楽しい南の島

アニヴェルセルと同潤会アパート

その6・アニヴェルセルの巻

表参道へ出たわ。
あの倒産しちゃったHANAE MORIのビルの脇よ。
このビルに、おいしいチョコレート屋さんが入ってるの。
メゾン・ド・ショコラ。あ~、食べたいなぁ。
冬だったらお土産にしたいところなんだけど。残念。

ケーキを食べるのは、ヴァレンタインの時にお取り寄せをしたアニヴェルセル。
あの、おいしいチョコレートケーキ屋さん。
結婚式も挙げられるのよ。
ウエディング用の品々も扱ってるらしいわ。

大きなお店。カフェは、横手から入るの。
ちょうどランチタイムだからかな。けっこう混んでいる。

入り口を入るとき、ブルーベリーさんが、
「あれ、何だろう?」
シャンパンを飲んでいる人に注目。
「グラスに入ってる、丸いのはなんだろう?」
興味津々。

アライモノさんは、ケーキのショーケースもちゃんとチェック。
「どれがいいかなぁ。」
「シフォンケーキがおいしそうね。」

メニューを眺める3人。
SBBさんは、さっきのが気になって仕方がないみたい。
ベビーシャンパンって、このお店がはじめたのよ。確か。
そんな話もしたりして。

二人の気持ちは、すでにケーキからシャンパンソルベに!

えびも、それがいいなぁ。
で~~~も、顔に出る。その上すっごくハイになる。
今日はマズイわね。
ツアコンだからね。

ブルーベリーさんは、グレープのソルベ。
アライモノさんは、シャンパンのソルベ。
迷ったえびは、フレッシュオレンジティーにしてみたわ。

外の日差しが明るくて気持ちいいね。
テラスと店内の境の席だったから、なんとなく戸外の気分よ。

周囲の人は、プレートランチを召し上がっている。
「東京の奥様って、こういうお店でランチを食べるの? 優雅ね。」
「毎日なわけないわよ。」
「そういえば、人が多いね。」
「みんな働いてないの?」
「学生とか夏休みだからじゃない?」
「そうか…」

そうして、当然と言えば当然ながら、
ランチが気になる3人。

「ねえねえ、えびがゴロゴロ入ってるわよ。」
「あのサンドイッチおいしそうね。」
「ペンネが~~~!!」
「ボリュームあるわよね。」
「あのスープ、何だろう?」
「かぼちゃかしら?」

人の食べているお皿の上を「観察」そして「検分」。
腹八分なので、ついつい目がいってしまうのよね。

ブルーベリーさんもアライモノさんも、ちょいとご機嫌よ。
いいわ。いいわ。

おしゃべりにも拍車がかかる。
色々な話題が、出たり引っ込んだり、あっちからこっちへ飛んでみたり。

ブルーベリーさん曰く。
「初対面では、おとなしそうって思われるみたいなのよね。」
「???」
謎めくアライモノさんとえび。
「いつもスカートはいてるし。」
頷くアライモノさんとえび。

「しばらくすると、初対面の印象と違うわ~~。って言われるのよね。」

ははははは。
中身から知ってしまった私たちは、最初から違和感なく付き合ってるのに、
現実の世界で知り合ったら、やっぱりそう思ったのかなぁ。
おもしろいわね。

グラスに注いだシャンパンは、とてもいい香り。
綺麗な泡が、プツプツとグラスの中を上っていく。
ソルベが丸いボールになる。

それを見たブルーベリーさんは言った。
「トイレの芳香ボールみたい。」
ぎゃははははは。だから好きなのよ~~~~!!!

今度は、カフェでご飯もいいかもね。
なんて、もう次に会う時の話しなんかもしたりしてた。

さぁ、そろそろ行きましょうか?
このまま表参道を、原宿まで歩いてみようね。

ケヤキ並木が影を落とす歩道を、歩き始めた3人でございます。

その7・同潤会アパートの巻

いい心地の二人をご案内して、表参道を下る。
ケヤキの木陰がちょっとだけ涼しい。

マクドナルドの前を通ると、座席の向きが、
まるでパリのカフェみたい。
全ての椅子が、通りを向いてるの。

ブルーベリーさんとアライモノさんは、
「道路を向いて食べるのって……」
との感想だったわ。

表参道にはそんなお店が多いかもね。

しばらく歩くと、斜めに行ける裏道が登場。
当然ながら、そちらへ行く3人。
でもね。この道って入り口にしかお店が無いわ。

左手は、同潤会アパートの裏側よ。
蔦なんか絡んじゃって、風情があるわ。
古い建物なの。

「人が住んでるの?]
「エアコンの室外機があるから、住んでるみたい。」

窓の外の手すりには、洗濯バサミもあったな。
こんなに古くても、ちゃんと住人はいるのよ。

この一角だけは、時間が止まったみたいに見えるね。

この道を行ってもつまらないから、そろそろ表にでましょうか。
アパートの敷地を通り抜けて、外に出ることにした。

建物と建物の間の空間。
大きな木が日陰を作り、今では見かけなくなった井戸がある。
切り株には、きのこも生えている。

えびは、なかなか好きなのよね。ここ。

「このアパートに、雑貨屋さんとかギャラリーもあるのよ。」
「この雰囲気がいいわね。」

表参道に戻ったら、ちょうど雑貨屋さんがあった。
「ここに入ってみようか?」

アジアン雑貨のお店。
黒檀色の家具と、焼き物。布色々。
それにビーズで作ったランプなんかがあった。

ベトナムのかなり派手な色とりどりの小鳥が描かれた漆器も。
漆だというのに、オレンジや紫、それにシルバーがかった赤に青。
うーむむ。かわいいけど、どんな料理を盛り付けるというのかしら。

ブルーベリーさんが、かわいい薬味入れをお買い上げ。
白地に淡いオレンジで模様が描かれていて、真ん中に眠った猫ちゃん。
3つに区切られていて、使いやすそうだったわ。

「こんなの探してたの。」
いいものがあって、良かったわ~~。

お店を出て、表参道の交差点に近づくと、
前方は、すごい人。

道を挟んで反対側に、おいしいケーキ屋さんや、サンドイッチ屋さんもあるのよ。
なんて言っている間も、どんどん増える人波。

「うわー。なんでこんなに人がいるの?」
二人が驚く数の人々。
歩道脇のガードレールに腰掛ける若い人達が大勢いる。
「みんな、こうやって座ってるね。」

暑い真夏の日差しが、降り注ぐ交差点。
ただでさえ暑いのに、この人ゴミは暑さ倍増だわ。うー。

交差点を過ぎると、なぜか少し人が減る。

あと少しで、駅だからね。
スタスタ。
ツアコンえび、緊張しつつ歩くのであった。

その8へ



© Rakuten Group, Inc.
X

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: