趣味の漢詩と日本文学

趣味の漢詩と日本文学

February 2, 2011
XML
カテゴリ: 国漢文
【本文】おなじ右のおほい殿の宮すむ所、帝おはしまさずなりてのち、式部卿の宮なむすみたてまつりたまうけるを、いかがありけむ、おはしまさざりけるころ、斎宮の御もとより、御文たてまつりたまへりけるに、宮すんどころの、おはしまさぬことなどきこえたまうて、おくに、

しら山にふりにし雪のあとたえていまはこしぢの人もかよはず

となむありける。御返あれど、本になしとあり。
【注】
・右のおほい殿の宮すむ所=藤原定方のむすめ仁善子。
・帝おはしまさずなりてのち=醍醐天皇が崩御されて以後。
・式部卿の宮=宇多天皇の皇子、敦実(あつみ)親王。(893……967年)
・斎宮=宇多天皇のむすめ柔子内親王。敦実親王の妹。
・しら山にふりにし雪のあとたえていまはこしぢの人もかよはず=「ふり」は「降り」と「古り」、「雪」と「行き」、「こし」に「越」と「来し」を言い掛けた。



白山に降ってしまった雪のように、足跡もぱったり途絶えて、今となっては、越路の人も通行しません。(よくお越しになっていた式部卿の宮も、最近こちらには、ぱったり通ってこなくなりました)

と書いてあったとさ。斎宮の御返事の歌もあったが、原本に書かれていないと書いてある。







お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  February 2, 2011 08:16:57 PM
コメント(0) | コメントを書く
[国漢文] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: