趣味の漢詩と日本文学

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June 27, 2007
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カテゴリ: 漢詩・漢文
見故人李均所借古鏡恨其未獲歸府斯人已亡愴然有作 劉長卿
故人留鏡無歸處、今日懷君試暫窺。
歳久豈堪塵自入、夜長應待月相隨。
空憐瓊樹曾臨匣、猶見菱花獨映池。
所恨平生還不早、如今始挂隴頭枝。
【韻字】窺・随・池・枝(平声、支韻)。
【訓読文】
故人李均借(か)す所の古鏡を見、其の未だ府に帰すを獲ざるを恨む。斯の人已に亡くなりて愴然として作有り。
故人鏡を留めて帰す処無く、今日君を懐ひて試みに暫く窺ふ。

空しく憐ぶ瓊樹曾て匣に臨みしを、猶ほ見る菱花の独り池に映ずるを。
恨む所は平生還(かへ)すこと早(すみやか)ならざりしを、如今(いま)始めて挂く隴頭の枝。
【注】
○李均 楊世明校注『劉長卿詩編年校注』(人民文学出版社)によれば、李成裕の子、李揆の弟という。
○借 貸し与える。古鏡恨其未獲
○帰 返却する。
○府 お屋敷。他人の住居の尊称。
○斯人 李均をさす。
○愴然 悲しい気持ちで。
○故人 古くからの友人。また、無くなった人。
○留鏡 無歸處、

○窺 そっと見る。
○瓊樹 玉のように美しい木。高潔な人のたとえ。
○曾 以前に。
○臨匣 鏡をしまう箱。
○菱花 ヒシの白い花。鏡の裏面に刻した菱花型のデザイン。

○如今 いま。
○挂 ひっかける。
○隴頭 陝西省隴県の南西にある隴山のそば。
【訳】
亡くなった昔なじみの李均が貸してくれた古代の鏡を見て、それをまだ倉に返せずにいるのを遺憾に思う。李均はすでに此の世に無く悲しみにくれながら、詠んだ作。
友は鏡を世に留め、遠いあの世に旅立ちぬ。返す主人を失って、君思い出しのぞきこむ。
歳へて少しくもりあり、月の光を待ちわびる。
きみもこの箱向かいつつ幾たび見けんこの鏡、菱の花咲く池の図を彫刻したるおもしろさ。
遺恨に思うはすみやかに君にかえさざりしこと、いま隴頭の枝に掛け君に手向けるますかがみ。






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Last updated  July 4, 2007 09:30:58 AM
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