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Bar UKからのお知ら… うらんかんろさん

2008/05/29
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カテゴリ: 法律、制度
前回の続き。

それでゴマキの弟は、強盗致傷で懲役6年以上になるはずなのに、5年半になった。

今回はやや細かい話になりますが、
単なる情状酌量と、「酌量減軽」は大きく異なるということについて書きます。

世の中のたいていの犯罪には、酌むべき事情がある。
「いや、新聞やテレビを見てると情状酌量の余地のないひどい犯罪ばかりじゃないか」、と思う方もいるでしょうけど、それはああいう事件がセンセーショナルに取り上げられるから印象が強く残るだけであって、犯罪の99%には何らかの酌むべき事情がある。

そこで行われるのは単純な情状酌量です。
強盗致傷を例にとると、最低で懲役6年、最高で無期懲役。この法定刑(法律で定められた刑罰)の範囲の中で、なるべく最低ラインに近いところをとってあげようということです。


懲役6年より軽い罪を採用できるわけです。
どれだけ軽くなるかというと、一気に半分になる(刑法71条、68条)。

(なおゴマキの弟の場合、犯罪が一件だけなら懲役6年の半分で3年で済むこともありえたのですが、他に何件かの窃盗事件を犯しているため(併合罪、刑法45条)、罪が加算されて最終的に5年半になったと思われます)

かように、酌量減軽というのは刑の重さが半分になるわけですから、単なる情状酌量とは異なる、特別に酌むべき事情であることを要します。
有名な例としては、若い女性が長年に渡り父親から虐待(性的虐待を含む)を受け、思い余って殺した、といったケースがありますが、こういう余程の事情に限られます。

ゴマキの弟の場合はどんな事情だったかというと、「まだ若く、身重の妻がいるから」といったことのようです。
果たしてこれが酌量減軽に足る事情かというと、少し疑問な気もしますが、裁判官も強盗致傷という重罪を科するにあたって悩んだ末の選択であったものと思われます。

たぶんこの話がもう少し続きますので、飽きてなければお付き合いください。





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Last updated  2008/05/29 08:07:45 AM
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