がらくた小説館

保護者

 里美はいつまでたっても子供で、私がいないと何も出来ない子だった。

それがついに頑張って受験した大学に見事合格した。

私は保護者として里美の横に座っている。

彼女ももう18歳。
これからは華やかな大学生活が待っている。

しかしそれと同時にお人よしの世間知らずな里美が心配で仕方ない。
大学生活には危険な誘惑が数多い。

保護者である私は、そんな誘惑から出来るだけ里美を守る決心をしていた。

「ねぇ?里美ちゃん。来週映画行かない?」

「里美は来週はバイトで無理よ」

「里美ちゃん。明日は?」

「明日は私とお買い物だから無理よ」

「もっと飲んでよ。何か頼もうか?」

「里美はお酒が弱いから駄目よ」

「それじゃこれからカラオケなんてどう?」

「終電があるから私は里美と一緒にそろそろ帰るわ」

「いや、陽子ちゃんに聞いてるんじゃないんだけど…」

「何?私この子の保護者だから」


「里美。騙されちゃ駄目よ。男はみんな私達の体しか興味ないんだから。これからはコンパなんて野蛮な集まりには参加しないこと」

「う、うん。。陽子ちゃん」




               了


© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: