趣味の漢詩と日本文学

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November 30, 2005
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カテゴリ: 漢詩・漢文
過桃花夫人廟(即息夫人) 劉長卿
寂寞應千歳、桃花想一枝。
路人看古木、江月向空祠。
雲雨飛何處、山川是舊時。
獨憐春草色、猶似憶佳期。
【韻字】枝・祠・時・期(平声、支韻)。
【訓読文】
桃花夫人の廟に過(よ)ぎる。
寂寞として応に千歳なるべし、桃花一枝を想ふ。

雲雨何れの処にか飛び、山川是れ旧時。
独り憐む春草の色の、猶ほ佳期を憶ふに似たるを。
【注】
○桃花夫人廟 春秋時代の楚の国の息侯の夫人。楚の文王は息を滅ぼし、彼女を娶り、堵敖と成王を生んだが、彼女は自国が滅び夫が死んだことから、文王と口をきかなかったという(『春秋左氏伝』《荘公十四年》)。その廟(霊を祭ったところ)は湖北省漢陽県の北の桃花洞のほとりにあり。
○寂寞 ひっそりとしてものさびしいさま。
○路人 往来の人。
○江月 江上を照らす月。
○佳期 よい時節。
【訳】
桃花夫人の廟に立ち寄って作った詩。
この地はひっそりとしてものさびしく、夫人没後もう千年も経っているにちがいなく、桃の花が咲く季節が待たれる。

雲や雨はどこに飛びさるのか、山と川だけは千年前のまま。
わたしは独りで、春の青々とした草の色だけが、桃花夫人が夫の息侯と仲むつまじかった時分と同じ色なのだと思うと感慨深い。





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Last updated  November 30, 2005 07:10:07 PM
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