趣味の漢詩と日本文学

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August 30, 2005
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送裴使君赴荊南行軍司馬

盛府南門寄、前程積水中。
月明臨夏口、山晩望巴東。
故節辭江郡、寒笳發渚宮。
漢川風景好、遥羨逐羊公。
【韻字】中・東・宮・公(平声、東韻)。
【訓読文】
裴使君の荊南行軍司馬に赴くを送る。

盛府南門寄、前程積水の中。

故節江郡を辞し、寒笳渚宮に発す。
漢川風景好からん、遥に羨む羊公を逐ふを。
【注】
○裴使君 貞元年間に荊南行軍司馬となった裴■(竹かんむりに均。インとよむ)か。
○荊南 唐の方鎮の名。治所は荊州(湖北省江陵)に在り。
○行軍司馬 唐の開元年間に、各節度使に置かれ、軍政を掌った重役。
○盛府 ここでは、りっぱな役所の意であろう。
○南門 南側にある門。
○前程 行く先。前途。
○積水 たたえた水。
○夏口 三国呉の孫権が築いた城。湖北省武漢市の西方、黄鵠山の上に在り。

○故節 むかしの節。節は使者が天子から与えられた旄牛の尾で飾った旗印。
○寒笳 寒中にひびく蘆の葉でつくった笛。
○渚宮 湖北省江陵県にあった春秋時代の楚の宮殿。
○漢川 漢水。漢江。陝西省西部ウに源を発し、東流して湖北省漢口で長江にそそぐ川。
○羊公 西晋の政治家。字は叔子。武帝のとき、南進を提唱して呉を討つため軍備を調えた。荊州諸軍事を都督し襄陽を鎮守した。

このたび裴使君が荊南の行軍司馬として赴任なさるのを見送る。
ひごろは長安城の南門に近い役所で政務を執っておられるが、これから赴任なさる先は漫々と水をたたえた川のはるかかなた。
月の明るい晩には夏口城を眺め、山の夕暮れには巴東をとおくに望む場所。
ふるびた節を携えて川沿いの郡を辞し、寒中のアシブエがひびくなか渚宮へと出発なさる。
漢川の風景はすばらしいでしょう。あなた様が羊公のように山水を楽しみ、善政を行って土地の民から慕われるのを、私は彼方からうらやましいと思うことでしょう。





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Last updated  August 30, 2005 07:38:12 PM
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