自分らしく生きる

2019.10.23
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第2章 

16 自立=自発=独創=生きがい

 あなたは自立できていますか?
 本書でいう自立は、経済的自立のほか精神的自立を意味します。
 そのためには、仕事をもち、収入の道をもつことはもちろん必要ですが、それだけでは十分とはいえません。
 大企業や官公庁に就職したり、かりに自分の店や事業を経営して、一応は経済的に自立してるように見えても、「この組織がなくては生きて行けない」「上司(特定のボス)ににらまれたら終わりだ」というような気持で仕事をしていたら、自立していることにはならないのです。
 また、上司やだれか有力者の指示がないと何もできない、判断できない、というようでも自立しているとはいえません。
 このように考えると、この社会には、自立できていない人がいかに多いかがわかります。
 それでも、すべてが順調に行っている間はよいのですが、何か変化が起きたり、トラブルが発生すると、自立できていない人は戸惑い、うろたえるのです。
 たとえば、組織のボスが失脚したとか、有力取引先が倒産、不振に陥った、という場合もそれに当たります。前に事例で紹介したK社(12項)も、親会社が海外へ生産拠点を移設してから途端に窮地に立たされるようになったのですが、このケースも一時的には羽振りがよさそうに見えても、自立していないと個人も会社も、非常に不安な状態にあるといったことを示しています。
「自立していないと本当に幸せとはいえない」というのは、こういう意味なのです。
 つまり、これをもう一歩突っ込んで具体的にいうと、
・企業は、CIコーポレイト・アイデンティティ、個人はPIパーソナル・アイデンティティをもちなさい
ということになります。
 さらに、日常いえることは、「何ごとも、自発的にやること」が非常に大切です。
 公務員や大企業に勤めると、何ごとも上からの指示や前例や規則に従って、仕事をするクセがついてしまいます。組織人としては、ある程度やむを得ないことですが、こういうクセがつくと、自分で考える、工夫する、ということができなくなります。先ほど述べたように「日本の若者は考えることができない」という現象には、以上のような背景があるものと思われます。

「自分は何をすべきか」がわからない人々
 今、どこの行政機関、民間企業でも、行き詰まりが見られ、突破口を見い出すことに必死です。こういう時には、「自発的にものを見、考え、行動できる人材」が貴重な存在になってきました。しかし、これまでの、無難主義、事なかれ主義、もたれ合い、なれ合いの中で育ってきた指示待族には手も足も出ないのです。
 数年前、ある地方行政機関の幹部研修で、「自分で、自分と職場の問題を発見し、解決策を考えなさい」という課題を与えたところ、
「どうしたらいいかわからない」「こんな研修ははじめてだ」「講師は何も教えてくれない」等々の反応が返ってきました。
 私が「今の環境は、自分で自分の問題を早く見つけ、先手を打って行くことが必要」と説きますと、
「これまでの研修では、講師から、テーマが与えられた」という答が返ってきたのです。
 これに対して私は、
「皆さんの立場は、それぞれちがうし、それぞれの立場によって、かかえている問題もちがうはずです。私から与えたテーマに一般論で答えてもらっても、あまり役に立たないでしょう」と説明し、ようやくわかっていただけたようでした。
 それ以来、この県の幹部研修ではこのやり方が定番になり、むしろ、こういう能力でなければ、現代、未来には通用しない、ということが定着することになりました。
 あらゆる職場、組織、環境で、このような認識が必要だと思います。
 それに、研修に限らず、ごくふつうに考えていただいても何ごとも人から押し付けられたり、人から指示されてやることには、熱が入らないし、それほどおもしろくない。これはだれにでもすぐわかるはずです。それなのに、一般のサラリーマンは、なぜ、自発的にものごとに取り組もうとしなくなったのか、これは、組織で、人の評価が減点主義だったことも大いに関係しています。「何か、新しいことを意欲的にやっても、失敗すると減点になる。それなら、何も手を出さず、黙っていた方が、減点が少なく、早く出世できる」という風潮が、あらゆる組織に蔓延したのだと思います。
 しかし、そういう生き方からは生きがいは生まれてきません。
 自立するためには、自発的にものを考え、行動することが必要です。自発的に行動すれば、独創性、アイデアも生まれ、そこからは生きがい、やりがいも生まれてくるでしょう。職場内外の問題を解決するためだけでなく、おもしろく、生きがいのある人生を過ごすためにも、自立、自発は、不可欠なのです。






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最終更新日  2019.10.23 06:17:00
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