趣味の漢詩と日本文学

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September 5, 2005
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酬張夏雪夜赴州訪別途中苦寒作

扁舟乘興客、不憚苦寒行。
晩暮相依分、江潮欲別情。
水聲冰下咽、砂路雪中平。
舊劔鋒鋩盡、應嫌贈脱輕。
【韻字】行・情・平・輕(平声、庚韻)。
【訓読文】
張夏の雪夜州に赴かんとして訪別するに途中寒に苦しみて作るに酬ゆ。
扁舟興に乗ずる客、憚らず寒に苦しみて行くを。

水声氷の下に咽び、砂路雪中に平らかなり。
旧剣鋒鋩尽き、応に嫌ふべし贈脱の軽(かるがる)しきを。
【注】
○張夏 劉長卿の友人であろうが、未詳。
○訪別 別れをつげに来訪する。
○扁舟 ちいさな舟。
○苦寒 さむさにくるしむ。
○鋒鋩 切っ先。
○贈脱 人にやったり、腰からはずしたりする。『晋書』《王覧伝》「呂虔、佩刀有り。工之を相して、以て必ず三公に登らん、此の刀を服すべしと為す。虔、王祥に謂ひて曰く、苟(もし)其の人に非ずんば、或いは害を為さん。卿公輔の量有り、故に以て与へんと。‥‥祥、薨ずるに臨んで刀を以て覧に授けて曰く、汝、後に必ず興らん、此の刀を称するに足らんと」。
【訳】
友人の張夏が州に赴任するにあたり、別れをつげに来訪したときに、途中で寒さに難儀して作った詩に答えた詩。

夕暮れから夜にむかうころ、江潮が満ちてきて別れの時がせまる。
凍てついた川岸の氷のしたからは咽びなくような水音がきこえ、砂道も雪におおわれて一面たいらか。
君への餞別にあげられそうなものは、わたしの古びた剣ぐらいしかないが、もう切っ先も刃こぼれしてしまい、きっと軽々しく人にやったり、腰からはずしたりを繰り返してきたので、気に入ってもらえないにちがいない。





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Last updated  September 5, 2005 07:16:02 PM
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