救命法全般に関する用語説明

救命法にまつわる様々な語句の説明

市民レベルの救命法(BLS)を取り巻く環境を理解するのに知っていると便利な知識の解説です。
ひとつも知らなくても救命法は実施できますが、参考程度に知っておいてもいいでしょう。





AED
Automated External Defibrillator 自動体外式除細動器


AHA
アメリカ心臓協会の項を参照。


ALS(ACLS)
Advanced Life Support または Advanced Cardio Life Support の略。二次救命処置と訳される。生命が危機的状況にある傷病者に提供するべき処置。主な提供者は医療従事者である。


BLS
Basic Life Supportの略。基礎生命維持法あるいは一次救命処置と訳される。生命が危機的状況にある場合に提供するべき処置をあらわす言葉。主な提供者は一般市民である。


CPR
Cardio Pulmonary Resuscitation の略。心肺蘇生法と訳される。心肺機能が停止か著しく低下した傷病者に提供されるべき、各種技術。一般的に手技を中心にした技術で、一般市民でも行える方法をさすことが多い。


DNAR
Do Not Attempt Resuscitate の略。日本語の意味は「蘇生を試みるな」。
無駄な延命治療を拒否するための患者の権利でもある。
以前はDNR(Do Not Resuscitate:蘇生拒否)と呼んでいたが、これではあたかも拒否しなければ蘇生がいつでも成功するような印象を与えてしまう問題点を持っていたことから、DNARと呼ぶよう、AHAは提唱している。



EBM
Evidence Based Medicine の略。根拠のある治療と訳される。医療の世界は権威のある教授などがひとこと言うと、疫学的調査、十分な検証、統計学的精査を経ずに治療方針となってしまう傾向が強いと言われている。
この傾向に歯止めをかけるために生まれた言葉・概念。あらゆる治療は疫学的・統計学的に精査された上で行われるべきだという考え方に基づいている。


PAD
 Public Access Defibrillator の略。「市民による除細動」と訳される。国際ガイドライン2000によって導入された概念。消火器のようにAEDを町中にばらまくことによって、救命率を上げようとする試み。アメリカシアトル州・ワシントン州での成功事例が有名。





アメリカ心臓協会
 American Heart Association (AHA)。米国最大の医学会。心肺蘇生法と心血管治療に関する研究については、世界最高レベル。


医師法第17条
 医師でなければ、医業をなしてはならない。


一定頻度者
 特定非医療従事者と全く同じ意味で厚生労働省通達で使われている言葉。





訓練用人形
 心肺蘇生法の練習用に必要な人形。重要なのは、性能よりも台数。人形一体に付き、何名の受講生が練習することになるのか。これが1:10以上だと、訓練効果は著しく落ちる。最大でも1:6以下に抑えるのがこつ。救命クリニックでは1:3以下を社内規約で遵守している。


厚生労働省通達
 2004年7月、厚生労働省医政局から通達されたAEDの一般市民利用解禁に関する文書。従来は医師やその指示を受けた救急救命士しか使えなかった高度医療機器の一般市民利用を許可した点で、極めて画期的な通達である。背景にはアメリカ心臓協会が発表した国際ガイドライン2000において市民によるAEDの利用の促進が重要視されたことがある。
 この見解を元に、現在AEDは医療機器としては極めて例外的な爆発的な勢いで日本国内に広まりつつある。


国際ガイドライン
 心肺蘇生と心血管治療に関するコンセンサス。2000年と2005年に出たものが特に有名。情報の主な発信源はアメリカ心臓協会。日本はもとより世界中の心肺蘇生指導法を劇的に変更させることになった、EBM(根拠のある治療)ベースの治療方針集。


根拠のある治療
EBMを参照。




市民による除細動
 PADの項目を参照。


心室細動
 心臓に細かいけいれんが起きて、ポンプ機能が失われる重篤な不整脈の一種。全身に血液を送ることが出来なくなるため、数分間続くと死に至る。心臓が力強く動くことを止め、細かく震えてしまっている状態。
 心臓突然死の原因の多くが、心室細動。治療にはAEDの活用が有効だが、措置が1分遅れると救命率も7%から10%低下するため、素早い対応が必要。


心停止
 心臓が細動状態で効果的に動いていないときの状態を心停止と呼ぶ。触診で脈を感じることは出来ない。
 この状態は心臓発作などで倒れた場合3分~5分ほど続く。そしてほとんどの場合そのまま心静止に移行する。AEDが使えるのは心停止の間だけである。


心静止
 一般に心臓が止まってしまって、心電図が水平に一本の線になってしまった状態を心静止と呼ぶ。この状態になってしまったら、さすがのAEDも使うことが出来ない。ひたすらCPRを行うのが最善の手段となる。


除細動
 細動状態になってしまった心臓のその細かなふるえを取り心臓の機能を正常に戻すためのあらゆる手段・行為のこと。事実上AEDが唯一無比の効果をあらわす。





特定非医療従事者
厚生労働省通達の中で、AEDを使用するに当たって講習の受講が必要であるとされた職業に従事する人。運輸機関、アミューズメントパーク、デパートなど、人の出入りの多い施設に働く従業員と考えられる。





日本蘇生協議会
 国内の心肺蘇生法のスタンダードを策定する団体。実際は以下の10の学会と4つの関連団体の複合組織。

【学会】
日本循環器学会、日本ACLS協会、日本救急医学会、日本歯科麻酔学会、日本小児科学会、日本集中治療学会、日本蘇生学会、日本麻酔科学会、日本臨床救急医学会、日本小児集中治療研究会

【関連団体】
日本救急医療財団、日本医師会、日本赤十字社本社、全国消防長会 救急医委員会





バイスタンダーCPR
Bystander CPR その場に偶然居合わせた人によるCPR。心停止時の救命率アップにはバイスタンダーCPRが欠かせない。





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