趣味の漢詩と日本文学

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May 20, 2007
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カテゴリ: 漢詩・漢文
送耿拾遺歸上都 劉長卿
若為天畔獨歸秦、對水看山欲暮春。
窮海別離無限路、隔河征戰幾歸人(一作征陣獨歸人)。
長安萬里傳雙涙、建徳千峰寄一身。
想到郵亭愁駐馬、不堪西望見風塵。
【韻字】秦・春・人・身・塵(平声、真韻)。
【訓読文】
耿拾遺の上都に帰るを送る。
天畔独り秦に帰るは若為(いかん)、水に対し山を看れば暮れんと欲する春。

長安万里双涙を伝へ、建徳千峰一身を寄す。
郵亭に到りて愁へて馬を駐むるを想へば、西望して風塵を見るに堪へず。
【注】
○耿拾遺 耿■(サンズイに「韋」。イ)。蒲州(山西省永済)の人。宝応二年の進士。大暦年間に左拾遺となった。
○上都 長安。
○若為 どうであるか。
○窮海 田舎の海辺。
○征戦 戦に出掛ける。
○万里 きわめて遠い距離。
○双涙 ふたすじの涙。
○建徳 浙江省の県の名。

○郵亭 宿駅。また、宿場の旅館。
○風塵 風に舞い立つちり。また、仕官。地方官。
【訳】
耿拾遺が長安に帰るのを見送る。
独り秦をば目指しゆくその心境はいかならん、川のむこうの山みればもうすぐ春も終わりかな。

長安万里のかなたにてわが目の涙頬つたい、建徳にある千々の峰いくつも越えて君はゆく。
宿場に着いて馬つなぐ君の悲しみ思いやり、西のかたをば望めども旅の苦労がしのばれて風塵見るにたえぬなり。





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Last updated  May 25, 2007 07:41:10 PM
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