趣味の漢詩と日本文学

趣味の漢詩と日本文学

September 15, 2008
XML
カテゴリ: 漢詩・漢文
自江西歸至舊任官舍贈袁贊府(時經劉展平後) 劉長卿
欲見同官喜復悲、此生何幸有歸期。
空庭客至逢遙落、舊邑人稀經亂離。
湘路來過迴雁處、江城臥聽擣衣時。
南方風土勞君問、賈誼長沙豈不知。
【韻字】悲・期・離・時・知(平声、支韻)。
【訓読文】
江西より旧任の官舍に帰り至り袁賛府に贈る。(時に劉展の平らぎたるを経ての後なり)
同官を見んと欲して喜び復た悲しぶ、此の生何なる幸あつてか帰る期有る。

湘路来たり過ぐ迴雁の処、江城臥して聴く擣衣の時。
南方風土勞君の問ふを労(わづら)はす、賈誼長沙豈知らざらんや。
【注】上元二年(七六一)秋、長洲県(江蘇省蘇州市)の官舎に至りての作。
○江西 江南西道。治所は江西省南昌市。
○袁賛府 未詳。「賛府」は県丞。
○劉展 上元元年十一月に、宋州刺史の劉展、赴き揚州を鎮ず。揚州長史の■(「登」にオオザト。トウ)景山、兵をもってこれを拒むも、劉展の敗る所と為り、劉展進みて揚州・潤州・昇州等を陥る。上元二年春正月、平盧兵馬使の田神功、劉展を生けながら擒へ、揚州・潤州平ぐ。
○迴雁処 衡州の城南の回雁峰。
○江城 川のほとりの町。
○擣衣 冬着の準備のために布をしなやなにするために砧にのせて槌で打つ。秋の風物詩。
○風土 山川・気候・物産・風俗等の地方の特色。
○労 わずらわせる。

【訳】
江西から旧任の官舎に帰ってきて、知人の袁賛府に贈った詩。(ちょうど劉展が平定されたあとである)
同僚に会ふと思えばうれしくもまた悲しくもあることよ、幸運あってまたここへ帰ることをば得たるとは。
はるか遠くに流されて来て見りゃ庭も人けなく、村に人影稀なるは世の乱れたるしるしなり。
湘江沿いの路を来て回雁峰を通り過ぎ、川べの町に日は暮れて砧の響き床に聴く。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  September 15, 2008 09:24:47 PM
コメント(3) | コメントを書く
[漢詩・漢文] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: