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2005.01.21

最近嬉しい事続きでしたが、今回は溜息連発の、やるせないお話です。

昨年12月からお正月過ぎまで、3度に渡り、延べ25日間ほどホテルにご宿泊頂いたM様（男性・50代後半）。

彼が1度目に来館された時、チェックインを担当したのは、私と D君でした。

『僕はねぇ、夏にもここに泊まった事があるんだよ。』

嬉しい事ですが、その時の態度は少し横柄。　 “自分は常連なんだから、大切に扱えよ” 　とでも言いたげ＃。　

『ありがとうございます。』　とお答えしつつその場で、フルネームから宿泊記録を検索。　

予想通り。　　M様のお名前ではヒットせず。

『あら、○○○○様のお名前で、記録はございませんね・・・・。前回は何月頃でしたか？』　

『そう？　ふ～ん、、、、、。』　　彼はあっさり引き下がり、言葉を濁された。　

お顔に見覚えは無かったけれど、ご宿泊されたのは多分本当な気がする。　　

すると、「Ｍ」は偽名かな・・・。

Meiは彼を、要注意人物と判断しました。　

でもその夜、M様は何度かフロントにお起しになって、色々お話をして行かれた。　エレベーターに乗り込む彼を見送ったD君は、 『（M様って）良い人だ～♪♪』

本当だね：）。悪い人じゃないみたい。要注意人物なんて、失礼だったかな；P。

その日から、彼は7泊されました。

2度目は、ご予約無しで来館されました。

冬ソナが大好きな、K・Mさんが応対。　

『本日は全館満室です。』　とお断りしても、『僕は何度か宿泊している。どうしてもここに泊まりたい。』　と粘られたそう。　

既に“良いお客様”のイメージがあったため、思い切って確保しておいたお部屋を提供しました。

お手続きを済ませ、M様がお部屋に上がられた途端、今まで彼を黙って見つめていたK・Mさんは、自信に満ちた声で

『あの人、ズラだね』

『・・・・・さぁ～～・・・・（苦笑）』

『何で何で！　絶対そーじゃん！！』

『・・・・・・・・（笑）(笑）』

K・Mさんは、 『あの2人、絶対に不倫。』 　系の余計なお世話トークが大好きです（笑）。　

支配人もMeiも、良いお客様である限り、そんなの本当どうだって良いから、いつも相手にしない。すると少女の心を持ったK・Mさんは、余計騒ぐ(笑)。

この頃から彼は、毎晩毎晩、フロントスタッフの為に、お土産を買って来て下さる様になります。

彼は、うちのホテルのスタッフ皆を可愛がって下さったけれど、D君とMeiが2人で勤務している時が一番ご機嫌♪ 　

フロントに私達を見つけると、 『おっ、今日はハツラツコンビだね：D！』 　嬉しそうに、しばらくお話しして行かれました。

いつも年配の男性に可愛がられるD君をM様はベタ褒めで、ある晩など真顔で

『色んなホテルに泊まって来たけれど、青年（D君）ほど気持の良い子には会った事が無い。　本当に優秀

とのたまった。

『ゆ、ゆうしゅう～～？？　これがですか（爆)？！』 　　Meiがつつくと、D君は照れながらも満面の笑みでピースサイン。

エレベーターに乗るM様を見送り、D君はフロントカウンター下にしゃがみこみました。　“有頂天”とはこの状態を言うのか、の表情(笑)。

『やっべ～、マジ超嬉しい～：D：D♪♪　Meiさん、聞きました？？　ちゃんと聞いてました？？』

『はいはいはいはい（苦笑)。　でも、褒めて頂けて本当良かったね：D。私も嬉しいよ♪』　

頭をクシャっと撫でると、D君は又顔を真っ赤にし、膝を抱えて体を前後に揺らしながら感激に浸ってました・・・(笑)。

（※　D君とMeiは兄弟みたいです。　D君には、上海で知り合って今はイギリスに住む彼女がいます♪）　

3度目は、年末年始にかけて11泊されました。　

『お家に帰らなくても、宜しいんですか：）？』　

折を見て尋ねた時、M様は

『仕事があるし、僕は、3回結婚して3回離婚した独り身だからね。。。。』　と身の上話をされ始めました。

『僕はね、月々養育費を払ってるんだ。　何てつまらない人生だろう、何て自分はこんな風になっちゃったんだろうと、毎日悔やんでも悔やみきれずにいるよ。　

青年（D君）やMeiさんを見てると、人生をやり直したくなるんだよね。』

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・』　（←どう答えて良いのか分らない（汗)）

毎日一泊分ずつでしたが、滞在中の彼の支払いは、大変スムーズでした。　一度も滞った事は無かった。

又、何度か客室清掃の不十分さについて、注意して下さったけれど、あくまで

“親しい間だから、ホテルの為を思って言うだけ。どうこうして欲しい訳じゃ無い”

の感が有り、決して理不尽な怒り方はされませんでした。

いよいよご宿泊最終日の夜。　

彼は、　『今までお世話になったから。』　とMeiに包装紙に包まれた、小さなプレゼントを下さった。　

ピングーのイラストが付いた、水色のシャープペンシルだった。　『見ての通り、全然高いものじゃないけどね』　と、照れ臭そうだった。　

重々お礼を申し上げました。

チェックアウトの朝、M様は中々退室されませんでした。早番出社していた支配人が心配になり始めた頃、彼は慌てて降りてきて、

『遅くなってすまない。荷物を夕方まで預かってくれないか？　延長料金はその時払う』　

と、ボストンバッグを2つ預けて外出されました。

13時に出社したMeiは、支配人から　『後でM様が、荷物を取りに来るよ』　と伺い、　“ああ、最後のご挨拶ができるなぁ・・・♪”　と思いました。

でもその日、彼は荷物を取りに来なかった。

翌日、“おかしいね”　と話していた所へ、電話が入りました。

『突然で申し訳ありません。　岐阜○署の××と申しますが、Meiさんと仰る方はいらっしゃいますか？』

『私ですが・・・何か？』　

『お宅に宿泊していた、Mという男性をご存知でしょうか？』

『はい。良く存じております・・・・』

『Mとは偽名で、彼は本名をKと言います。　

昨日Kは、当署の管轄内で検挙（逮捕）されました。』

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

はぁ～・・・・・。 　何だか、そんな予感がしていたんだ。

続きます。

Mei

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