がらくた小説館

安全運転

俺は運転がへたくそだ。

それなのにミッションの車に乗っているのだから始末が悪い。

坂道なんてスイスイバックしてしまうし、エンストはお手のもの。

だから運転歴は8年になるが、初心者マークは欠かせない。

だが、それだけでは心もとなくなってきた。

そこで初心者マークの隣に、もう一つシールを貼ることにした。

『女性が運転しています』

どうだろう?女性ということで、多少大目に見てくれそうだ。

でもそれだけでも心もとない。

で、その横に

『子供が運転しています』

を貼ってみた。

これならさすがに後ろから煽られたりはないだろう。

子供相手に本気になる大人はいない。

でもそれだけでもまだまだだ。ということで

『涙で前が見えません』

と貼ってみた。

これでは運転どころではないということで、周りが警戒してくれるに違いない。

そのまた横にこんなのも貼ってみた。

『女性が上に乗ってます』

これは女性が運転してますだけでは心もとないので、こう書いてみた。

これは相手にいろいろなことを考えさせてしまう。つまり注目させるためのものだ。俺の願望でもある。

ついでにこんなのも貼ってみた。

『冷やし中華始めました』

これは一度貼ってみたかった。

『新装開店』

なんかワクワクする。

それから…

結局いろいろ貼った挙句、俺はようやく安心して運転をすることが出来そうだった。

だが、後日俺は事故を起こした。

原因は簡単だった。

『前が見えなかった』のだ。



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