** 長島便り **

2004/02/05
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テーマ: 韓国!(17920)
カテゴリ: カテゴリ未分類
ある年のバレンタインデーの出来事を書きます。


当時私は東京にある、某国の大使館に勤務していました。
どこの国の大使館もみなそうですが、私の勤めていた大使館は警備の硬さはピカイチでした。

郵便物は、全て事前に送り主から「○月○日○時に○○便で○○が○個○○に入って届きます」という通知が無ければ郵便やさんがせっかく配達に来てくれても、門前払いで郵便局にお持ち帰り頂き、返送という厳しいシステムでした。

そんな厳しい警備の職場に、その年のバレンタインデーにお花屋さんが、両手に抱えきれぬくらいの真っ赤なバラの花束を持って現れてしまったのです。差出人の住所はニューヨーク。これはとっても怪しい。花束受け取ったら爆発するかもしれない。大使館の警備はさぞや警戒したことでしょう。そして、ますます怪しい事に、受取人の名は私Kang。

私はその頃、夫と入籍したばかりで結婚したことを知っている人は限られており、それ以前にも交際している人がいるという話を職場でしたことがありませんでした。だからその私にバラの花束が届くというのは非常に不自然なことだったのです。

私のオフィスに警備から電話が入りました。
警備の人:「あの、お仕事中すいませんが、今日花束なんて受け取る予定ありましたっけ?」

警備:「そうですか。じゃ、△△△さん(夫の名前)って方ご存知です?」
私:ウソでしょ。。。「。。。ハイ、私の夫です。」

もう本当に恥ずかしかった~。
とにかく大使館の決まりなので、まずは送り主に確認の電話を入れて、「送りましたか?」と聞きました。送り主の夫はこれまた照れくさそうに「はい、送りましたよ、ハッピー・バレンタインヂュデー。うふふふ~」と笑っている。。。あなたね~、嬉しいんだけど困るのよ~。と言いたかったけど、やっぱり嬉しい気持ちが勝ってしまって言えませんでした。

仕事中でしたがボスに断りを入れて、大使館の外に出ると門の前で花屋の配達の方が寒そうに待たされていました。お詫びを言って受け取りのサインをして館内に戻ります。本来ならここで警備に金属探知機やX線のチェックを受けるのでしょうが、警備の人も事情を飲み込んで下さって「いいですね~。僕ら日本の男はこんなこと絶対にしないですよ、わっはっは」と笑って通してくれました。かたじけないです。

こんなに大きな花束を持ってオフィスに戻るのが気恥ずかしくてしばらく警備の人と立ち話をしてから意を決して階上の自分のオフィスへ戻ったのですが、道すがらすれ違う外交官達の冷やかしに、私の顔も真っ赤だったと思います。

日本ではバレンタインデーといったら「女性が男性に」物を送るのが一般的なので、職場の日本人の女性達からは「いいわね~」の嵐。

花束に添えられたカードにも、これまた顔から火が出そうな文句(ここにはとても書けません)が書かれており、私はつくづくこう思った。
ああ夫よ、あなたもやっぱり「東洋のラテン人」”韓国人”だったのね~!と。

どんなに流暢な日本語を話しても、こんなこっぱずかしい事が出来ちゃうなんて、あなたも立派な韓国人だわ。夫と初めてカラオケに行った時に歌ってくれた「SAY YES」も、もしかしたらもっとシリアスに聞いてあげたほうが良かったのかしら? 私も国際結婚したんだなぁ、と実感しました。

そして、その日は丁度、仕事の帰りに週に一度の「韓国語教室」に行く日でした。そこでもまたクラスメート達からの「スゴイですね~」「いいわね~」「羨ましいわ~」「素敵ね~」のお言葉にもう顔が上げられないくらい照れくさい思いをしました。



韓国人の彼がいる方で他にも「初雪コール」をもらったことがある方は本当にいるのでしょうか?

その日の家路は、電車の中で、チョコレートが入っているらしい紙袋を持つ男性達の横で、なぜか巨大な花束を両手に抱えて揺られる私。ブーケを包むフィルムは誰がどう見てもバレンタイン模様なので、女性にモテちゃう女性だと思われたら嫌だな。。。なんて思いながら帰路に着きました。

今年もバレンタインデーが近づいています。
先日ちょっと早めの贈り物で、私がずっと欲しがっていたイーゼルを買ってもらいました。
イベント事にはめっぽううとい私。今まで夫に何もしてあげなかったけど、今年はどうしようかな。。。







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最終更新日  2004/02/10 01:24:43 AM


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