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航のちちが 航平の気持ちに ‘揺るぎがない’と 思い知らされた日。
あの時は 航のちちが ちゃんと息をしているか
そっちの方が 心配だった。
航平の気持ちを受け
すぐには 処理しきれないでいる 航のちちに 私は
「パパ 航の気持ちはね・・・ 」
「航平だってさぁ~ ・・・ 」
「もう そろそろ決めないと・・・ 」
と なおも 畳み掛けるように 話し掛けた。
それは 考える時間が必要だった航のちちを
余計 追い詰めた。
ある日の夕食。
まだ はっきりした先が分からないで
悩んでいる航のちちに
「パパ これからのこと 少し考えた?」
と また 聞いてしまった。
あの日以来 私は 口を開くと こう聞いてしまっていた。
すると 「考えてんだから ご飯の時 その話しは止めてくれよ」
と 少し 語気強く 返されてしまった。
私も これからのことが 決まらなくて焦っていたが それ以上に 焦っていたのは 航のちちの方だった。
また ある時は
窓辺でタバコを くゆらせながら 「ママは よく平気だね~」
と言ってきた。
〈そうだよ ママは平気だよ
もう ずいぶん前から 覚悟しているからね〉
そう 返事するつもりでいた。
聞かれるまでは。
でも 航のちちから 「平気だね」という言葉がこぼれた時
「平気じゃないよ・・・」
と答えてた。
航の気持ちを 知ったあの日。
いよいよ ‘引退’のことを考えると
何をしてても 泣けてきた。
洗濯物を干してても 涙がこぼれた。
茶碗を洗ってても 買い物してても 涙が にじんできた。 お風呂を洗ってても 夕食の仕度をしていても
いろんな思いが 涙に変わった。
ただ 航のちちの前だけは 平気なふりをしていた。
〈次の世界にも 何かが待ってるよ〉って顔してた。
でも 本当は 平気じゃない。
航のちちのことを思うと・・ 航のちちの‘心中’を思うと・・・ 辛かった。
大きな決断に 苦しんでいるのが よく解かってた。
それは どれだけのものを 今まで費やしてきたか
側にいて 私が一番 よく解かっていたから・・・ だから
「パパ。 ママだって 平気じゃないよ・・・」って 答えてた。
そしたら 急に 涙が込み上げてきて パパの前で 泣いちゃったよ。
☆航のははの独り言(16) June 14, 2007 コメント(2)
☆航のははの独り言(15) June 12, 2007 コメント(2)
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