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2008年03月04日
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カテゴリ: 要件事実



2 要件事実と抗弁

前回は要件事実と認否についてお話しました。
今回は抗弁です。
認否のうちの否認と,抗弁とでは,大雑把に言って原告の請求を棄却に追い込むという点では同じです。しかし,様々な違いがあります。

否認は原告の主張した請求原因を認めず争うことであり,請求原因とは両立しません。
しかし,抗弁は請求原因以外の事実を主張することなので,請求原因とは両立します。
請求原因と両立すると言うことから想像できるように,抗弁には,請求原因から一旦発生した法律効果を妨げる効果(障害・消滅・阻止)を持ちます。

そして,抗弁は請求原因以外の事実の主張ですから,被告に立証責任があります。
前回申し上げましたとおり,否認は,一言「争う」だけで十分であり,否認の内容を立証する必要はありませんでした。しかし,抗弁は「抗弁を提出する」と言うだけでは不十分であり,抗弁の内容まで立証する必要があります。

ちょっと難しいですよね。
もう少し,詳しくお話します。
まず「請求原因とは両立しません」と言うところです。
これは,あくまで各要件事実と両立しないと言う意味です。法律効果とは両立しないと言う意味ではありません。
例えば,契約解除の法律効果は,売買契約が遡及的に無効ですから,原告の主張する契約成立の主張とは両立しないように見えます。しかし,要件事実ごとに両立するかどうか見るのです。
そして,解除は,一旦は契約が成立しないと出来ません(もし成立していなかったら,契約不存在であって,解除するまでもありません)。このように,解除の主張は,契約の成立と両立するので,抗弁となるのです。


次に,「請求原因から一旦発生した法律効果を妨げる効果(障害・消滅・阻止)を持ちます」と言う部分ですね。上記の解除の例で,「法律効果を妨げる効果」と言うのはご理解いただけたと思いますが,さりげなく書いた「障害・消滅・阻止」の部分が何のこっちゃですよね。
これらは,抗弁の種類であって,抗弁を障害・消滅・阻止に分類すると少し分かりやすくなるのです。

まず,「障害」とは法律効果が発生した当初から問題があって,実は法律効果が発生していない場合を言います。
例えば,錯誤無効などです。
売買契約においては,当事者・目的物・代金額の確定と,財産権の移転の合意(「売った」)が必要と申し上げました。このように,「錯誤が無いこと」とか「意思表示が有効であること」と言うのは,要件事実には入っていません。
ですが,錯誤があるということは,契約成立時,つまり法律効果が発生した当初から問題がある場合を言います。
このように,法律効果が発生した当初から問題がある事実を指摘する抗弁を障害の抗弁と言います。

余談ですが,このように錯誤は抗弁ですから,錯誤である旨を主張しなければなりません。
民法上は,錯誤の意思表示など不要なのですが,実際抗弁としては主張しなければなりません。ですから,実質的に見ると,第三者が登場しない限り,意思表示が必要な取消とあまり変わらないのです。ということで,当初から私のブログではあまり錯誤と取消をはっきりさせていません。これをご理解していただけず,「錯誤と取消をごっちゃにするな」と言う批判も頂きますが,どうかご了承ください。

次に「消滅」とは法律効果が発生した当初には問題なく法律効果は発生したものの,途中で何かあって消滅した場合を言います。
例えば,解除です。さっき申し上げましたとおり,解除は契約が成立していないと出来ませんので,当初には問題なく法律効果は発生しています。
しかし,解除されれば契約はその時点から遡及的に無効となり,代金請求権は消滅します。
ですから,解除は消滅の抗弁なのです。

最後に「阻止」とは,権利は問題なく発生し,現在もなお権利は消滅していないものの,何か理由があって権利行使が出来ない事実を指摘する抗弁を言います。
例えば,同時履行の抗弁権です。
同時履行の抗弁権が認められたとしても,契約が当初から問題があるわけではありませんし,権利が消滅したわけでもありません。
権利を行使できないだけです。

イメージで言うと,契約当初に問題があるのが「障害」,契約当初~現在のどこかに問題があるのが「消滅」,現在問題があるのが「阻止」というように捉えてもいいかも知れません。

「抗弁の内容まで立証する必要があります」というのは,そのままです。
もし,錯誤を主張したければ,一言「錯誤だった」と言うのでは不十分であり,どのような錯誤があったのかを被告が主張立証しなければなりません。

今日は大変難しいところでした。お疲れ様でした。



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【参考本】


ゼミナール要件事実(2)





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最終更新日  2008年04月10日 20時46分45秒


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