を溶かし・・・同化した

・・・月は出ていなかった・・・

・・・そう・・・

・・・初めて触れた【さざ波】の時と同じ夜空・・・

ただ寄せ返す波の音だけは

静けさを失うことは無く

延々と耳に流れ込んで来た

・・・その音に耳を傾けながら・・・

両脇に松葉杖を挟さみ

カカシのように立ち尽くし 

変わりようの無い現実を確かめる

 ・・・これでいい・・・

・・・正しい事を・・・

・・・正しい事をしているのだ・・・

この頼りないひと滴の道徳心と

狂おしく・・・愛しい

静寂の海と過ごした僅かな思い出と引き換えに

・・・もう見つめる事も・・・

・・・触れる事も・・・

・・・望む事さえできない・・・

ゆらゆらと・・・さ迷い続ける

無力さと・・・空しさを抱え

・・・これから訪れる・・・

・・・長い・・・長い年月を生きてゆく・・・

・・・静寂の海の・・・

無邪気で優しく

真直ぐな笑顔を思わせる表情と

・・・その輝きと透明さが永遠に続く事だけを願いながら・・・

・・・・包まれた闇の中・・・・

今はもう無意味となった

選ばれなかった方の【覚悟】が

・・・もしも選ばれた時に伝えたかった・・・

・・・ずっと心の奥に秘めていた言葉を・・・

誰にも聞こえないように

打ち寄せる波の音に紛らせ

・・・静かにつぶやく・・・

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

そして欠けた足先に手を伸ばし

・・・優しく巻かれた緑の包帯を・・・

・・・一枚・・・

・・・一枚・・・

・・・丁寧に剥がし始める・・・

・・・最後の最後まで心に張り付いた・・・

・・・僅かな望みを取り除く様に・・・

Fin




SPECIAL THANKS: Yumenohashi & milky1017
















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Last updated  Feb 16, 2009 10:29:20 AM


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