趣味の漢詩と日本文学

趣味の漢詩と日本文学

April 24, 2007
XML
カテゴリ: 漢詩・漢文
送陸■(サンズイに「豐」。レイ)倉曹西上 劉長卿
長安此去欲何依、先達誰當薦陸機。
日下鳳翔雙闕迥、雪中人去(一作過)二陵稀。
舟從故里難移棹、家住(一作在)寒塘獨掩扉。
臨水自傷流落久(一作居落久)、贈君空有涙沾衣。
【韻字】依・機・稀・扉・衣(平声、微韻)。
【訓読文】
陸■(レイ)倉曹の西上するを送る。
長安此より去つて何こに依らんと欲する、先達誰か当に陸機を薦むべけんや。

舟は故里に従つて棹を移すこと難く、家は寒塘に住つて(一に「在」に作る)独り扉を掩ふ。
水に臨んで自ら傷む流落の久しきことを(一に「居落久」に作る)、君に贈るに空しく涙の衣を沾す有り。
【注】
○陸■(レイ) 劉長卿の友人らしいが、未詳。
○倉曹 倉曹参軍事。府州の佐官で、度量・倉庫・租賦征収・田園・市肆のことを掌る。
○長安 いまの西安市の西北。前漢や唐などの都があった。
○先達 先輩。
○陸機 西晋の文人。字は士衡。呉郡華亭(いまの上海市松江)の人。晋が呉を滅ぼすや十年家にこもって学問に励んだ。そののち弟の陸雲とともに洛陽にのぼり、文才をもって知られ二陸と称された。成都王司馬穎に仕え、長沙王司馬乂討伐のさい、後将軍、河北大都督となったが、敗れて成都王に殺された。(二六一……三〇三年)。
○日下 都。首府。
○鳳翔 唐代の府の名。いまの陝西省鳳翔県。
○双闕 両側に物見台のある門。転じて、宮城。

○故里 ふるさと。
○寒塘 さびしい土手。
○掩扉 門を閉じる。
○臨水 川を眺める。
○傷 感傷にひたる。

○沾 ぬらす。
【訳】
陸■倉曹が西のかた上京するのを見送る。
都の長安目指すにはここ去りどこに立ちよらん、あふれる君の文才も誰が推薦してくれよう。
天子のひざもと鳳翔の宮城とてもはるかにて、雪ふる中をきみは去り、さびしく二陵そびえたり。
舟は故郷のそば通り棹移す手も渋りがち、土手のほとりの家の門ひっそり閉じてさびしげな。
川を眺めて落ちぶれた我が身の上をなげきつつ、君に別れの詩をやるも留めがたきは涙かな。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  April 30, 2007 11:33:32 AM
コメント(0) | コメントを書く
[漢詩・漢文] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: