その中で今年出た本の 第2位
は、「エージェント6」トム・ロブ・スミスだ。
2008年の新人として「チャイルド44」を紹介した。スターリン時代のソ連での警察捜査ものとして非常に印象に残る作品だったので、その後の作品を期待していた。しかし、昨年の同じ主人公での「グラーグ57」は、主人公の派手な活躍ばかりが目につく、大味な作品であった。今回の作品も、30年間にわったって活躍の場をソ連、アフガニスタン、ニューヨークと移してゆき、あれあれ、どこにゆくの?と心配になったが、根底に流れる妻への深い愛情が、まるで大河ドラマを見終わったような、読後感を与えた。
これで、レオの話は終わりになるが、次の作品を期待したい。
そして、どーどーの、ぶっちぎりの 第1位
は、リチャード・ドイッチの「13時間前の未来」だ。
読後の感想は、ただただ、すげぇすげぇの連続。この作者の頭の中はどうなっているのだろう、とまではいかないが、綿密なプロットを仕上げるまで、大変な時間がかかっただろう。印象としては、ケン・グリムウッドの「リプレイ」を彷彿するが、こちらはもっと計算され尽くされている。しかし読む立場から言えば、理屈は関係ない。ただ、この物語の中のルールだけを頭に入れておけば、最後まで一気読みさせてくれる作品だ。
日本語タイトルも良い。一見矛盾したタイトルが、原題の「13番目の時間」よりも魅力的だ。
今年は間に合わなかったが、スティーヴン・ハンターとパトリシア・コーンウェルの新作も出た。来年もしばらくは楽しめそうだ。
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