趣味の漢詩と日本文学

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September 16, 2005
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送李員外使還蘇州兼呈前袁州李使君賦得長字袁州即員外之從兄 

別離共成怨(一作誠共怨)衰老更難忘。
夜月留同舍、秋風在遠郷。
朱絃徐向燭、白髮強臨觴。
歸獻西陵作,誰知此路長。
【韻字】忘・郷・觴・長(平声、陽韻)。
【訓読文】
李員外の使ひして蘇州に還るを送り、兼ねて前袁州李使君に呈す。賦するに長の字を得たり。袁州は即ち員外の従兄なり。 
別離共に怨を成し(一に誠に共に怨むに作る)、衰老更に忘れ難し。

朱絃徐ろに燭に向かひ、白髪強ひて觴に臨む。
帰つて献ぜよ西陵の作、誰か知らん此の路の長きを。
【注】
○李員外 李■(「糸」の右に「予」と書く字。ジョ)。員外郎は46番に既出。
○李員外 李■(ジョ)。字は仲舒。礼部侍郎希言の子。若くして文学あり、天宝の末、秘書省校書郎を拝す。左補闕、司封員外郎、知制誥、中書舍人、礼部侍郎、兵部侍郎、吏部尚書、同州刺史などをつとめた。
員外郎は46番に既出。
○蘇州 いまの江蘇省蘇州市。春秋時代には呉の都が置かれ、秦代には会稽郡、漢代には蘇州となった。「天に天堂有り、地に蘇州有り」と言われた名勝地。
○前 前任。
○袁州李使君 李嘉祐。字は従一。趙州の人。天宝七年擢んでられ第す。祕書正字を授けられたが、事に坐して、▲(番におおざと。ハ)江の令に謫せられた。入りて中台の郎となる。上元中、出でて台州の刺史となる。大暦中、復た袁州の刺史となる。嚴維、劉長卿、冷朝陽らと親交があり、詩は麗婉で、斉梁の風有りといわれる。
「袁州」は、隋代に江西省宜春県に置かれた。「使君」は、州や郡の長官に対する尊称。
○従兄 年上の男のいとこ。

【訳】
李員外が使者として蘇州に還るのを見送り、同時に前袁州刺史の李使君に贈呈した詩。作詩にあたり「長」の字を韻字にもちいる事になった。前任の袁州刺史は李員外の従兄である。
別れは共に悲しいもの、年をとって気が弱くなると、なおさら忘れがたい。
今宵は夜の月を眺めながら同じ宿舎に泊まるが、秋風が吹く時分には君はもう遠い土地にいる。
しずかに灯火の前で赤い弦を張った琴の音を聞きながら、白髪あたまの我が身は無理して杯を重ねる。





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Last updated  September 16, 2005 09:03:05 PM
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