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Bar UKからのお知ら… うらんかんろさん

2006/07/06
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カテゴリ: 法律、制度
貸金業者が利用者に対して付する利息の上限が20%になる方向。


他人にお金を貸したときの利息の上限について、利息制限法という法律は、金額に応じて年15%~20%の利率を定め、それ以上の利息を取ってはいけないと定めている。
一方、出資法上、金融業者は年29.2%の利息を取れる。
では、その20%から29.2%までの間の利息は何なのだというと、
「利息制限法上は取ってはいけない(借りたほうは払う義務はない)けど、出資法上は取ってもいい」という、よくわからない性質のお金で、これがグレーゾーン金利と言われてきました。

サラ金からの多数の債務の返済に困っている人が相談に来ると、まず業者に対して利用者のこれまでの利用歴を書面で出してもらえるよう要求する。その利用歴は29.2%の高利を取っているわけだから、利率を15%から20%にしたとしていくら残額が残っているかをシミュレートする。
当然、利率を低くして計算しなおすわけだから、利息が減る=利息の返済として業者が受け取ったお金が元金の返済に回る=債務総額が低くなる、ということになります。
で、本来ならもっと安くなるはずじゃないか、と業者と交渉することになります(裁判所が介入しない債務整理手続で「任意整理」と呼びます)。



と、個人的な事情はともかく。
利用者にとっては、利息が安くなるから、ありがたいことでしょう。
これまででももちろん、利息制限法所定の利息以上は支払う義務はなかったのですが、あえて「20%以上は払わないぞ」などと言う利用者は少なかった(そんなことを言い出すとサラ金がお金を貸してくれなくなる)。
返済がどうにも立ちいかなくなった人が弁護士のところに駆け込んで、そこで初めて利息制限法をタテにして「値切り」を行っていたわけです。大半の利用者は真面目に高い利息を払ってきた(おかげでサラ金各社は収益がよかった)。

もっとも、利率が下がると言っても、手放しで喜べないところもある。優良な(返済能力に間違いのない)人なら銀行などから低利でお金を借りられるが、そうでない人は銀行が相手にしてくれず、やむをえずサラ金を使う必要があった。返済能力に問題のある人(リスクのある人)なら、当然、お金を貸す対価(つまり利息)を多めに取らないと商売が成り立たないわけで、だからサラ金の利率が高いのもいちおう理由があった。
それを、利息制限法と同じにしろ、と言われると、その利率に見合わない高リスクの利用者は融資を断られることがある。その人たちが次に使うのは「ヤミ金融」ということになると、これはこれでまた別の問題が生じるわけでして。

そんなわけで、金利上限を20%に下げることが決まるまでには、もう少し議論がありそうです。





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Last updated  2006/07/06 04:28:28 PM
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