素顔のままで

素顔のままで

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2017.05.13
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カテゴリ: カテゴリ未分類
私の勤務する介護施設。

そこに入所されている重度の認知症の男性、ヤスオさん

とても頭がよくて、お若い頃はアメリカでお仕事をされていたそうです。

背が高くて、穏やかで、紳士。

娘さんがいます。


入所された頃は、ご自分が認知症の診断を受けたと話されていました。

いろんな事を忘れてしまうことをとても心配して病院に行きたいと

いつも事務室のドアをノックします。

『かおりさんは来ますか?』



『今日はお忙しいようでこちらへは来れないとおっしゃていましたよ』

『そうですか、ありがとう』

そう言うとエントランスの自動ドアの前に立ち外をながめています。

きっと「かおりさん」を待っているのでしょうね。


最近は病院に行きたいと思っていたことも忘れてしまったようです。


手帳に書いてある「かおりさん」の名前をなんども見せてくださいます。

たくさんたくさんの名前が書いてある手帳の中で「かおりさん」だけを指でなぞりながら

「かおりさんは私の娘です」と本当に幸せそうな笑顔で教えてくれるのです。


その「かおりさん」はほとんど施設には訪ねてきてくれません。

自動ドアの前でずっと「かおりさん」を待っている姿に胸がつまる思いです。



いろんなことを忘れても




2年が過ぎて、待ちに待った「かおりさん」が来てくれました。

かおりさんに今までのことをお話すると、涙を流しながら「すみません」と一言。


その日のヤスオさんの嬉しそうな顔。。。

かおりさんの顔を忘れていなかったヤスオさん。


本当に良かったね!





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最終更新日  2017.05.13 20:17:23
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Re:決して忘れない一つのこと(05/13)  
koron さん
わかるような気がします。ヤスオさんの気持ち…


でも、不穏になることなく穏やかに過ごされているということは、きっとMiki-catさんの関わりが素晴らしいからなのでしょうね。

家族って結構冷たいですよね、うちの施設でも預けたら預けっぱなしという家族多いです。
そんな姿を見ると、一生懸命寄り添っている介護者の役割も大きいのかなと思います。 (2017.05.19 13:24:17)

Re[1]:決して忘れない一つのこと(05/13)  
koronさん

こんにちわ、お返事遅くなってすみません。

ヤスオさん、ご家族からの申し出で5月いっぱいで退居が決まりました。
やっと来てくれたと思ったら、入居料が高いので余所にいきますとのことでした。
小規模多機能のデイサービスを利用して、そのまま毎日そこにお泊まりさせると話され、お父さんには可哀そうだけど、仕方ありませんと・・・・
家族にはそれぞれいろんな事情があり、こちらがどうのこうの言えません。

これからもヤスオさんが穏やかに生活できるようにと祈るだけです。


(2017.05.22 12:27:48)

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