趣味の漢詩と日本文学

趣味の漢詩と日本文学

January 26, 2011
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カテゴリ: 国漢文
【本文】これもおなじ中納言、斎宮のみこをとしごろよばひたてまつりたまうて、今日明日あひなむとしけるほどに、伊勢の斎宮の御占(みうら)にあひたまひにけり。
【注】
・おなじ中納言=藤原敦忠。
・斎宮のみこ=醍醐天皇の皇女、雅子内親王。承元元年(931年)に斎宮となった。(910……954年)
【訳】これも、同じ中納言が、斎宮のみこに何年も言い寄りもうしあげなさって、今日かあすにも逢って契りを結んでしまおうとしていたところ、伊勢の斎宮の占いにおいて、次期斎宮に決定なさってしまった。

【本文】いふかひなく口をしと男おもひたまうけり。さてよみてたまうける、

いせの海千尋の浜にひろふともいまはかひなくおもほゆるかな

となむありける。
【注】

・千尋の浜にひろふとも=千尋は、長い距離。どこまでもつづくような長い砂浜で拾ったとしても。

【訳】言いようもないほど残念だと男はお思いになったとさ。そうして、お作りになった歌、

たとい伊勢の海の千尋もある長い砂浜で拾ったとしても、いまはもう貝が無いように、あなたに求婚するのはその甲斐が無いように思われるなあ。

と斎宮のみこの所へきた手紙に書いてあったとさ。






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Last updated  January 26, 2011 07:23:33 PM
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