見たまま、感じたまま、思ったまま

(5)雲遊天下

雲遊天下 

作詞 作曲 豊田勇造


雲遊天下ジャケ
雲遊天下 HUMM002

今までは、どちらかと言えば古い歌を取り上げてきたが、この歌は最新スタジオ録音盤のタイトル曲である。そして勇造さんが最近のライブのラストで唄うことが多い、お気に入りの歌である。
題名の「雲遊天下」は、中国の故事からとった題名らしい。
「この歌を唄うと、なんか心がゆったりとして楽になるんや」と言うことでした。彼の代表曲に「花の都 ペシャワール」という歌があるが、そのサビの部分「生き急ぐ事はない 死に急ぐこともない」と言うフレーズと共通した部分を持つ歌だと思う。

この歌の詩は、今まで紹介した他の歌のように、具体的な人名や地名、出来事が出てこない、どちらかと言えば普遍的な歌である。その分多くの人に受け入れられ易い要素を持っていると思う。実際某有名ニューミュージック系の大物歌手より唄わせて欲しいと言う申し出があったらしい。武田鉄矢か谷村新司あたりかなと推察するけど、もちろん勇造さんは断ったらしい。

僕はこの歌を聴くと、美空ひばりさんの「川の流れのように」を思い出す。
彼女になら、唄って貰っても良かったかなあとふと思う。

念願かなって勇造さんのライブを初めて主催したとき、アンコールの最後がこの曲だった。「生で唄います」と言ってマイクから離れて生で唄ってくれた(会場が狭いし、音はよく響くので生でも十分に聞こえるのだ)。30周年記念のライブアルバムにも収録されたが、生の演奏は無い。
自分しか持っていないオリジナルの1曲になったのである。

この歌を聞く機会があれば、サビの部分を一緒に唄って欲しい。
きっと心がゆっくりとほぐれていくだろう。


急ぎすぎた旅人が 峠の手前で
坂道を見上げながら 途方に暮れている
まるで同じよう この国の今
重い荷物おろして 少し休もう

いつのまにか本当の事が 見えなくなっていた
大切な人の事さえも 忘れてしまっていた
体を壊し 涙も枯れて
話かわすこともなく 走り続けてきた

責めることは出来はしない 腹空かしてたんだから
焼け野原よみがえらせて くれたんだから
暗い電灯の下 みんな貧しかった
すべてが狂い始めたのは 大きな祭りの頃

気づき始めた人たちが どこにでも居て
糸を染めたり パンを焼いたり
土を耕したりしてる
土産に貰った 独楽を回しながら
北の大地に住む家族のことを 思っている

荷物少し減らして 歩きはじめよう
道ばたに咲く 名も知らぬ花を
数えながら行こう
大空の下で 遊ぶ雲のように
人が生きたかたちなど
何もとどまらぬもの

大空の下で 遊ぶ雲のように
人が生きたかたちなど
何もとどまらぬもの


雲遊天下収録アルバム
 雲遊天下 HUMM002
 振り返るには早すぎる HUMM005-007


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