アンダーソンのマグカップ 南風一
お婆さんが大切にしているマグカップがありました
お婆さんの一日はそのマグカップで大好きなコーヒーを飲むことから始まります
昼食のあとやお八つの時にもそのマグカップでコーヒーを飲みます
随分年代もののはずですが 1カ月に一度は黄ばみを取っているので
今なお新品同様です
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純一は彼女が来るので 準備に大忙しでした
蒲団は友だち用に買ったものがあったので大丈夫でしたが
「うーん 淳子が泊まるとなれば あれはぜひ用意しとかないと・・・」
純一は年末の薬局に足を運んで照れながらコンドームを一箱レジに持って行きました
2000円で一本のくじ引きができるというので 純一はくじを引きました
「おめでとうございます。大当たりです。人気のアンダーソンのマグカップが当たりました」
そう言って店主はにこにこしながら 照れる純一にマグカップを渡しました
純一は薬局で貰ったアンダーソンのマグカップを下宿に持って帰りました
彼女がくるのでお茶を飲むのにちょうどよかったと思いました
それから数日後
純一の下宿に淳子がやってきました
純一と淳子はすでに婚約していましたが
同じ屋根の下に泊まるのは初めてでした
その日純一と淳子は初めて結ばれました
もちろんアンダーソンのマグカップは淳子にプレゼントしました
二人が一緒になってからも
引っ越しのたび アンダーソンのマグカップは淳子と一緒に付いていきました
そして淳子が初めて身体を純一に許した日のことを思い出させるのでした・・・
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