一銭の得にもならないことに 南風一
今なら
思いつきできみを呼び出すことはできない
今なら
一銭の得にもならないことに
休日の一日を
他愛ないデートに付き合ってくれる暇な人はいない
きみも俺も
一銭の得にもならないことに
好きだの嫌いだの
どうでもいいことに笑い合って
つまらないことに意地を張り合って
馬鹿な二人だったと思うけれど
一銭の得にもならないことに
わざわざ時間を費やして
人生を浪費してしまったように思うけれど
何億円をかけても
もはや作り出せないきみとの思い出を
一銭もかけずにきみと俺が作り出したことは
奇蹟というか幸運というか
人生の後半になっても忘れない思い出というのは
結局そんなものだけになって
きみと出会った時から全く進歩していない俺って
馬鹿というかおめでたいというか
死ぬ直前でも こんなのだろうね
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