趣味の漢詩と日本文学

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November 19, 2005
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カテゴリ: 漢詩・漢文
移使鄂州次■(「山」のみぎに「見」。ケン)陽館懷舊居 劉長卿
多慚恩未報、敢問路何長。
萬里通秋雁、千峰共夕陽。
舊遊成遠道、此去更違(一作迷)郷。
草露深(一作空)山裏、朝朝落(一作滿)客裳。
【韻字】長・陽・郷・裳(平声、陽韻)。
【訓読文】
鄂州に移使して■(ケン)陽館に次り旧居を懐ふ。
多く慚づ恩未だ報いざるを、敢へて問ふ路何ぞ長き。

旧遊遠道を成し、此より去れば更に郷に違(そむ)く。
草露深山の裏、朝朝客裳に落つ。
【注】
○鄂州 治所は江夏県(今の湖北省武漢市武昌)にあり。
○■(ケン)陽館 旅館の名らしいが、未詳。
○旧遊 かつて訪れたことのある土地。
○草露 「草露」は四部備要(席氏本)に「草路」に作るが、「路」は、第二句にすでに使用されており、また第八句の「落」という動詞と釣り合わないので「草露」とあるのが本来の形であろう。
○朝朝 毎朝。
【訳】
異動により鄂州に行くことになり、■(ケン)陽館に泊まったときに旧居をおもって詠んだ詩。
まだ任命くださった天子のご恩に報いるほど成果をあげていないのに、どうしてまた遠くへ赴任することになったのやら。

むかし旅したあたりも、もう遠いかなたにへだたり、ここから去るとますます故郷から離れる。
深い山中では草の葉に置いた露が、毎朝旅立つ私の裳に落ちかかる。





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Last updated  November 19, 2005 06:19:15 PM
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