趣味の漢詩と日本文学

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October 27, 2007
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カテゴリ: 漢詩・漢文
 送楊於陵歸宋■(ベン)(一無此字)州別業 劉長卿
半山溪雨帶斜暉,向水殘花映客衣。旅食嗟余當歳晩、能文似汝少年稀。
新河柳色千株暗,故國雲帆萬里歸。難亂要知君到處,寄書須及雁南飛。
【韻字】
【訓読文】
 楊於陵の宋■(サンズイに「卞」。ベン)(一に此の字無し)州の別業に帰るを送る 劉長卿
半山渓雨斜暉を帯び、水に向へる残花客衣に映ず。
旅食嗟(ああ)余歳晩に当たり、能文汝の似(ごと)き少年稀なり。
新河の柳色は千株暗く、故国雲帆万里に帰る。

【注】
○楊於陵 字は達夫、弘農の人。年十九にして進士に及第。節度使韓滉に気に入られ、その娘を嫁にもらった。韓滉が大臣となったが、出世を望まず、退廬建昌に隠居した。滉の死後に膳部員外郎、中書舍人、戸部侍郎などを歴任。元和の初、嶺南節度使となり、穆宗即位後に戸部尚書に遷り、左僕射に終わった。死して司空を贈られた。
○宋■(ベン)州 河南省開封市。
○別業 別宅。
○半山 
○渓雨 谷間に降る雨。
○斜暉 夕日。
○残花 色香の褪せた散り残りの花。
○客衣 旅人の着物。
○旅食 よその土地で暮らす。
○嗟 ああ。

○歳晩 年末。
○能文 文章を上手に作る。
○汝 きみ。
○少年 若者。
○寄書須及雁南飛 蘇武が匈奴の地から、ガンの脚に手紙を結びつけて漢に届けた故事。

楊於陵が■(サンズイに「卞」。ベン)州の別宅に帰るのを見送ったときの詩。
山の中ほど谷あいに雨そぼ降りて夕日差す、旅立つ君の衣には水べの花の色はえる。
ああ、われ今年も歳の暮れ異郷で暮らすさびしさよ、君は文才恵まれて前途洋々若さあり。
新河の柳色は千株暗く、故国雲帆万里に帰る。
災難戦乱多ければ君のいる場所知らせたし、手紙を南に去る雁の脚に結びて是非よこせ。





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Last updated  October 27, 2007 09:34:59 AM
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