趣味の漢詩と日本文学

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November 11, 2005
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カテゴリ: 漢詩・漢文
晩次苦竹館卻憶干越舊游遊 劉長卿
匹馬風塵色、千峰旦暮時。
遙看落日盡、獨向遠山遲。
故驛花臨道、荒村竹映籬。
誰憐卻迴首、歩歩戀南枝。
【韻字】時・遲・籬・枝(平声、支韻)。
【訓読文】
晩に苦竹館に次(やど)り卻つて干越の旧游を憶ふ。
匹馬風塵の色、千峰旦暮の時。

故駅花道に臨み、荒村竹籬に映ず。
誰か憐れむ卻つて首を回らせ、歩歩南枝を恋ふるを。
【注】
○苦竹館 今の浙江省紹興市の西南にあり。
○干越 『劉随州集』巻五に「登干越亭」詩あり。いまの江西省余干県城の東南。「于越」の場合は、「于」すなわち呉と越と。また、単に越の国。
○旧遊 むかし旅した土地。
○匹馬 いっぴきの馬。
○風塵 風に舞い上がるちり。
○故駅 むかし来たことのある宿場。
○荒村 荒れ果てて寂れた村。
○回首 ふりかえって見る。

【訳】
夕暮れに苦竹館に宿泊し、あべこべに干越に旅したおりのことを思い出して作った詩。
一朝から晩まで多くの峰峰を旅するうち、私の乗る一匹の馬は風に吹かれて舞うほこりに汚れた。
夕日が沈むのをはるかに眺め、私は独り遠くの山を目指す。
ふるびた宿場の道ばたには花が咲き、さびれた村里の人家の籬からは竹がのびている。






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Last updated  November 11, 2005 02:49:30 PM
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