趣味の漢詩と日本文学

趣味の漢詩と日本文学

August 20, 2005
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
送方外上人

孤雲將野鶴、豈向人間住。
莫買沃州山、時人已知處。
【韻字】住(去声、御韻)・處(去声、遇韻)。『広韻』には御韻は独用とするが、後出23番の詩においても、去声遇韻に属する暮と去声御韻に属する處を韻字に用いているところから、劉長卿の活躍した時分には同用であったと推定される。
【訓読文】
方外上人を送る。
孤雲と野鶴と、豈人間に向(お)いて住(とどま)らんや。
買ふ莫かれ沃州山、時人の已に知る処なり。
【注】

○孤雲 ただひとつ空に浮かぶ雲。孤独な人・隠者などのたとえ。
○野鶴 野山に住むツル。官に仕えず世を避けて隠れている人のたとえ。
○人間 ジンカン。人の世。俗世間。
○沃州山 浙江省新昌県東に在る山。天姥山と対峙し、放鶴峰・養馬坡あり。白居易に《沃洲山禅院記》あり。
○時人 その時代の人々。同時代の人々。
【訳】
方外上人さまがお帰りになるのを見送る。
たった一つ空に浮かんぶ雲や野山に住むツルが、どうして俗世間にとどまっていることができましょうか。
それと同様に孤独で気高い上人様も山寺へと帰って行かれる。
沃州山に修行のための寺を建てる土地を買うなんておやめなさいまし、あそこはもはやみんなに知られた著名な観光地で俗っぽすぎますぞ。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  August 20, 2005 03:18:13 PM
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: