夏休みの宿題といえば 読書感想文 。
今年も通級の子が読んでいる本を僕も読んでみました。
(▼去年は 課題図書『クジラと海とぼく』のことをブログに書きました 。)
6年生の女の子が選んだのが、これ。
『
女王さまがおまちかね』
(菅野雪虫/作 うっけ/絵
、ポプラ社、1300円)
物語の状況設定が、
ちょうど夏休みの、
しかも、「読書感想文が書けなくて困っている」というところからスタートします。
まさに、今この時期にピッタリの設定です。(^^;)
そしてその後、本好きの「女王さま」をめぐるファンタジーのお話として展開する。
物語の筋立てとして、非常に面白いのですが、
物語についてはここではふれません。
この本の中で何度か出てくる「 感想文の書き方
」が印象的だったので、
それをメモっておきたいと思います。
第3話「3つの作文」で、非常に頭のいい子が
「読書感想文は本を読まなくても書ける」と主張し、
実際に3冊の本で3つの作文をスラスラと書いてしまいます。
いわゆる「パターンにはめて書く」という典型で、
これが非常によくできており、「確かにこの通り書くと学校の先生から"よく書けました"とほめられそうだ」
と思いました。(^^;)
もちろん本を読まずに書くことを推奨しているわけではないのですが、
物語の終わりの方で主人公のお姉さんが言っていることは、
けっこううなづけるものでした。
「これは、人に『こういう本を読みました』って伝える文章の仕組みとして
よくできてるわ。
まずつかみで、どういう内容の本かすぐにわかるし、
書き手がどういう人間かもわかる。
そして『自分は今までこうだった』っていう考えが、
本を読んで『こうなった』っていうのもね」
(p214より)
「感想文」とおおざっぱな言い方で言ってしまうと
何を書いていいかわからない。でも、上のように要素を具体的に挙げていくと、
「そういうことを書けばいいだけか」と、ラクに書けるのはあると思います。
また、「お姉さん。まねでもいいの?」という子どもたちの質問に対してのお姉さんの答えも、うなづけるものでした。
「勉強はなんでもまねからよ。
特にゆいちゃんたちはまだ小学生なんだから、
基本を身につける時期でしょ。
これを写して型をつかむといいわ」
(p215より)
全面的に推奨はしませんが・・・。
さて、この本は「文章を書く」ということがテーマになっており、文章を書こうとしている者にとっては「書くヒント」がいっぱい詰め込まれています。
物語の中盤で「共作の意義」「表現をふくらますということ」についても書かれています。
作中のある小説家のセリフです。
「私ならただ 『いい天気だ』としか書けないところを、
彼女は 主人公たちの気持ちに合わせて、
うきうきするような空の色や風のにおいを語れる。
私が、ただ『マヤは家に帰った』と書くところを、
彼女は 冒険を終えた少女のほこらしい気持ちや、
ようやく大好きな家に帰れる子どもの気持ちはこうだと 教えてくれる。
そんな彼女のアドバイスをとり入れながら書くと、
本当にしっくり書くことができたんだ」
(p150より)
僕は昔から書くことが好きですが、気持ちを入れて表現をふくらますということが苦手でした。
「色」や「におい」なんて表現は絶対に出てこなかったです。
だからこそ、「こう書けばいいのか」と、「書くヒント」を教えてもらった気がします。
最後に、最終章で印象に残ったところを、少し長くなりますが、引用します。
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世の中には、好んでふつうの服より面倒な和服やドレスを着る人もいる。
そこまでいかなくても、
みんな着心地には関係ないはずのファッションにはこだわる。
「そういうもんだろ。
家だって、車だってさ。
みんながみんなオートロックマンションに住んで、
ハイブリッドカーにのりたいわけじゃない。
わざわざ古い家に住む人だっているし、
クラシックカーにのる人だっているんだ」
「そういうもんか」
「なるほどね」
ゆいは想像した。
すごく便利なものを使う人もいれば、わざと不便なものを使う人もいる、
様々な選択肢がある、
まだだれも見たことがない未来の生活を――。
(いまだって、パソコンや携帯の画面で物語を読むのが好きな人もいれば、
紙の本を読むのが好きな人もいる。
いろいろなものを好きな人がいて、
それぞれのやり方を楽しむ人がいるんだ)
ゆいは、保冷バッグをリュックにしまいながら、結局使わなかった
『これでラクラクだれでも書ける読書感想文』を見た。
(あたしが好きな本を嫌いな人もいるし、嫌いな本を好きな人もいる。
こういう本で、ほんとに感想文を書ける人もいるんだろうな)
(p224-225より)================================
感想文をまったくの独力で書くのもよし、感想文が得意な人の力を借りるのもよし。
「選択肢はいろいろある」
このことには、非常に共感できたのでした。

ありがとうございます。![]()
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