ものさし 南風一
人はピラミッドの一辺だけでは長さが分からなかったので
ものさしを発明した
ものさしによって
隣り合う辺が等しいか等しくないか
どちらが長いか短いか
比較できるようになった
それ以来
人はあらゆるものを比較するために
様々なものさしを作った
あいつはこいつより賢いという指数を作った
あいつよりこちらが偉いという職位を作った
ものさしに測られているうちはまだ良かった
俺より下の者は幾らでもいる
そう思って安心できた
しかしものさしの梯子を外されたとき
はたと困った
自分自身を何と比較してよいやら分からなくなった
「俺の人生は俺で測るしかない」
余生が少なくなって
ようやく気付くのだった
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