コチュとマヌルの奮闘記

コチュとマヌルの奮闘記

在韓日本人は単なる語学学習ではダメ!



私が最初、韓国に来て生活したところはソウルのカンナムというお金持ちの多い、オフィス街でした。ここで約1年。この時は研修生ということで寄宿舎で、数人の韓国人スタッフと私と同じ研修生20人くらいで生活してました。

この研修生たちのうち、最初から韓国語が話せたのは2,3人しかいなくて、常に韓国人スタッフとのトラブルが絶えませんでした。

私はこの時、韓国に来る前に日本で2年くらい韓国語の勉強をしてきていたので、少しは話せました。

ある日、この寄宿舎の厨房で食事の準備をするのに(当番制で食事当番があった)韓国人スタッフが「研修生のうち1人、厨房長を立ててほしい」といい、「韓国語が少し話せる人がいい」ということになり、私が指名を受けました。

いきなり厨房長という責任を与えられて、韓国人スタッフと食事当番の研修生たちとの通訳をしながら厨房での戦いが始まりました。

まだみんな韓国料理のこともわからないし、韓国語もわからないしで、スタッフの指示通りに食事を作ろうとしてもうまくいきません。

やたらと時間がかかるし、おいしくないし、みんな毎日のことだけに相当ストレスを感じていました。
私も日本で学んできた韓国語の能力では「調理用語」なんてひとつも学んでこなかったので、常に辞書を片手に通訳をしなければならなくてストレス。

この時に「ああ、ただ単に観光や留学、商用で一時的に韓国語を勉強する人たちとは、勉強の仕方が違うんだなぁ。」と気づきました。

私の場合は、「ここで生活する。一生、ここで生きていく。」わけなので「母国語を学ぶように韓国語を勉強しなくてはならないんだ...」と思いました。

それからは集中して韓国語の料理の本を買いあさって、韓国語で調理用語はどういう単語があるのか調べました。
こういった調理に関する単語や会話の勉強は、なかなか一般の韓国語会話のテキストには載っていないのですね。

料理をするにもスタッフが「材料はこうやって切ってくれ」「味付けはもっと辛く」とか韓国語でいろいろ指示をしてくれるのですが、研修生たちはみんな微妙な違いがわからず、本当に苦労しました。味覚に関することはやはり韓国人と日本人との違いなので、よくけんかにもなったりしました。

韓国語を学ぶということは韓国の習慣、思考も一緒に学んで初めて身についていくものなんだなぁと思いました。

こうして私が今まで日本で学んできた韓国語は単なる「学問」であったに過ぎず、韓国で生活して使うための韓国語ではなかったことに気づき始めました。

生活で使う言葉(衣食住)は普通、人間がこの地上に生まれてから社会に出るまでの「家庭」で学ぶ言葉が多いです。つまり赤ちゃんが親や家族から学ぶ言葉です。特に動詞(動作に関する動詞)は圧倒的にこの時期に学ぶものが多いです。

ところが一般の韓国語のテキストには「社会に出てから使う言葉」が多く、「家庭で使う言葉」が少ないです。

例えば...
子供がよく「おしっこしたい!」といいますよね。
これを韓国語で「オジュム ハゴシッポヨ」と日本語をそのまま置き換えて直訳的にいうとおかしいのです。
正確には「オジュム マリョウォヨ」と言わなければなりません。

「頭(髪)を洗う」もそうです。
これも「モリルル シソヨ」ではなく、「モリルル カマヨ」と言わなければなりません。

このような例はたくさんあります。

これらの言葉は「学校」で習うのでもなく、「社会」へ出て習うのでもなく、「家庭」で習う言葉なのです。だから韓国語のテキストにもこのような言葉はあまり出てきません。

それで私のように「ある程度日本で勉強してきてわかるはずだ...」と思っていた人が、いきなり韓国で生活に入って聞いたことのない言葉ばかり出てくるのでびっくりしてしまうのです。

テキストにもない言葉をどうやって学ぶのか...
これは韓国の子供たちが読む「絵本」で学ぶことができます。「絵本」や「アニメ」「子供番組(NHKの”おかあさんといっしょ”のような)」です。子供たちが読んだり、見たり、聞いたりするもので学ぶことができます。

私もそのように子供の読む絵本を読んで、目から鱗が落ちるようでした。
かえって家庭生活の中で使う言葉の方が、難しいのです。意外と子供たちの話す言葉がわからなかったりしました。

もちろん韓国語のテキストで基本的な文法は学ばなくてはなりませんが、それプラス「家庭生活用語」で使う言葉をまず覚えることが重要なんだなと思いました。









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