がらくた小説館

フライト2


副操縦士「機長、フライトを開始します…」

機長「ん?あんたは何を緊張してるの?私が変わりにやろうか?」

副操縦士「い、いえ大丈夫です…」

機長「調子が悪そうだな」

副操縦士「そんなことはないのですが…」

機長「なんだい、はっきり言わないか、私達は乗客の命を預かる身なんだぞ。しっかりしなさい」

副操縦士「ですが…」

機長「もういい。私がすべてやるから、あんた黙って座ってな」

副操縦士「駄目です。僕がやりますから」

機長「そんな状態のお前に、乗客全員の命を預けさせるわけにはいかない」

副操縦士「…」

機長「分かったな」

副操縦士「…機長、何をしてるんですか?」

機長「何ってお前、乗客に挨拶をするんだよ」

副操縦士「それだけはやめてください」

機長「いいかげんにしろ!お前は私に職務放棄をしろと言うのか!!」

副操縦士「あああ…」



機長『本日は当機にご乗車くださって、ありがとう。当機は副操縦士の加藤と、私、 一日機長 の細木が安全な空の旅へと案内するわ』

機長はアナウンスを終えると、いまだ頼りなさげな副操縦士に言った。


「あんたこのままじゃ死ぬよ」







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