趣味の漢詩と日本文学

趣味の漢詩と日本文学

September 3, 2005
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酬張夏

幾歳依窮海、頽年惜故陰。
劍寒空有氣、松老欲無心。
翫雪勞相訪、看山正獨吟。
孤舟且莫去、前路水雲深。
【韻字】陰・心・吟・深(平声、侵韻)。
【訓読文】
張夏に酬ゆ。

幾歳ぞ窮海に依(よ)り、頽年故陰を惜しむ。

雪を翫んで相訪ぬるを労し、山を看ては正に独吟す。
孤舟且(しばらく)去る莫かれ、前路水雲深し。
【注】
○張夏 未詳。
○窮海 遠い海の果て。
○頽年 老年。
○故陰 すぎさった歳月。
○独吟 ひとりで詩歌を歌う。
○孤舟 一艘の船。
○且 ひとまず。
○前路 行くての道。

張夏から贈られた詩に答える。
こんな遠い海の果てに左遷され、もう何年になろうか。年をとると過ぎ去った昔の歳月が惜しまれる。
剣は冷ややかに光を放っているが、それを用いる活躍の機会もなく、庭先の松の老木はそんな私の憂いには無関心のようにひっそりと立っている。
あなたが訪問なさるというので、門前の雪かきをし、山を眺めて独りでウキウキして詩をくちずさんでお待ちしておりました。
せっかくわざわざお訪ねくださったのですから、舟でお帰りになるのはひとまず先に延ばしてくだされ。いまは前途に波も高く雲も厚く天候もわるいことですから。





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Last updated  September 3, 2005 03:31:14 PM
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