趣味の漢詩と日本文学

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August 23, 2005
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赴楚州次自田途中阻淺問張南史

楚城今近遠、積靄寒塘暮。
水淺舟且遲、淮潮至何處。
【韻字】暮(去声、遇韻)・處(去声、御韻)。「暮」は『広韻』において(去声、暮韻)に属する字で、遇韻と同用であり、御韻は独用(他の韻とは通用しない)ということになっているが、20番の詩においても御韻の字と遇韻の字を通韻として用いてあるので、劉長卿の活躍した時代は同用と考えられていたのであろう。
【訓読文】
楚州に赴かんとして白田に次(やど)り、途中浅きに阻まれ張南史に問ふ。
楚城今近遠、積靄寒塘の暮。
水浅くして舟且遅し、淮潮何の処にか至る。
【注】

○次 やどる。
○自田 「白田」の誤り。白田は江蘇省宝応県城の西南。
○問 問いかける。質問する内容の詩を詠んでおくる。
○張南史 字は季直。幽州(いまの北京)の人。天宝の末、左右衛倉参軍に任ぜらる。至徳元載、李■(イトヘンに予。ジョとよむ)とともに李希言(李ジョの父、江東采訪使)をたよって地を蘇州に避け、のちに揚州揚子に閑居した。大暦五年、皇甫冉と江を隔てて唱酬し、十一年、宣州宣城に転居す。建中の初から貞元二年にかけて、朝廷より召されたが、赴任しないうちに没した。
○積靄 川にかかる深いもや。
○寒塘 寒々とした川の土手。
○淮潮 淮水の潮。淮水は河南省桐柏山に源を発し、安徽省・江蘇省を流れて海に注ぐ。
【訳】
楚州に赴任しようとして白田に宿泊したが、途中で舟が浅瀬にはばまれ、張南史に問いかけた詩。
楚城はここからどれくらいの距離だろう、この寒々とした川の土手の夕暮れは深いもやにつつまれている。
川の水は浅く舟はなかなか進まない。いったい淮水の潮はどこへ引いてしまったのだろう。





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Last updated  August 23, 2005 04:28:59 PM
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