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2008年03月03日
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カテゴリ: 要件事実

第1章 売買契約の要件事実

1要件事実と認否

さて,今回は,売買契約の要件事実を考えて見ましょう。今回は,売買契約における代金支払を求める場合を考えるので,厳密に言えば,売買契約に基づく代金支払請求権を発生させる要件事実は何かを考えましょう。

要件事実は,条文解釈と,原告被告のどちらが主張するのがふさわしいかと言う訴訟法上の観点から考えるのでしたね。
では,まず売買契約の条文を見てみましょう。


(売買)
民法第五百五十五条  売買は、当事者の一方が ある財産権 を相手方に 移転することを約し 、相手方がこれに対 してその代金を支払うことを約する ことによって、その効力を生ずる。


まず,「 ある財産権 」とありますから,財産権の内容を確定することが必要です。つまり,売買の目的物が何なのかを書かなくてはなりません。

次に「 移転することを約し 」とありますので,そういう約束があったことを示す必要がありますが,これは「 売った 」といえば伝わるので,「売った」と書けば十分です。

そして,「 代金を支払うことを約する 」とありますので,代金額の確定が必要です。

ということは,売買契約に基づく代金支払請求権の要件事実は以上であり,請求原因には,
「原告は,被告に対し,○年○月○日, △△ を, 代金××円 売った 」と書くことになります。
(日付については,請求権の発生時点を明らかにするために書くものだと思ってください)

これだけで,原告は最低限の主張したことになります。
原告は,最低限これらを主張立証しないと,負けてしまいます。
つまり,原告は要件事実については立証責任を負うのです。
逆に言うと,原告は要件事実さえ主張立証すれば,被告が何も言わない限り勝てます。

でも,普通,被告は何か言ってきますね。
まず,原告が主張した事実について何か言ってくるはずです。
これを「認否」と言います。

認否は,以下の4つに分けられます。
否認・不知・沈黙・自白です。
この中で,「自白」とは,刑事事件で言う自白とは少し異なり,相手方の主張する自己に不利益な事実を認めて争わない旨の陳述を言います。
早い話,「この点については,原告の言う通りと認めます」と陳述することを言います。
自白がなされると,証拠による認定が不要なばかりか,裁判所も自白に拘束され,自白に反する事実を認定することも許されません。
ですから,自白が成立した場合は,原告は主張するだけで足り,立証の必要はありません。

(証明することを要しない事実)
民事訴訟法第百七十九条  裁判所において当事者が自白した事実及び顕著な事実は、証明することを要しない。


そして,一旦自白が成立すると,撤回は原則として認められません。例外的に撤回が認められるのは,1刑事上罰すべき他人の行為(例えば,脅迫等)によって自白した時,2相手方の同意があるとき,3自白の内容が反真実で,かつ錯誤に基づく時(意図的に嘘の自白をした場合は撤回できないと言うことです)の場合です。
ただ,要件事実以外の自白(例えば,契約地など)には裁判所を拘束する効力は無いことにご注意ください。要件事実以外の事実は,いわば証拠と同じなので, 自由心証主義 に反するからです。

自由心証主義
民事訴訟法第二百四十七条  裁判所は、判決をするに当たり、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果をしん酌して、自由な心証により、事実についての主張を真実と認めるべきか否かを判断する。

「自白」については以上です。
「沈黙」とは「 争うことを明らかにしない場合 」であり,原則として自白とみなされます。

(自白の擬制)
民事訴訟法第百五十九条  当事者が口頭弁論において相手方の主張した事実を 争うことを明らかにしない場合 には、その事実を自白したものとみなす。ただし、弁論の全趣旨により、その事実を争ったものと認めるべきときは、この限りでない。


では,「争うことを明らかに」する場合とは何でしょうか。
そうです。残った「否認」と「不知」です。
「否認」と言うのは,刑事事件の否認と良く似ていて,「この点は間違っている」と主張することです。例えば,「原告は代金200万円と言っているが,本当は100万円だ」とか「原告は売買と言っているが,実は贈与でありもらったものだ」と主張することが否認です。
ただし,「100万円」とか「贈与」と言うのは,皆様がイメージしやすいように付け加えたものであり,被告は,100万円であることや,贈与契約であることを立証する必要はありません。一言「争う」と言えばいいのです。あくまで,代金額や売買契約については,原告が主張し,立証しなくてはなりません。
「不知」というのは,文字通り「 知らない 」旨を主張することで,否認したものと推定されます。

民事訴訟法第百五十九条 2  相手方の主張した事実を 知らない 旨の陳述をした者は、その事実を争ったものと推定する。


感覚的に言っても,「代金額なんて知らない」「売買契約なんて知らない」というのは,「代金額は0円である」「売買契約ではなく贈与である」と否認したのと良く似ていますね。

さて,被告の言いたいことは認否だけでしょうか。
原告は主張していないが,被告が独自に主張したい事実と言うのもあるはずです。
それを抗弁と言います。

抗弁については,次回にしましょう。



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【参考本】


ゼミナール要件事実(2)





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最終更新日  2008年04月09日 19時07分16秒


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