一場の夢 南風一
ウィークデイの仕事と寝るだけの日々に戻って
1昨日発掘現場で撮った写真を
1年ぶりに再会した元ボランティア仲間に送る手紙を
したためる
彼ときみと俺の写った写真が1枚
それから彼ときみのツーショットが1枚
彼ときみはただのボランティア仲間だけど
二人で仲良く並んでいる姿は
親しい恋人同士のようにも見える
きみと彼にしろ
俺ときみにしろ
これほどの年齢差を
どうしろというのだろう?
よくよく考えれば気違いじみた妄想に過ぎなかったことに
思い至る
ありえないありえない
一時の快楽に釣られて
関係者数人から類の及ぶ数十人を不幸のどん底に突き落として
得られる快楽とは何か?
そんな一場の夢は
数ヶ月か数年もすれば儚くすぼんでしまって
失った代償の大きさに愕然として
後悔している我が身の愚かさが目に浮かぶようだ
そこでぶるぶると身震いして
休日の甘い幻想から目を覚ました
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