趣味の漢詩と日本文学

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July 27, 2007
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カテゴリ: 漢詩・漢文
送皇甫曾赴上都 劉長卿
東遊久與故人違、西去荒涼舊路微。
秋草不生三徑處、行人獨向五陵歸。
離心日遠如流水、迴首川長共落暉。
楚客豈勞傷此別、滄江欲暮自霑衣。
【韻字】違・微・帰・暉・衣(平声、微韻)。
【訓読文】
送皇甫曽の上都に赴くを送る。
東遊久しく故人と違ひ、西去荒涼として旧路微かなり。

離心日びに遠ざかること流水のごとく、迴首川長くして落暉を共にす。
楚客豈に労せんや此の別れを傷むを、滄江暮れんと欲して自から衣を霑す。
【注】
○皇甫曽 皇甫冉の弟。
○赴 役目で行く。
○上都 長安。
○故人 古くからの友人。
○荒涼 荒れ果ててさびしいようす。
○三径 門へ出る道、裏門へ出る道、井戸へ出る道。『三輔決録』に、前漢の蒋元卿の屋敷には竹下に三径を開き、故人の求仲・羊仲が遊んだという。
○行人 旅人。ここでは皇甫曽をさす。
○五陵 唐の高祖・太宗・高宗・中宗・睿宗の墓所。いずれも陝西省にあり。富豪が多く住んでいたという。

○迴首 ふりかえって見る。
○落暉 沈み行く太陽。
○楚客 楚の地方(長江中流域)の旅人。
○傷此別 別れに心をいためる。
○滄江 青い川。

○霑衣 涙で衣をぬらす。
【訳】
皇甫曽が長安に赴くのを見送る。
東へきてから長いこと旧友たちともご無沙汰で、これから西に向かいゆく道あれはててさびしかろう。
三径にはまだ草はえず、五陵めざしてきみ帰る。
別れる心は流水のごとくに日々に遠ざかり、こうべめぐらし振り返りゃ川のあなたに日は沈む。
楚に残るわれに此の別れ、さらに辛さを添えるのか、滄江もうじき日は暮れん、おのずと涙袖ぬらす。






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Last updated  July 27, 2007 06:51:37 PM
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