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今年の春 学校でクラスメイトに 「野球を一緒にやろうって また 言われちゃった」と 打ち明けてきた。 航のちちは 聞いて聞かぬふり。 そう 聖地のベルトを諦めきれないでいるからである。 解ってはいる。既にムシには興味もないと。 去年夏頃には 辞めたいと言い出していた。 そんな中 強豪メンバーが揃う ムシグラでベスト16に入り 続くIMFでは 優勝し 聖地では 3・4回目の準優勝をしてしまう。 それでも野球をやりたい!という気持ちを持ち続けているようだ。 迫る卒業の時期。 「聖地で優勝したら引退しよう!」 と準優勝をする度に また 卒業できないと悩む航。 決断をするのは 航のちちだけだった。 本当は 航のちちのために戦っていてくれたんだと気付く時が来た。 それは 野球部の体験入部。 自分が見つけた仲間の輪の中に入って行ってしまう航が 元気よく 楽しそうにしている。 今までは 指導するのは 航のちちの役目。 遂に来る時が来た。他人である監督さんにあずけるときが。 うちは男の子だけど 娘を嫁に出すって こんな感じ? ちちの不安をよそに 4時間の練習をこなしてしまった。 「どうだった?」 「楽しかった!」 野球を辞めるとは言わない。 翌日から ちちが帰宅すると 「キャッチボールをしよう~」と 「みんなに追い付く」と張り切っていた。翌日も 翌日も翌日も。 練習嫌いじゃなかったのか? 『背番号18 』 今は18番目の選手!上には沢山 追い越す者がいる。 体験入部で気付いたんだろう。 自分で探した事! 今度はちちがついて行く番である。 ムシキング大会に出場220回、優勝62+?勝、冠大会15冠、聖地準優勝4回 たいした成績ではなかったかもしれないが 聖地でのエントリーは32名にこだわり、 32名大会を中心とした大会、強者の集う大会、 「試合が開始したら 自分で考えろ!」すべては聖地制覇のためであった。 航のちちだけには 満足な成績であった。 朝寝坊なちちのため試合をこなす事もできず100勝には遠く及ばなかった! ムシを始めた時にたてた目標は『聖地で優勝する!』 その夢は叶わなかった。 しかし 新たな夢に向かうことにするか~。 最後は 航の思い出の地 IMFの会場、6月17日 ちびっこザウルスで卒業すると やっと航のちちが決断した。 航よ お前のおかげで 全国に沢山の仲間ができた! 夢も沢山みさせてもらった! これからは 良い仲間と良い指導者に囲まれ めざせ!夢はBIGに! いつかは 夢を叶えてみせてくれよ! 最後に 航のはは お前は最後まで必殺ふうじの意味も解らないムシ音痴だった。 意味もわからず よく付いて来てくれたね! しかし 一番の理解者でもあった!これからは 少し航のははにも... 背番号18番目は 真のエースを目指すことにしました。 ムシキングを通じて出会った方々 沢山の思い出 有り難うございました。 航のちち
June 16, 2007
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航のちちが 航平の気持ちに ‘揺るぎがない’と 思い知らされた日。 あの時は 航のちちが ちゃんと息をしているか そっちの方が 心配だった。 航平の気持ちを受け すぐには 処理しきれないでいる 航のちちに 私は 「パパ 航の気持ちはね・・・ 」 「航平だってさぁ~ ・・・ 」 「もう そろそろ決めないと・・・ 」 と なおも 畳み掛けるように 話し掛けた。 それは 考える時間が必要だった航のちちを 余計 追い詰めた。 ある日の夕食。 まだ はっきりした先が分からないで 悩んでいる航のちちに 「パパ これからのこと 少し考えた?」 と また 聞いてしまった。 あの日以来 私は 口を開くと こう聞いてしまっていた。 すると 「考えてんだから ご飯の時 その話しは止めてくれよ」 と 少し 語気強く 返されてしまった。 私も これからのことが 決まらなくて焦っていたが それ以上に 焦っていたのは 航のちちの方だった。 また ある時は 窓辺でタバコを くゆらせながら 「ママは よく平気だね~」 と言ってきた。 〈そうだよ ママは平気だよ もう ずいぶん前から 覚悟しているからね〉 そう 返事するつもりでいた。 聞かれるまでは。 でも 航のちちから 「平気だね」という言葉がこぼれた時 「平気じゃないよ・・・」 と答えてた。 航の気持ちを 知ったあの日。 いよいよ ‘引退’のことを考えると 何をしてても 泣けてきた。 洗濯物を干してても 涙がこぼれた。 茶碗を洗ってても 買い物してても 涙が にじんできた。 お風呂を洗ってても 夕食の仕度をしていても いろんな思いが 涙に変わった。 ただ 航のちちの前だけは 平気なふりをしていた。 〈次の世界にも 何かが待ってるよ〉って顔してた。 でも 本当は 平気じゃない。 航のちちのことを思うと・・ 航のちちの‘心中’を思うと・・・ 辛かった。 大きな決断に 苦しんでいるのが よく解かってた。 それは どれだけのものを 今まで費やしてきたか 側にいて 私が一番 よく解かっていたから・・・ だから 「パパ。 ママだって 平気じゃないよ・・・」って 答えてた。 そしたら 急に 涙が込み上げてきて パパの前で 泣いちゃったよ。
June 15, 2007
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私達の中で “引退”の言葉が出たきたのは 昨年の夏ごろ。 そのころから 私は 幾度となく “引退”のことを 航のちちに 持ち掛けていたが その度 航のちちは 答えを出さないまま でも 航平の “引退”の形をどうするか 考えていたと思う。 だから 今回のことが 突然のことのように 思われるかもしれないが 決して そうではない。 “引退”を意識しながら でも 航のちちの気持ちは 簡単ではなかった。 春に 航平が進級してから 少しずつ 周りが変わり始めた。 私が 以前から活動している 小学校の 〈読み聞かせボランティア〉には メンバーの中に お子さんが野球をやっている方が3人いる。 ことある毎に 「野球入んなよ~」と誘われていたが 「週末は ちょっと・・・」 と お茶を濁していた。 今年度になって PTAの役員に就くと また 野球をやってる方が3人いた。 この ボランティア活動のお母さん達と PTAの役員のお母さん達は お子さんが 野球でつながってるわけで。 すると 私の前で 面白い勧誘が始まった。 航平と同じ学年のT君のお母さんが 「ねぇ 〈読み聞かせ〉やってるの? じゃ Nさん知ってる?」 「あ~ はい」 「Nさんがね 航平君 野球に入れちゃえって言うのよ~」 別の日 やっぱり 航平と同じクラスのK君のお母さんが 「この間 T君のお母さんと 航平君 野球に入れちゃえ 入れちゃえって言ってたの~」 どうやら これは 『航平君を野球に入れちゃえ作戦』 らしい。 航平は 航平で 「今日 T君と野球に入るって約束してきたからー もうすぐ オレ 野球 始めっから」 と言ってきたり・・・ また 何日かすると 「野球部が なくなっちゃうんだって 人数がひとり 足りないって・・・ だから オレに入ってくれって言うんだよ もう 入ったほうがいいかな~」 こんなに 野球部のお母さんに接してるのに 人数が足りなくて 廃部になるなんて 聞いたことない。 プッ。 きっと 航平は吹き込まれたのだ。 でも 航平に入って欲しい と思ってくれるのは 嬉しかった。 そこへ来て 私は航平に 例の『メジャー』を与えていたから 航平の野球への気持ちは どんどん 膨らんでいったことだろう。 あとは あとは 航のちちだけだった。
June 14, 2007
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先日 自転車を転がし 航平の学校の途中にある スーパーへ買い物に出掛けた。 店内を歩き回った後 レジを通り 買い物袋に品物を入れながら スーパーの時計を見ると ちょうど 航平の下校時刻。 【もう 通り過ぎちゃったかな? 今 どの辺だろ?】 後ろを気にしながら 前へ進む。 最初の曲がり角を 曲がると 子供達の姿が見えた。 【いた! いた!】 下校時 いつも子供達に付き添ってくださる ボランティアの方も いらっしゃる。 私は ボランティアの方に追いつき 「こんにちはぁ いつもお世話になってます」 と 声を掛けると 「あー!! ビックリした! 後ろから 急に来るから 」 と 驚かれてしまった。 「いつも ありがとう ございます」 挨拶しながら 【驚かしちゃって ごめんなさい】 である。 ボランティアの方よりも 少しは離れて 前を歩いている 航平たちは 全然 私に気が付いていない様子。 その方がいい。 私を見つけると また 自分の荷物を自転車に乗せようとする。 航平がそうすると みんな 「ずるーい」が始まって 面倒なことになる。 しかし 子供同士で じゃれ合いっこ しているうちに 航平の視界に私の姿が入ったらしい。 「おー かあちゃん いたんかー」 「あんたー 危ないよー まっすぐ歩きなー!」 喝を入れる。 しばらく歩くと 前の方から 近所の1年生が現れた。 1年生は まだ 他の学年よりも 下校が早いのだ。 その後ろに その子のおばあちゃんがいる。 先に帰ってきた弟が おばあちゃんと一緒に お兄ちゃんを迎えに来たのだろう。 しかし 何かに 立ち往生を喰らっている。 よく見ると ヘビだ! ヘビが道端にいたのだ! それを見つけた 航平たちは ヘビに 石の雨を降らせた。 「やめなさーい! いたずら すんじゃないよ!」 と私。 ボランティアの方は 「噛まれちゃうぞぉぉ」 とニヤニヤしながら 一緒に 面白がってる感じ。 おばあちゃんは 「私は ヘビが一番嫌い。 一番嫌い」 を 何度も繰り返し その場で固まっていた。 子供達は ひとしきり ヘビに悪さを働くと また 家に向かって歩き始めた。 すると 航平が私の脇に ピッタリくっつき 誰にも聞こえないように 「ねぇ オレ 野球 入るんだよね?」 と 聞いてきた。 私は 一瞬 まったく 突然の質問で へんな 間を作ってしまったが 「うん それは航平が決めることだよ。 航平の気持ちが固まれば すぐにでも入れるよ」 と返事した。 「じゃ オレ やる! もう 今度の練習から行くから!」 力強く そう答えると 私の側を離れた。 航平が “野球”をやりたいと言っている。 私は これからのこと・・ これからのことを考えた。
June 12, 2007
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今度の水曜日には 遠足がある。 それまでには 良くなるだろう。 と 考えていたが 月曜 火曜と お腹の調子は良くなかった。 遠足 当日。 食欲も戻らないので お弁当は少な目にして 持たせ 「体調が 悪くなったら すぐ 先生に言うように」 と言って 送り出した。 空は 今にも泣き出しそうな 曇り空。 【どうか 雨に降られませんように・・】 と 航平が帰って来るまで お天気ばかり 気にしていた。 そろそろ 航平が帰って来る。 すると 航平が鼻歌を歌いながら 帰って来た。 ひと目で “絶好調!” だと分かった。 私の顔を見ると 開口一番。 「ママァー お弁当足りなかったよー!」 【おー お腹も良くなったんだ!】 「あー ごめん ごめん。 雨に降られなかった?」 「ん~ 降ったよ~ でも 平気ぃぃ」 【多分 降られてないんだ】 航平は いつも適当な返事なので そういうことなのだと すぐ 解かった。 「楽しかった?」 「うん。 おやつが余ったから 食べよう」 【本当に 適当な人だ】 この日から 航平の体調は すっかり 良くなった。 そして 体調が戻った航平は しばらく 食事が摂れなかった 反動か。 すごく 食べるようになった。 「航平 ご飯食べるようになったな~」 航のちちは 毎食のように この言葉を口にしている。
June 11, 2007
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学校からの 電話で すぐに迎えに行き 早退させ 翌日は 学校を休ませた。 休んだその日は 熱が出ることがなかったので 次の日は登校させ 下校後 スイミングへも行かせた。 しかし どうも お腹の調子が悪いらしい。 食欲がなく お手洗いへ 行ってばかりいた。 土曜日は ママ友達から 〈野球の試合がある〉と 聞いていたので 家族で見学へ行こうと 出掛けてみた。 ところが いつになっても グラウンドに それらしい姿の人達が 現れない。 実は 〈試合がある〉 というのは ママ同士の会話の中で ちょっと 小耳に挟んだもので きちんと 時間と場所を確認したものではなかった。 詳しく聞くと 〈野球に入んなよ! 入んなよ!〉 と盛り上がってしまうので こっそり 見に行きたかった。 しかし こうしていても 仕方がないので ママ友達へ連絡することに・・・ すると 試合は今日ではなく 明日だった! 航のちちと 航は 「おかしいー と思ったよー!」 とブーイング。 大変 失礼しましたぁー。 である。 今日は いつもの練習場にいるというので どうせ もう ママ友達にバレバレだし 練習場へ顔を出すことにした。 グラウンドへ着くと 〈おぉぉー やってる! やってる!〉 高い 緑のフェンスの中 子供達と何人かの大人たちが いくつかのグループに分かれて 練習をしていた。 監督さんらしい方に 見学を申し込むと 中へ通していただいた。 すぐに 航平のクラスメイトが 航平に気が付き 「あっ! 航平だ!」 「あっ 航平!」 「航平!」 と 声が上がった。 航平は 少し照れくさそうに 体をクネクネさせている。 練習の様子を見ていても 航平は飽きてしまうし 航平の友達の気も そぞろなので 「一緒に 参加させてもらったら?」 と 航のちちと 私 どちらからともなく 「ほら 行ってこいよ」 「やってきたら?」 と 声を掛けた。 もぞもぞしている航平をよそに 「あの~ 体験できますか?」 と体験までさせていただくことにした。 航のちちと 航平の様子を見ていた。 同じ学年の子供達とは 同じクラスだし 放課後の遊び仲間だし 何も違和感がないらしい。 でも 肝心の野球の方は 全然ダメ。 航のちちは 「大丈夫かね あれは」 と呆れてる様子。 でも 本人は 楽しそうである。 先ほどの監督さんらしい方は やはり 監督さんで 「今日は5時まで 練習する予定でいますので また そのころ 迎えに来てくださればいいですよ」 と 言ってくださった。 私達は 航平を預け そうすることにした。 しかし しばらくすると 航平はこのところ 食欲がなく 朝から ほとんど 食べ物を口にしてないことに気が付いた。 飲み物は持たせたのだが・・・ それに 今日は真夏日になると言っていた。 大丈夫かな・・・ 航のちちと 私は 少しばかり そのことを気に掛けていた。 良い時間になったので グラウンドに戻って来た。 なんとか みんなに付いていったようだ。 いささか 顔色が良くないが 気力はあるように見えた。 みんなとの別れ際 他のコーチ達に 「また 来週待ってるからな」 と 声を掛けられていた。 航平は 上手に返事を返せなかったが 多分 嬉しかった と思う。 車に乗り込んでも 「もう 行きたくない」 とか 「やっぱ やりたくない」 とか そういう言葉は 一言もなかった。 何か 泣き言でも言うかと思っていたのだが・・・ しかし やはり 体調が万全ではなかった。 お風呂に入り 夕食に少し手を付けると 「気持ちが悪い」 と言い出した。 そして 寝床へ入ったかと思うと すぐ 「パパ ダメだ」 と言って 慌ててトイレへ駆け込み 戻してしまった。 ちょっと 無理をさせてしまった。 明日は ゆっくり 休ませなくては・・・
June 6, 2007
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私は このブログを書く時 だいたい図書館へ出掛ける。 そして 学習室を借りる。 先日 いつものように 学習室でペンを走らせていると 私の席の前に ひとりの女性が座った。 後ろ姿しか 分からないが 髪が長くて 女の子らしい服装で まだ若い子らしい。 〔そうだよね ここを利用するのは学生さんだよね。 学生さんが 私を見て(うわっ おばさんだ)って感じるだろう〕 しばらくすると 私は集中力が 途切れてきた。 ボーッと 前の学生さんに視線を置くと 彼女のバックに見覚えが・・ 〔あれ? あのバック 見たことある! あれ? さっちゃん?〕 そう思ったら 彼女の後ろ姿から 目が離せなくなった。 〔あれ? そうだよね? ん? 違う?〕 答えが出ないので 私は席を立つふりをして 彼女の横を通ってみた。 すると 彼女は声を出さず 顔だけで〈ここは図書館なので〉 「あーっ」 と立ち上がり 私も こそこそ声の一番でかい声で 「やっぱりぃぃ!」 と言った。 さっちゃんは 子供さんが3人いるママさん。 一番上の子は 航平と同い年で 一番下の子は 幼稚園。 でも 『もう一度 勉強したい』 と言って 学校へ通っている 歴とした 学生さんだ。 とても 3人の子供さんがいるママには見えない かわいらしい女性だ。 「さっちゃん 勉強?」 「うん 来週までにレポート出さなくちゃいけなくて・・ あ! ところで今日はどうしたの?」 「あー 私? 私は えーっと ん~とねぇ」 「勉強?」 「あっ いや そんなんじゃないよ~」 その場では 答えられなかった。 でも お昼には切り上げて 一緒にランチしょう ということになった。 ランチしながら 実は ブログをやっていることを話した。 「へ~ 毎日書いてんの?」 「うんん。 毎日なんて とても・・ 私は 下書きしないと 文章書けないから。 一日分書くのに 2.3日掛かるんだよ」 「え!? じゃ あそこで下書きしてたの? 二度手間・・だよね・・」 「二度手間? ・・ん~ そうだね」 二度手間どころか 何度でも書き直す。 でも 苦じゃない。 文才もないし 不器用なので 時間も手間も掛かるが・・ 嫌いじゃない。 今日も 下書きしに 図書館へ来たのだが・・ 【ブー ブー・・】 バックの中で携帯が震えてる。 携帯を開くと 航平の学校からだ。 慌てて外へ出て 問い合わせる。 「航平君が 熱を出したので迎えに来てもらえますか?」 「はいっ。 すぐ行きます」 そういえば 今朝 「気持ちが悪い 」と言っていた。 私は 〈怠け病〉 かと思い。 「学校へ行きなさい」 と送り出してしまった。 悪いことをしてしまった。
June 1, 2007
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5月 20日 親子で 『ミュージアム杯』 だなんて こんなチャンス 最後かもしれない。 今日は ビデオを持っていこう。 でも 実際 カメラを回せるか分からないけどね・・・ あんまり緊張してしまうと 他のことなんて どうでも よくなっちゃって オロオロしちゃうことの方が多い。 でも 一応 持って行くか・・・ と いつもより ひとつ荷物を増やして 出掛けることに。 1回戦は 第6試合目。 トーナメント表の左側の戦いが終わるまでは 同じところで ジッとしていたが 航平の番が近づくと ビデオのことで 頭がいっぱいになってっきた。 私は 落ち着く場所を探すべく 後ろへ下がった。 【ど どうしよ ビデオ撮った方がいいかなー】 ふたりとも 前にいて 今日は少々 心細い気がする。 【でも せっかく 持って来たのだ! 勝っても 負けてもカメラを回そう! そう 思い出 思い出!】 そう 自分に言い聞かせ 録画ボタンを押す。 カメラを覗き込むと 私は画面を見ているのに アングルやら きちんと画面内に 対象が収まるっているか そればかりに 気がとられて 内容は ほとんど頭の中に 吸収してこなくなる。 航のちちが 元の場所に戻りながら 子供みたいに 喜んでる姿を撮り 勝ったんだと 解かった。 【勝ったのはいいが ビデオ どうしよ・・】 2回戦目。 【ま まぁ 気楽に! 気楽に!】 と 心の中で 自分に声を掛ける。 しかし 心臓が バクバクいってて それが 手にも伝わってきて ビデオカメラが 心臓の鼓動と同じように揺れる。 それが 会場のみんなにも バレているようで 【落ち着け 落ち着け】 と自分自身に・・・ いや 我がチーム 『ふくつだましい』 に声援を送っていた。 【え!? 航平? 落ち着け! 落ち着け!】 でも 試合は あっけなく幕を下ろし 敗退。 私は ビデオカメラを持ってて しびれた右手を下ろした。 航平は 私の側に ポンポーンと 跳ねるように寄ってきた。 「お疲れ様」 と声を掛けると ボソッと 「オレの出番なし」 と言った。 「イーッ! あれ パパだったの!!」 【ダメじゃん パパ~】 後から 航のちちがヨレヨレになりながら 帰ってきた。 「あ~ ダメだった~ 航平に悪いことしたー」 「あー」 「あぁぁぁ」 頭を ブランと下げる航のちち。 それでも 航平は 悔しそうにしてる風には見えなかった。 まっ パパひとりの負けだから 責任がなく 気楽なのか。 あっと言う間に 航の姿はどこへやら。 こういう時 始末が悪いのは 航のちちの方だ。 自分の手に自信があるだけに 負けたことに 納得できなくて 諦めが悪い。 それに 今回は航平に対して 自責の念もある。 「航はね 〈オレの出番なし〉って 言いながら あっけらかん としてたよ」 「いや。 負けたとき 航の顔を パッと見たら オレのパパが負けるはずない。って顔して 目にうっすら 涙浮かべてたよ」 そう 小さく言った。 私は さっきまで 平然としている航平を お気楽だと 思ったいた。 ・・・そうだったんだ。 それから 航のちちは その日 寝床に就くまで 「あー パパの手がなぁ・・」だの 「航平に 一回 交替しておけばなぁー・・」だの 天を仰いだかと思うと うな垂れ 「あー」だの 「うー」だの 飲んだくれの おやじのように うるさかった。 私が 全身心臓になりながら 撮ったビデオは 封印するしか なさそうだ。
May 29, 2007
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5月 15日 昨日は 『対戦バトラーズ 親子大会』に また また 電話がつながった。 恐るべし! 航のちち・・・ である。 習い事が終わり 家に着いて 車から降りる時 航平は 車に乗せっぱなしになっていた カードの入った バックを 慌てて降ろした。 「あら!? 珍しいね~ バック降ろすの忘れてたの よく 気が付いたね~」 「練習しないとね~」 「えっ! 練習!?」 「パパの試合のカン 取り戻さなくちゃね~」 「ハハハー」 いつも 自分が言われていることを 格好良く言うので 笑ってしまった。 正直 少し嬉しかった。 建前で言ってるにしても 航平の口から そんな言葉が聞けるなんて なんだか くすぐったい。 夜は 早速 航のちちと練習していた。 しかし 航のちちは 15分も練習すると 「よし もう いいよ あとゲームしていいよ」 と あっさり練習を終わらせた。 航のちちは 航平から「練習する」 と言い出してくれたことで 気持ちが 満たされたのか 私には 航のちちが とても すがすがしく 映った。 次の日も その次の日も 航は 「練習する」 と航のちちに言ってきた。 でも 寝る時間 間近で切り出すので ほんのわずかの練習だったり 「今日は遅いから 止めておこう」 と練習しなかったりだったが・・・ ずっと 航のちちが 穏やかに見えた。 いつもだったら もっとカリカリして 「ほら! まだ やるぞ!」 と もう 眠くて 目が半分閉じかかってる航平に 容赦なく 練習を迫っていたのに。 今回は 少し 違っていた。 航平の方が 「あーぁ 練習したかったのになー」 なんて しおらしいことを言っていた。 ふたりが あんまり普段と違うので 航平は 「自分は練習したっかたのに パパが練習してくれなかったからだよー」 と 負けた時の 口実にしようとしてるんじゃないか・・ 私は こんな よこしまな ことを考えてしまった。 そんなことを しているうちに あっという間に 博品館へ行く日が来てしまった。
May 28, 2007
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‘応援’というと ついつい 熱くなってしまう。 プロレス観戦の時 航のちちが 「あれ! おまえの声なの!?」 という顔をしたのを見て 昔 航のちちと プロ野球観戦 した時のことを思い出した。 航のちちは プロ野球が大好きで シーズンになると 毎年 東京ドームへ 何度か 足を運んでいた。 多い時には 年に8回。 それも 外野席じゃなく バックネット裏とか ちゃんとプレーが見える席だ。 とにかく チケットが手に入る時は お金に糸目をつけず 「買っちゃえー」 って感じだった。 それで いつかの観戦の時 そう まだ ふたりとも 互いを気遣っていた頃だ。 売店で お弁当を買って座席に向かう。 座席に着いて ゲーム前の選手のウォーミングアップを見たり ドームの空間を楽しんだりしていると プレイボールの時が来る。 試合が中盤にもなると 内野のお客さんの中にも 「○○ 打てよー!」 なんて声援を送る人が出てくる。 〈あ~ 今度はお弁当作ってこようかな~〉 なんて思っていたら 後ろの方で やっぱりエキサイトしてきた おじさんが 立ち上がって 腕を大きく振りながら 巨人の選手の名前をコールしている 「○○! ○○! ○○!」 「ほい! それじゃーみなさんもー!」 「○○! ○○! ○○!」 でも 内野席でこういう みんなで声をそろえて応援することって まず ない。 みんな 見て見ぬふりをしているようだ。 航のちちも 「あの人 見てごらんよ。 あんな 立ち上がっちゃって。 恥ずかしくないのかね?」 と私に 耳打ち してきた。 そして もう一度 おじさんを見て 「誰も相手にしてないよー」 と 私の方を向き直った。 すると 航のちちは ギョッとした顔で私を見た。 私も立ち上がって おじさんと一緒に こぶしを突き上げ 同じリズムで 選手の名前をコールしていた。 〈おっ おまえ何やってんのー! おまえ そういう奴なのー!〉 航のちちの 心の声が聞こえた気がした。 私も心の中で 〈ごめん 隣で恥かしいだろうけど 応援させてもらうよ〉 と 答えていた。 おじさんと私は パチッ と目を合わせ 気が済むまで 応援した。 航のちちは 私の隣で小さくなっていた。 まぁ 東京ドームでは さすがに・・ あのおじさんが 私の応援魂に火をつけたからで それ以来 なるべく なるべく おとなしく 観戦しているが 航平の運動会の時が また ファイヤーしてしまう。 幼稚園の時も 小学校に入ってからも もう リレーなんてなると 「航平ぇぇぇ ぬけー! ぬけー! ぬけー!!」 と 何かに取りつかれたように 応援してしまう。 航平が 駆け抜けてしまった後 周りは ドン引きである。 私を知っている方は 顔を引きつらせながら 「ハハッ すごいね」 と小さく声を掛ける。 私は 我に返り 「やっちゃたよー」 と自己嫌悪に陥る。 みんなの中にある あの時の私の姿を みんなの記憶から消してくれー! と願う日が しばらく続くのである。
May 18, 2007
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4月 28日 「ワン! ・ ツー! ・ スリー!!」 カン! カン! カン! カン! カン! テリー! テリーが勝ったぁ! やったよ! テリー! 苦しい戦いだったけど よく戦い抜いてくれた! 私の応援も報われたってものだ。 私は 航のちちの元へ駆け寄り 「良かったね~ 今日は来て 良かったね~」 と喜びを 伝えた。 帰りは H・S君と ママさんと 駅まで一緒に歩いた。 いろいろ会話していると H・S君のママさんが 「すごい 応援してたよねー」 と 言ってきた。 〈ドキンッ!!!〉 〈ゲーッ! バレてるぅぅぅぅ〉 誰にも 気づかれてないと思ったのに! とっさに 「はい! 私が一番応援してました!」 と開き直ってしまった。 H・S君のママさんは 苦笑していた。 〈でも 本当だよ。 私が一番テリーを応援していたんだよ。 絶対 テリーに私の声が聞こえていたはずだ! 素晴らしい 応援だった!〉 私は 心の中で 自画自賛していた。 「でも テリー ちょっと 怒ってた感じだよね~」 「へっ?」 H・S君のママさんの言葉に 驚いた。 そういえば 私は試合内容を ほとんど覚えていない。 どんな技が出たとか どんな風に勝ったとか・・ 応援に 我を忘れていた。 「いつも 勝者は花道を戻るのに 客席の間を通って帰って行ったでしょ~ あれ 納得してないんだよねー」 「え? そうなんだ~」 「ん~」 つかの間 沈黙があった。 どうしてだろう 何かあったのかな~ ベルトを手にしたテリーは 何を考えていたのだろう。 横を歩いている航のちちも 何か考えているようだった。 最近になって 航のちちが あの日の テリーのことを話していた。 「試合に勝ったからって それで良いんじゃないんだよ。 やっぱ 試合内容がよくなくちゃ。 自分が 納得してなくちゃ。 パパだってそうだよ。 中身がなくちゃ 勝っても嬉しくないもんねー」 航のちちは 自分とテリーを 勝手にダブらせていた。 本当のところは テリーに聞かなきゃ 分からない。 でも もし そうだとしたら・・ 何故か テリーが ちょっと 『いい男』 に思えた。
May 17, 2007
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4月 28日 『プロレス』なんて 殴り合い 蹴り合いで なんというか・・・ 苦手な世界。 でも 始まってみると 以外に人間味があるというか。 レスラー同士のやり取りが 面白い。 悪役?みたいな ヤな奴っぽいのに 憎めない レスラーがいたり 敵のパンツを そのまま クッとお尻に食い込ませて コミカルで 笑えたり・・ また リングのロープを使っての 軽やかな 身のこなし 見事な チームのアクロバティックなプレーに 観客は 魅了されていた。 さて いよいよ 私にとっての メインイベント テリーの試合の時が来た。 セコンドのネブ博士は バーコード白衣の裾を 床すれすれのところでひるがえし その後ろから 『テリー』 登場である。 私は 航のちちに 「応援しなくちゃね! 今日は応援しに来たんだからね!」 そう言って 席を立った。 向かった先は 一番後ろの 子供達のいる場所。 自分より前にしか 人はいない。 ここからなら 目立たなくて 大声出して応援できる。 子供達の声に まぎれさせてもらってね。 ひとりの子から 「ネブ博士が 手をたたき始めたら 応援を始めるんだ ネブ博士が止めたら 止める。 いいな!」 という お触れが出た。 そんな約束事があるんだ~ なんだか 楽しくなってきた。 しかし 個人的な応援は 勝手にやらせてもらう。 さぁ ゴングが鳴り 試合が始まった。 テリーの強さを見せて欲しい! ところが 序盤から試合展開が悪い。 「テリー がんばれー!!」 いきなり 応援全開だ。 「ネブ博士が たたいてる!」 子供の声に テリーコールだ。 「テ・リ・イ! テ・リ・イ! テ・リ・イ! テ・リ・イ! 」 誰よりも 誰よりも 大きな声で応援しなくちゃ! 私の声を テリーに届けなくちゃ! 「止めろ! ネブ博士が もう たたいてない」 このような 応援の途中 ひとりの子が 「前に行こう! もっと良く見えるし 声も届くよ!」 と言った。 「あっ いや 私は・・・」 さすがに遠慮した。 一番後ろでなきゃ この応援はできないよ。 子供達は パーッと前へ移動して行った。 私は ひとりで声を張り上げていた。 ひとりぽっちだと ちょっと恥ずかしさも覚えるが どうせ 暗がりだし 誰だか わかりゃしないよ。 何人かの 冷たい視線を感じながらも 「テリー がんばれー!!」 と応援していた。 すると 子供達が すぐ 戻ってきた。 そうだろう そうだろう! 今日は 私がいないと 応援が盛り上がらないよー!! テリーコール 再始動だ! 何ラウンド目だろう。 私は一度 航のちちのところへ戻って 「ねぇー 応援聞こえてる?」 と聞いた。 「聞こえる 聞こえる すごい 聞こえてるよ」 「ママの声って 分かる?」 「ママの声なんて 全然聞こえないよー テリー テリーしか 聞こえないよ」 「それ ママの声だよー! 一番でっかい声出してるんだから」 「い?」 私の顔を キョトンとした顔で見て 言葉を失っていた。 しかし その方が 私には好都合だ。 私の声だと 航のちちにも 分からないのなら 他の人にも 大人の声だと 分からないはずだ。 私は ‘しめしめ’ とほくそ笑んで 子供達のところへ戻り そして 力の限り 応援した。 「テリー! テリー! がんばれー!!」 ちょっとのどが痛くなってきた。 でも 応援を止めるわけにはいかない。 明日 私の声が出なくなっちゃってもいい。 テリー! ベルトを取るんだぁぁぁ! (つづく)
May 16, 2007
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4月 28日 行って来ました。 ムシキングテリーの応援に!! 普段だって プロレスなんて テレビで回すことなんてないのに 『プロレス観戦』なんて! 私の人生の中に こんなことが組み込まれているとは 思わなかった。 会場に足を踏み入れると 白~い もやのようなものが かかっていて 少しばかり 息苦しいような気がした。 すり鉢状になった 上階の席からだと 会場中央の 四角いリングが 小さく見える。 〈あそこか~ あそこで試合するんだ~〉 「プロレスの選手って 結構 いい男いるんだよー」 隣で そう教えてくれたのは H・S君のママさん 「えっ! いい男って こっからでも分かりますか!」 「うん うん」 H・S君のママさんは 小さくうなづく。 おっと 『いい男』に敏感に反応してしまった。 生まれて初めての プロレス観戦。 『いい男』って どんなだろう・・ 待ってる時の時間って 長いものだ。 〈まだかな~〉と思っていると 航のちちが 「あっ! ママ ネブだ! ネブ博士が後ろにいる!!」 と 興奮しながら 私の肩をたたく。 「えっ!?」 私は 体を思いっきりねじって後ろを見たが 視界に入らなくて・・「どこ? どこ?」 と捜しているうちに 航のちちは 「ちょっと 行ってくる!」 という言葉を残し ネブ博士のところへ飛んでってしまった。 〈まったく 航のちちったら・・ 〉 何を隠そう 航のちちは ネブ博士の隠れファンである。 ネブ博士を見掛けると 磁石のように くっついてってしまう。 子供ならまだしも おじさんが寄ってきてしまうなんて ネブ博士は 迷惑なことだろう・・ 少しすると 航のちちが戻ってきた。 「ネブ博士は プロレスが大好きなんだってー」 航のちちの声は 嬉しそうに 弾んでいた。 航のちちは ネブ博士が あのバーコードでふち取られた白衣を身に着けている時と そうでない時が ちゃんと分けてあるところが 好きらしい。 あの白衣に袖を通している時は ネブ博士。 でも 一旦 白衣を脱ぐと 気取らない 飾らない 普通にお兄さんとして ひょいっと 現れるところがいいね~っと・・ そうこう しているうちに その時が近づいてきたようだ。 ふいに 会場が真っ暗になり そして 多数のライトが 場内を踊ったり リングに集まったりしている。 リングから のびた花道で 炎がゆれる。 いやおうなしに 気持ちが高ぶる。 〈おー それらしくなってきたねー〉 私は 心の中で声が上ずった。 (つづく)
May 14, 2007
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ひと月程前、あるブログで 『メジャー』という マンガが 面白い。 と あったので 初めは 「野球マンガか~」 と思っていたのだが それから しばらく とても 気になったので ある日 古本屋に 足を運んでみた。 それで とりあえず 1~4巻の4冊だけ 購入してみたのだが・・・ これが 本当に 面白い!! 野球のルールーがあまり分からない 私でも 抵抗なく 楽しめる。 というか 野球のルールーが分からなくても 野球という スポーツの魅力を教えてくれる。 お財布と相談しながら チョビチョビ 買っているのであるが もう 最後のページをめくり終わると 「あー! 次は どうなるのよー」 って感じ。 元々マンガが大好きな航平は ジャンルなんて気にせず すぐ手に取った。 航平は 字をちゃんと 拾ってんだか なんだか 1冊を10分もしないで 読んじゃう。 4冊買ってくると 30分くらいで読んじゃう。 途中 笑ったりして 私に 「ここ見てよ~ こうでしょ こう ガハハハ・・」 なんて言ってるから 内容はちゃんと 分かってるらしい。 それでまた 一遍読んだやつを 何十遍でも読み返す。 これは 『メジャー』に限らず この子は マンガをこのようにして読む。 航のちちも 私が あんまり 「面白いよ」 としつこいので 渋々 本を開いたのであるが 今は 1冊読み終わるごとに 「うわぁー 打たれたぁー これは入っちゃったのぉぉ? 次何巻だっけー 航平 取ってよー!!」 ってな 具合で 今 ちょっと『メジャー』にハマッてます。
May 11, 2007
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4月 17日 練習をしないで ジョイポリへ行き 「ノルマを達成しても 手が悪い」 と 叱られた航は この日の ちちの練習の誘いに 強く断れなかった。 あの日 手が良かったのなら 「練習しなくても 大丈夫だよ」 と 大きく出られたのに 〈ちょっと ヤバイかな~〉 と思ったのか・・ この場合 本当に 〈自分でも手がヤバイ〉 と感じてヤバイのと 〈いい加減 ちちに付き合わないと 機嫌が悪くなるからヤバイな~〉 の二つにかかるのであるが。 ちちの 「練習するか?」 のひと言に 以外にも すんなり 「うん」 と返事した。 航のちちは 嬉しくて仕方ないという顔になり DSの準備にかかる。 互いが試合の制限を交わすと ふたりは しばし無言で試合を始める。 DSからは おなじみの ムシキングの効果音が流れる。 いつもだと・・ ゴロゴロしながらやってる航が 静かに泣き始める。 そして、鼻水をズルズル吸いながら ヒック ヒック と肩が揺れ そのうち 大泣きしながら 切れモードに入る。 こうなると もう 本人はヤケクソになっちゃって 試合にならない。 航のちちも 苦笑いしながら 「はーい もう 今日はおしまい」 と言って DSをパタンと閉じる。 でも 今日は 調子が良いらしい。 航平のすすり泣きも聞こえてこない。 ほどなくすると 航のちちが 「おまえ なんで その手出したの?」 と 航平に 優しく聞いた。 「えーっと これこれ こーで こうだからさぁ~」 「ふ~ん」 と頷く 航のちち。 航平の説明に だんだん口元が ゆるみ 目が三日月になって 垂れてくる。 航のちちは 軽やかに 立ち上がり 「いいよ。 正解だ 航! ちゃんと 根拠があって その手を出してんだ」 満足げに 航に 言葉を掛ける。 そのうち 私に向いながら しかし 自分に言い聞かせるように 「もう いいね~ いやぁ~ 航平の手 良くなってるよ。 良い手出してんだけどね~ たとえ 負けても もういいよ。 納得だよ。 パパは・・」 航のちちが 練習で こんなに 充実感をもった態度をとるのは 珍しい。 そんな 航のちちをよそに 当の本人は〈終わったんなら もう DSやっていい?〉 と 言わんばかりの クールな態度だ。 でも 航が ちちに褒められて 嬉しくないはずがない。 実は 照れくさくて 嬉しさを隠してるようにも見えるのは 私の 気のせいだろうか。
May 8, 2007
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4月 14日 そんな夜があったことも 忘れてしまったであろう 航平は しかし ちちの掛けた ひと言に 「分かってんだろうなぁ~」 と いう意味が込められていることを 少なからず 感じていたことだろう。 ふたりの帰りを待つ身としては どんな状況で帰ってくるのか 送り出す前から ドキドキである。 私は 片付けなくてはならない 用をしながら 連絡が来るまで 〈ふたりのことは 忘れよう 忘れよう〉 と ずっと 忘れられずにいた。 もう そろそろ 連絡が来る頃だと思うと 携帯が 鳴ってもないのに そちらばかり 意識がいってしまう。 ブー ブー ブー 鳴った! 「くーっ!」 と言いながら メールを開く。 【ノルマ達成 ○○勝】 良かったぁ~ しかも ノルマを6勝も上回ってるよ。 私は 安堵感に浸っていた。 ふたりを迎えにいくのも 楽しみに変わった。 駅にふたりを迎えに行く。 いつも通り 航平が先に車に乗り込む。 航は 乗り込みながら 「今日は ○○勝!」 続いて 航のちちが車に乗る。 「でも ゲンコツ もらったんだよなぁ~」 「うん」 「なんで~?」 と 私。 「全然 ダメだよ 航平は! 手が全然 悪い!」 「それで ゲンコツ もらったの」 まぁ 航のちちは そういう人であるから 今さら 驚きもしないが・・。 「人の話し 聞いてんだか なんだか。 手の練習に行ってんのに それ やんないんだもん。 なぁ?」 航平の 返事も待たず 「何でも 同じことばっか やってんじゃないよー」 「相手を見ろよ。 相手の技量を見ろってのぉ!」 「ノルマ達成したからって 意味ないかんなぁ!」 「分かってんのかよー」 航平の 第一声はどこかに行ってしまった。 ノルマを達成したので DS禁止令 までは出されなかったが 何か 改めなくては いけないことが あることを 航は 気がついているのであろうか・・。
May 1, 2007
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4月 14日 道場5回目。 私は お留守番。 「いいか。 ノルマ達成できなかったら ゲーム禁止だからな」 駅まで 二人を車で送る 途中 航のちちは 航に 軽くプレッシャーを掛ける。 あれだけ 「練習しろ」 と言われても 全く 練習しなかった航平。 日中 友達とゲームを 散々 やっているので ちちが帰ってきても もう ムシのためにDSを開くのが 嫌になってしまっているのだ。 ある晩のこと 航のちちは 「ちょっと練習するか?」 と聞くと 航は 「ん~ 今日はいい・・」 と話しを はぐらかす様に もぞもぞ しながら その場を離れる。 航のちちは 「今日は いいんだって・・」 と 私を見る。 航のちちが ちょっぴり 寂しそうに映った。 航のちちは タバコを吸うため 部屋を出た。 私は 航に 「もう お腹いっぱいなんでしょ。 パパは分かってるよ。 航が 日中ゲームやってること。 だから、もう 楽しいゲームはいっぱいやったから ムシの練習はしたくないんだって。 もし 日中DSしてなかったら ムシの練習でもいいから DSやりたいって思うでしょ。 お腹が 空いてたら 何を食べても おいしいでしょ? パパは 日中 お友達とDSやってもいいから ムシの練習も して欲しいんだよ」 そう言った。 「ん~・・」 航は はっきりしない返事をする。 航のちちが 部屋に戻ってきた。 航平は でも 次の言動を 何も起こさなかった。 航のちちの方も 航平に それ以上 言葉を掛けることも なかった。 そのまま 時間が過ぎ 寝床に就いた。 そんな夜があった後の 道場である。 (つづく)
April 27, 2007
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昨年度 育成会の会長を務めた私。 今年度は 役になど就かず 少しのんびりしようと 思っていた。 ところが ある日 ヘンな話がきてしまい 気がついたら 今度は 学校のPTA本部役員になっていた。 先日 授業参観が終わった後 PTA総会があり その後 掲額式。 場所を替えて 歓送迎会。 翌日は PTA全体総会 引き続き PTA常任委員会。 今まで な~んにも考えてなかったので こんなこと やってんだ~。 って感じ。 今度の土曜は 廃品回収で午前中は 学校で 力仕事。 それが終わったら 第2回 常任委員会。 5月の初めには 我が町全体のPTA総会&歓送迎会があり 5月には他に 交通安全運動で 駅前で 朝から チラシ配りがあるようだ。 こんな感じで これから 学校の行事には毎回 出席しなくてはならない。 自分の子供ではないのに 入学式 卒業式に出席。 というのであるから 後から聞いて 驚いた。 任期は2年間。 がんばらなくては・・・ という訳で 土日がこんな感じで 潰れることが多くなるだろう。 なので 航平のムシ大会がある日は なるべく同行しようと思っている。
April 26, 2007
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3月 26日 午前中 スイミングの短期講習を受けてから 日中 ゲームのことで 頭がいっぱいだったろうに まぁ がんばったかな? もうすぐ 航のちちが 帰ってくる。 ちょうど ゲームを始めて1時間。 ちゃんと 自分でゲームを終わらせた。 「ねぇ ママ ぼくが ゲームやったこと 言わないでね~」 「分かった 分かった」 航のちちが 帰ってきた。 航は そわそわ している。 私は 先に 航のちちを 出迎える。 「今日 航平やったのか?」 「うん。 でも 1時間だけね。 パパに内緒にしてくれ って言われてるの。 だから そういうことに しておいてね」 「ただいまー」 そう言いながら 部屋に入り 航平と顔を 合わせる。 航は もぞもぞ そわそわ ニヤニヤ・・ 「おー 今日はゲーム やんなかったんだろうなぁ」 航は 「うん」 と返事しながら 私に 顔を向けて ニヤニヤ ニヤニヤ。 〈おバカだね この子は。 そんな顔したら バレバレ じゃないの!〉 私は 心の中で そう つぶやいた。 「ねぇ ママ。 やってないよねー」 「今日は やってないよ」 テーブルの上を片付けながら 私は そっけなく 答えた。 航のちちは 着替え終え 「本当に!?」 「おー えらいなー」 と 航に声を掛けた後 洗面所に向かうため 部屋を出た。 私は すぐさま 「あんた ダメじゃないの! あんなニヤニヤして ママのこと見て。 自分で内緒にしてって 言ったのに バレバレ じゃないの! もっと 機嫌悪そーにして 〈やりたかったのにー!〉 って顔しないと やったことが・・ はっ! パパが来る!」 私と航平は 素早く さっき空気に戻る。 「こぉ~ へぇ~ ホント~にゲ~ム やんなかったのかぁ~?」 航のちちは 魔女のおばあさんのように 航に近寄る。 航は こらえきれず くるっと 私の方を向き 航のちちに 自分の後頭部を 見せるような形になった。 航の顔は 声を出さないで笑っているのが 不自然なくらいの 笑顔である。 そして その笑顔越しに もうひとつ 航の下手な演技が おっかしくて たまらない 不自然な笑顔がある。 なんだ~ この画は~! なんだか 私だけ 一所懸命 二人の内緒に付き合っていたようだ。 「ママ ご飯の仕度してくる」 私は 階下に向かった。 台所で夕飯の仕度をしていると 航のちちが入ってきて 「航平 良かったよ」 と言った。 何がだ? 「ゲーム やったのか?って聞かれて あんな ニヤニヤしちゃって・・」 本当だよ! あれはウソが下手な子だよ! 「あれで シラーっとした顔して ウソついてたら がっかりだよ」 へっ!? 「航が 〈本当は やっちゃった〉って顔してたから 安心したぁ」 あ~ そっかぁ ウソなんか下手な方がいいよね。 私は 何 考えてたんだろ。 私が熱演してるのに 航は全然 ダメじゃん! なんて 考えてた。 そうだよね。 ウソなんか 下手な方が・・ ブッ ぶっははは・・・ 今になって 航平のニヤニヤが おかしくなってきたー。
April 19, 2007
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3月 26日 昨日まで 何とか「DS禁止令」を出されずに 試合をこなしていたが とうとう 昨日 禁止令の執行が下された。 私としては 今まで その声がなかったのが不思議なくらいであるが 昨日の試合後 私の隣で 航のちちが 低くつぶやいた。 「1週間 禁止だからな! ママは(チラッと私を見て) 絶対やらせるなよ!」 「ママは」で 一瞬 間を空けたのは 私が こっそり やらせているのを 知っているからだろう・・ 航のちちは 仕事に行っちゃうから その姿を 見なくていいのだけれど・・ 春休み。 子供に一日 ゲームをやらせないというのは 結構 大変なのである。 航平は 朝から 「ハァ~」だの 「フゥ~」だの言って 気を引こうとする。 声を掛けると トゲトゲした態度をとる。 「友達と遊んだら~?」 「いいー。 みんなゲームするもん」 「別に 外で遊べばいいじゃん」 「いやだ~」 いつも ひとしきりゲームをすると ゲームにも飽きて みんなで 外へ遊びに行ってしまうのだが・・ とりあえず DSというアイテムが無いと 友達と遊ぶ気にも ならないらしい。 何をするにも プリプリ プリプリ。 航のちちに どうして欲しい ということはないが 【航は退屈そうです】 とメールしてみた。 すると 【パパに内緒で 2時間だけやっていいよ としてみたら?】 と返信が来た。 おいおい やっていいのかよ! このままにしていても いい事なさそうだし そのうち 「おれ やっぱ ムシキングやめる~」 って言い出すだろう。 「航 パパに内緒で ちょっとだけ やっていいよ ん~ じゃ 2時間だけね。 パパに内緒だぞ。 その代わり 試合前 パパに自分から ムシの練習しようって言うんだよ。 パパ 航がやる気になってくれたと思うから・・」 「いい。 パパとの約束だから」 「いいの~?」 「うん。 いい」 「ふ~ん」 な~んだ がんばってんじゃん。 それでも 自分の中で 葛藤しているのだろう。 手持ち無沙汰で ウロウロしている。 しばらく 横目で見ていたが。 また声を掛ける。 「航 パパからね 少しだけやってもいいよって メールが あったんだよ だから 2時間やっていいよ」 「ん~ じゃ1時間だけ! でも ママ パパに言わないでね! ぼくが やったこと内緒だよ! ママ すぐ言うからな~ 内緒だよ!」 「ハイ。 ハイ」 内緒だらけの 家族である。 (つづく)
April 18, 2007
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3月 4日 この日は 結果もさることながら 大会中も 真剣みがなく その場では 言葉にしなかったが 航のちちは 何か言いたげ だった。 家路に着くと 「お前も あれだな! sakoyuさんのコメントにあったよね。 一週間 ゲーム禁止! お前も そうしなきゃだめだ! 試合が終わったら すーぐ ゲームして! 結果を出すか 試合内容が良い時 意外は 一週間 ゲーム禁止!!」 この通告に不服な航平は あからさまに 態度を変える。 「ほら! さっさと ゲーム止めろ!!」 「ふん!」 ゲーム機をパタンと閉じながら 運転している 航のちちの後ろで ふんぞり返っている。 その後の返事も 投げやりだ。 〈これじゃ ストレス溜まっちゃうだけか~?〉 私は そんなことを考えていた。 このごろのムシ大会、いや ムシ自体の熱気が冷めていく中 子供達の気持ちも 下がっていく一方。 航平も ご多分にもれず やっぱり やる気減・・ なのである。 それをどうやって やる気にさせるか。 無理やり やらせてしまっているのではないか・・ 難しいところである。 でも 今日のちちは 強く出た。 航平が いつ 「それじゃ もういい! 辞めるよ!」 と 言い出すか ハラハラした。 家に着き 車から降りる。 家に入る時 「パパだって 一週間 タバコ禁止!って 言われたら どう~? イライラしてくるでしょ? 航は今 その状態だよ・・」 そう耳打ちした。 「でも ダメだよ! そうでもしなきゃ! ダメだよ 航平は!!」 航のちちの 言うことも 良~く解かる! 台所を 少し片付けて 二階の部屋に入ると 航のちちと 航が 正座して ひざ小僧 と ひざ小僧を くっつけて 向かい合っていた。 まさに ひざを突き合わせて 話し合っていた。 さて どんな話しをしたのやら・・ さっきの タバコの例を聞いて 慌てたのかなぁ? 私は 「プッ」 と 口元が緩んでしまった。 翌週は 道場 3回目。 航は 辛くも 航のちちが出したノルマを達成し 一週間 禁止を 免れる。
April 17, 2007
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3月 31日 初めの大会は 個人戦。 航は 良い手 というでもなく、悪い手 というでもなく 2回戦敗退。 本人は 負けてしまって テンションが ガクッと 下がってしまったが 航のちちから お叱りを受けることはなかったので 私は まだ良かった と流した。 楽しく 盛り上がったのは 次の 『シークレット3on』 だ。 大人も 子供も みんなごちゃ混ぜで 3onを組む。 (ただし 大人の制限は160) 「ほら ほら! 出て 出て!」 と 渋る大人も 踏み絵を 踏まされる勢いで 半ば 無理やり 箱の中に 手を入れられていた。 (私はそれでも 踏み絵を 踏むなんて出来なかった) それぞれの番号を 首にぶら下げながら パートナー探し。 次の儀式が 始まった。 「あ~ 一緒ですね。 よろしくお願いします」 あっちでも こっちでも ご挨拶の儀式である。 しかし この大会のお陰で とても 有意義な交流の場を持つことが出来た。 初めて会った方とでも 自然と会話が生まれる。 本当の交流が はかれるのである。 そう 航のちちも 踏み絵を 踏んでいた。 そして なんと 優勝しちゃってるではないか! 優勝した3人と 準優勝した3人で 記念撮影の運びに・・ すると 「このことを ブログに書いてくださいよー!」 の声が降ってきた。 〈へっ!? 航のちちの 3on優勝なんて 面白くないよう・・ どうしよう・・〉 思わず 首をかしげて 苦笑い。 んー まぁ 少しだけ 触っておきましょうか・・ 航のちちも 乗り気ではなかったが やっぱり 勝ち進んでいくうち 一緒に組んだ子供達の意気込みを感じ 「よし!勝たなくちゃ!」 と 意識が変わっていったようだ。 決勝では ちょっと本気で 3匹抜きを狙ってた!? 感があった。 「ん~ 200だったらな~」 後で そんな声をもらしていた。 IMTの皆さんは 会長始め 皆さんが よく心遣いくださる。 遠方から来た私達にも 楽しく過ごせるよう いろいろ 取り計らってくださったり 試合中も 負けてしまった子に さり気なく 声を掛けていたり 〈人は 見かけじゃない〉 と言うのは 本当なんだ。 と うなづいてしまう。(怒られちゃうかもぉ~) 今回は 会長さんに話しかけていただいた。 「何度か お会いしてるのに お話しするのは初めてですね」 「はっ はい。 いつも 私 隠れちゃって・・」 〈なっ 何だ この私の 気の利かない返事は!〉 せっかく 会長さんとお話できたのに・・空振りである。 でも また 楽しく過ごすことができた。 IMTの皆さんのお陰である。 次は どこで? 何のイベントで? IMTの皆さんとお会いできるかしら・・
April 10, 2007
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3月 31日 また 行ってきました。 いわき。 しかも 今回は ツバちちさんを お乗せしてである。 前日も 飲み会でご一緒していたのだが 同じテーブルでは なかったので ゆっくり お話できなかった。 でも 今日は いわき まで ゆっくりお話できる。 いやいや 本当はそうではなく いわき に着くまで 少しでも 休んでもらおうと 車内に 枕を 用意しておいたのだが 結局 ずっと お話させてしまい 休ませてあげるどころではなかった。 しかし 私にとっては 福岡でお会いしたものの お声も掛けられず あとは ツバははさんのブログに こっそり お邪魔するだけの 雲の上の人。 その方と 直接 お会いして お人柄に触れられたので 充実感で いっぱいである。 それは 航のちちも同じだと思う。 インターを降りると 何度か目にした 景色が広がってきた。 右へ行けば ハワイアンズ。 左は行けば ちびっこザウルス。 車は 左へハンドルを切る。 目的地が 近づいて来る。 駐車場が見えてきた。 反対側の駐車場へ回り あの時と 同じ場所へ 車を止める。 入り口の自動ドアを くぐろうとすると 焼き鳥屋さんの いい匂い・・ そう そう この匂い。 フェスティバルの あの日も この匂いがしていたよ・・ 私は 昨年の フェスティバルのことを 思い出していた。 ここで 初めて sakoyuさんとお会いしたんだ。 お話している最中は 緊張してしまって カチコチだった。 もし あの時 sakoyuさんにお会いしてなかったら 私は ブログを始めてなかっただろう。 そして あの日の 航の優勝 も嬉しかったが それ以上に IMTの皆さんの 拍手が嬉しかった。 「そりゃ~ そういうものだよ」 と言われてしまえば そうなのかもしれないが とにかく私は あの時のIMTの皆さんのことが 忘れられないのである。 気が付くと 会場に 結構 人が集まっていた。 この場に フェスティバルの時にいた方々が いないのが 不思議なくらいだ。 ハワイアンズへ すぐ 遊びに行っても良かったのだが やはり ここまで来たのだ。 IMTの皆さんとも 交流させていただきたい。 航も 「出る!」 と もう その気である。 (つづく)
April 5, 2007
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2、3日 いろんなことを考えた。 これで スイミングを始めて 2,3ヶ月経っていたなら 気持ちも違っていたのかも しれない・・ 少しでも コーチとの信頼関係が出来ていたのなら 違っていたのかも・・ このスイミングスクールは 幼稚園の時も 授業で使っていたスクールなので 質の良いコーチが そろっている事は知っている。 なのに・・ いや だから・・ 何か理由があったのだと分かっている。 航は おふざけが大好きだから きちんと メリハリのある行動が取れない時は バシッと 叱って欲しい。 ふざけ過ぎて 他に迷惑を掛けるときは カミナリを 落としてもらって 構わない。 でも そのコーチの行動は ただ 感情的になっているように 映った。 物を投げつけている コーチを見て 他の子供達も 完全に萎縮してしまっていた。 この時は 結局 授業にならず 他の子供達に 大変 迷惑を掛けてしまった。 週2回で 始めたスイミングだが このコーチの曜日は 断念することにした。 そこに通っている 何人かのお友達ママにも 相談した。 「やっぱり コーチとの相性とかあるし そういう話は たまに聞くよ」 「スクールに事情を話せば コーチを変えてくれるよ」 でも 私は航平にも やっぱり 原因になる 言動があったのだと思うし その理由を スクールの方に言って 波風立てても 気分のいいものではない。 航が 「スイミングが好き」 なのは解かっている。 出来れば このまま お世話になりたい。 逃げ回っていたって 仕方ない。 航には 「スイミングを続けていれば クラスが変った時 短期講習の時 イベントの時 そのコーチに お世話になる時が 必ず来るよ」 と 言った。 すると 航平は 「うん・・・ その時は その時考える。 その時は 大丈夫になってるかも しれないから・・」 「じゃ 辞める」 と簡単に言わないで 良かった。 時間が解決してくれることを 待つことした。 あの時から スクール内で あのコーチを見かける度 航は ‘ハッ’ とする顔をしていたが あいさつを 重ねているうち 今では 「ちょっと 大丈夫かも!」 と言うようになった。 そして 今 私が思うことは・・ 見学席から 航を見ていると 危ない行動もとるし お友達に ちょっかいを出して ふざけてばかり・・ やっぱり うちのおバカに原因があったのだ と思うのである。 そのうち また 大目玉を食らうであろう。
April 2, 2007
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息子は ひとりっ子。 学校から帰ってきた時のあいさつは 「ただいま~ 今日、○○君と○○君が来るから~」 「ただいま」の後に だいたい このセリフが付いてくる。 1年生の時は 『友達と遊ぶ』 がメイン。 習い事も 1つしかやってなかったので 火曜日以外は 約束してきた。 でも 2年生になると だんだん 他のお友達も 習い事を始めたり スポーツを始めたりで なかなか 遊べる日が合わなくなってくる。 すると ひとりでDSに向かって ゴロゴロすることが多くなった。 「これは! これじゃ 頭 腐っちゃうよー」 と ちょっと心配に・・ それで 何でもいいから習い事をさせようと いろいろ 体験させることにした。 そろばん 剣道 スイミング。 最初の2つは どうも 水が合わなかったらしく 鈍い反応。 でも、スイミングは とても楽しかったらしく 「やるーっ! ボク 絶対やるよ!」 と 今までにない反応を見せてくれ 始めることにした。 ところが このスイミングも いろいろあった。 初日に コーチに ひどーく叱られてしまったのだ。 その様子を 見学できる場所から 見ていた私は 航平に そのように ひどく叱られるような行動があったように 思えなかったのだが・・ 航平と もう一人の男の子の順番が来る度 水の中で 二の腕を持たれて 説教食らっていた。 体が 冷えてしまったのか ガタガタ震えているのが 遠くからでも分かる。 そのうち そのコーチは 壁に向かって物を投げつけた。 一緒にその場面を見ていた お友達ママさんが 「航平君 何かした? 今日が初日でしょ? あの叱り方はないよね~」 「辞めるって言わなきゃいいね~」 と言葉を掛けてくれた。 水から上がって来た航に 「何をしたの?」 と聞いたのだが 「ボクには 解からない」 と言うばかり。 仕方ないので コーチにお話を伺うと 「お友達と喧嘩を始めたんです。 片方だけ叱るのは 良くないと思ったので 航平君も叱りました」 「そうでしたか。すみませんでした。 これからも よろしくお願いします」 と頭を下げた。 航に 「喧嘩をしたんだって?」 と聞いたのだが 「してないよ」 と言う。 私は心配だった。 お友達ママさんが言っていたように せっかく 楽しく始められそうだったのに 辞めると言い出しはしないかと・・ 次の日の朝 「ボク スイミング辞めるー」 と言いながら起きてきた。 上から見ていた私が怖かったのだ。 当の本人は チビリものであったろう。 私は 航が水の中で 少し首を傾け うん うん と頷いている あの顔が 頭から離れなかった。 自分が叱っている時 パパが叱っている時 あの表情をするけど 今日 会ったばかりの人に あんな表情をしているのを見て 胸が締めつけられそうだった。 となりに お友達ママさんがいたので それを表に出さないように こらえていたけど もう 顔が引きつっていた。 あの時の 航の心中を思うと 夜 眠れなかった。 眠れなかった と言うことは ないだろうけど 航も 相当 こたえていたのだろう。 (つづく)
March 28, 2007
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また、走っていた。 カードの入ったカバンを抱えて また 走っていた。 いつかあった この光景。 あー こういう時 体力の衰えを痛感する。 会場へ着くと 航平はゲーム機の前で 何やら探し物をしている。 「何やってんの!? 名前書いた? 何探してんの!」 「あ~ コインがあったんだよ」 ゲーム機の コインを探していた。 何をしてるんだ。 この人は! 「名前は書いたのね! ほら! カード セットして!」 私はこの時 試合なんて どうでもよかった。 準備が出来てなかったのだ。 もう 気持ちも 準備出来てないってことだ。 それより 後で言いたいことがある。 そのことで 頭がグラグラ 煮えたぎっていた。 案の定 試合は1回戦負け。 建物を出るまでは 航の言い分を聞いていたが、 建物を出た途端 私は言いたいことを 吐き出した。 「航はさぁ 何で カードの用意してなかったの? 今日は ここに来るまで 渋滞にも遭ったよね? その時 次の制限はいくつだよって 言ったよね? 航は〈ハーイ!〉って 返事したよね。 あの返事は 何だったの? 時間いっぱい あったよ。 ずーっと ゲームしてたんだよね!」 「今日は一日中 何だったの? 準備ぐらいしておきなよ。 ママ いつも 言ってるよね? 航は 準備の段階で負けているんだって! 自分の力が 発揮出来るか 出来ないか 準備で決まるんだよって・・」 「試合の結果を 言ってるんじゃないんだよ。 準備も出来ない人のために 朝から移動しまわって! たまには 〈準備は 自分で出来るから ママは そこに連れてってくれればいいから〉 ぐらいのこと 言ってみな!」 あまり 解かりたくなかったが、 航のちちの気持ちが 少しだけ 解かってしまった。 航のちちは いつも この角度から 航を見ているのか。 いつも ただ一緒について歩いているだけの私。 本当は 自分でも こんなことを言うのは本意ではない。 だから こんなことを言ってる自分にも 腹が立っていた。 試合の内容は ただ 航のちちに報告すれば良い。 そっちは 航のちちが判断する。 でも 私は 航の物事に対する姿勢が どうにも こうにも 自分の中に 納まらなかった。 遊びでも スポーツでも ゲームでも 勉強でも 『準備 用意』 は大切だ。 そのことを 伝えたかった。 準備が出来てなかったことが悔しいなんて 悔しい。 家に着いて、航のちちにメールする。 航のちちは 近くの会場に行ったと思っている。 〈今日はパパが言ったコースに行きました。 最初の会場は抽選漏れ。 次の会場と最後の会場は 両方とも1回戦負け〉 しばらくすると 返信が 〈本当に!? 2大会とも1回戦負け!?〉 私は 〈本当です〉 と返した。 上司に引き止められ、飲み会に出席した航のちち。 いつもより 遅く帰ってきた航のちちは 「ママ 本当なの!?」 と あー これは 飲み会どころじゃなかったね。 という勢いで 聞いてきた。 「本当だよ」 「ママの 冗談かと思ったよ。でも、その後 メール来なかったからさぁ どうした航?」 「準備してなかったんだよね。 〈あっ! カード用意してない!〉 には ママがっかりしたよー」 「またそれか! ダメだな航は! いつも・・」 その後も 何か続きそうだったので 「もういいよ・・ ママに散々言われたから イヤになっちゃってるよね・・」 と 航の‘もう うんざり’という顔を見ながら そう言った。 きっとまた 同じことをやってしまうだろう。 でも いつか 準備の大切さに気がついて欲しい・・
March 26, 2007
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2月25日 今日は 航のちちが珍しく 休日出勤 なので 私が 出動することに・・ 先日、航のちちから タイムテーブルを告げられた。 「先ず、○○○に行って 抽選 その後、○○○○へ・・その次は ○○○」 おいおい 普段より ずっとハードだねー しかも 全部 私が初めて行くところだよ。 迷わず行けるか 心配 この上ないよ~。 と思いながらの出発である。 近くの会場もあったのだが、 航のちちが 話の端々で なんとなく そのコースを回って欲しそーなので ハードコースを選択した。 航のちち字が躍るメモを片手に 制限をチェックしながら 最初の会場に着いた。 しかし、ここでは抽選漏れ。 こればかりは 仕方ない。 次の会場に向かう。 思いのほか 早くに移動になってしまったため 時間を もてあましてしまう。 航のちちがいないランチは 試合のことも忘れぎみで まるで 航とデート気分だ。 やっと 試合開始になるも ちょっと いつもと 勝手が違うルールに 航はあからさまに 不満げな表情を出し、 納得いかないやり方に飲み込まれたまま あっという間に 1回戦負け。 ここから 次の会場まで 間に合うか分からないが 最後の会場に向かうことにした。 航のちちは 「次の会場に間に合わないかもしれない」 と言っていた。 途中 渋滞するところがあるからだ。 「ナビ通りいくと、必ずこの渋滞にはまるから 遠回りになるけど、バイパスからの道を行くように」 と言われていた。 でも、初めていく場所なので、自分としては道に迷わないよう ナビ通り行く方が 楽である。 航のちちより ナビを選んだ。 しかし、やはり お約束の渋滞にはまってしまった! 到着時間がどんどんずれる。 「後 一体 この先 どうなってんのー!」 と焦りまくりながら それでも なんとか 目的地周辺あたりまで やってきた。 ところが 今度は それらしい建物が見当たらない。 「あっちだと思うよ」 「えっ! あっ そうかぁ!?」 Uターンして戻る。 「こっちかなぁ?」 細い路地を入る。 「あっ! あれじゃない!?」 「あっ あれだ あれだ!」 「えーっと 駐車場 駐車場・・」 そこの 駐車場がとても狭くて もう満車。 駐車できない。 時間がない。 駐車できない。 「航平! カード持って 中 入って 名前書いてきな!」 「えー! 場所分かんないよー」 「ゲームセンター何処ですか? って聞きなっ!」 「うん! あっ! カードセットしてない!」 「えー!!」「もう いいよ 早く降りて 名前書いてきな!」 車の扉がバタンと閉まる。 ひとりになった車の中 <急いで車を駐車し カードの入ったバッグを持って店に向かなくては!> と 急いてる気持ちと <どうして カードの準備をしてなかったのか!> と 憤りの気持ちが入り混じっていた。 (つづく)
March 23, 2007
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パソコン教室では ヘッドホンを着けて ビデオを見ながらの進行だ。 なので 他の方のペースを気にせず 自分の都合の良い時間に来て 講座を受ければよい。 ところが 私には このヘッドホンが ちょっと厄介だ。 一度 耳に当てると もう最後 自分だけの 世界がスタートする。 画面の中の講師が 私に向かって 丁寧に 丁寧に 説明してくれる。 そこは 分かっていようが 分かっていまいが 逐一 説明してくれる。 慣れてくると この部分が 本当に眠くなってしまうのであるが、 初めたばかりの頃 まだ ちょっと 緊張しているので 一所懸命 聞き落としがないように 集中している。 すると 「おー なるほど!」 ということを 教えてくれたりする。 私は 思わず 「うん うん」 と頭を小さく動かしてしまう。 まぁ この程度なら かわいいものだ。 でも、もう一人の冷静な自分が 「画面に向かって 頷いちゃったよ ちょっと 恥ずかしいー」 なんて 照れちゃったりする。 ヘッドホーンをすると 外の物音が まったく聞こえないわけではないが 少し 聞こえにくくなる。 そして 自分の発した音も よく分からない。 私のお腹は お昼前だというのに ゴー ゴー よく鳴るお腹で これが始まると 集中力がなくなり 〈な 何か口にしなくては! お腹が鳴ってしまうぅぅ!〉 と そのことで 頭がいっぱいに なってしまう。 それを 予防するため 食事を摂った後でも 出掛ける直前に もう一度 ご飯をかきこむ という策をとっている。 ある日 ちょうど その時間 教室が 閑散としていた。 私は 少しばかり リラックスしていた。 画面の講師の進行も順調だ。 「はい、では ここに カーソルがきましたら こういった マーク が出てくると思います」 〈おー はい はい 出てきましたよー また ここをクリックすればいいんでしょ~〉 私は 自信満々 クリック! すると 画面の講師が 「えー 今日は練習ですので クリックしないで 結構ですよ」 「ブー!!」 私は思はぬフェイントに 吹き出してしまった。 本当に 口で 「ブー」 と言ってしまった。 背後から インストラクターの方の視線を感じた。 〈聞こえた? やっぱ 聞こえちゃった? 変な人? 私 今 変な人だよねー!?(汗) 恥ずかしいぃぃー こんな人いないよねー〉 私は 何事もなかったように 澄ましていたが 時間が来ると そそくさと 教室を出た。 車に乗り込むと すぐさま バックミラーに 自分の顔を映し 「ブー」の口の形にして どのくらいの 吹き出し圧?だったかを確認した。 「ブー」 このくらいか? 「ぶー!」 こんな感じかだったか? これじゃ 結構 聞こえたか~? ハァー 何やってんだ 私は・・・ その後 教室で 画面に向かって 「うん うん」 と頷いている人は たまーに見かけるが 「ブー」 と吹き出している人は まだ 見たことがない。
March 22, 2007
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季節の中で 一番好きなのは 春。 なのに 別れの季節でもある。 昨年の春 私には 忘れられない別れがあった。 航平の担任の先生が 移動になったのだ。 航平が 小学校へ入学する時 今の このご時勢 学校なんか 信用できない。 先生なんか 当てにならない。 自分の子供は 自分で守らなくては・・ と心に決めていた。 なのに その先生は 私のその思いを ゆっくりと溶かしてくれた。 子供達には ちょっと怖い先生。 と思われていたかも しれないけど そこは子供の視点。 飴とムチを ちゃんと 使い分けていたのだろうし・・ 入学したばかりの子供を持つ 保護者の気持ちに いつも 丁寧に対応してくれ 細やかな 心配りには 本当に 頭が下がった。 連絡帳に 連絡事項を書くと 必ず お返事をくださり 保護者は 私だけでは ないだろうに いつ こんなお返事を書いて 下さっているのだろうと 驚きと 関心の念を 抱くばかり・・ 今では 私の 大切な思い出のノート。 この方なら 子供を安心して お願いできる。 というか この先生に ずっと お願いしたい という気持ちでいた。 それなのに 春休みのある日 私は 新聞の 人事異動欄で 先生のお名前を 見つけてしまったのである。 何度も 指でなぞりながら 確認したけれど 間違いなく 先生のお名前だった。 私は 誰もいない部屋で ひとりで泣いた。 子供が 泣くみたいに 大きな声を出して泣いた。 航のちちと 航は その日 渋谷に行っていた。 メールで 担任の先生の移動を伝えると 航のちちからも お知らせがあった。 「今 ○○さんから 引退する話があったよ。 今日を 最後に ○弾○君は 引退するそうだよ」 奇しくも 同じ日 私は 心の拠りどころにしていた おふた方の転向を 知らされるのである。 そして この春も ご自身の日記に 最終回のタイトルを付けた方が・・ 桜の開花は いつかしら・・と 浮き立つ気持ちの 傍らに 少し 寂しさの 香りを漂わす 春である。
March 16, 2007
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2月11日 ミュージアムから ふたりが帰ってきた。 航のちちは 「ハァ~ また準優勝だったよ~」 ため息と一緒に そう言った。 「ほんでさぁ~ 航平なんか 決勝終わって なんて言ったと思う? (パパ~ 今日はいい日だよ! だって 韓国版のヘルクレスが出たもの!)だってぇ~ それ聞いたら ガクッと きちゃったよ」 その光景が 容易く想像できる。 そっかぁ 良かったぁ~ そんなに落ち込んでないんだ。 本当は いつ また 決勝までいけるか 分からないし せっかく そこまで いったのなら いっそのこと 決めて欲しかったけど・・ いや、本当は 航平自身が 一番 そう思っているのかも・・ でも もう 終わってしまったのだ。 後日 航のちちが 言った。 「あの日 航平のヤツ (ヘルクレスが出て良かったぁ~) なんて言いながら 帰ってきただろ~ そういう時はね 自分の手に 自信がある時なんだよ。 だから あの日 負けたと思ってないんだよ。 オレの手に 間違いはなかった って自信があるんだよ。 まぁ 本当に いい手 出してたんだけどな~ ハァ~ 」 航のちちは 逃がした魚を思い出しながら 青息吐息を もらしてた。 航の 「今日は いい日だった!」 は 本当に 心から そう思っている時に出る言葉だ。 航のちちが言うように 航が 自分の手に どれだけ満足しているか 本当のところ 分からないが ヘルクレスのカードが出たことに 満足していることは 間違いない!
March 15, 2007
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2月11日 この日 私はうちで 留守番していた。 先週から 道場に行き始めたので 毎週のように 家族で都内へ行っていたのでは 家計に ひびくからだ。 と言うのは 建て前で 本当は また 航の無様な姿を見たくないからだ。 航に 「トーナメントだから 1回負けたら 終わりだから」 と 言われたのに 私は あの後も 「一勝も あげられなかったら どうするの! 練習しな!」 と 何度か 言ってしまった。 その度に 「だから トーナメントだっつーの!」 と 指摘された。 それほど 私は 前回のことを引きずっている。 まぁ、本人は もう 何も思ってないようだけど・・ 当日 銀座に居る 航のちちからメールが来た。 「なに? なに? こんなに早く!」 〈航平が 第一試合!〉 なにーっ! つまり 航平に何度も言われたとおり 1回 負けたら終わりなのだから 1回戦 第1試合に負けたら その日の 出番がもう終わりじゃない。 ずいぶん早い お疲れ様だ・・。 ところが 1回戦 勝った内容のメールが届いた。 そして また 勝ち進んだ というメールが来たが 今度は しばらく メールが来ない。 何だろ 何だろ どうしたんだろ・・ やっと来た! どこから見たって 内容が変わるわけではないのに 私は 携帯を一度胸に当ててから そーっと のぞいてみた。 すると 〈準優勝〉の後に 涙と苦笑いのマーク・・ そっかぁ また おあずけだったかぁ はぁ・・ 航平は どーしちゃったかな~? 航が 帰ってきたら なんて言ってあげようか・・
March 14, 2007
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ログインする時の パスワード。 今では 何でもなく 入れられるけど これがなかなか 入れられなかった。 自分の ブログ管理に入れないから 作業が 何にも 進まない。 かれこれ 小1時間ほど 画面の前で 頭を抱えている。 これじゃ どうしようもない 今日一日 何も出来ないで 終わってしまう。 仕方がない 航のちちが帰ってくるまで 待つしかない。 航のちちが 帰って来たので 早速 自分には まったく 非がない という勢いで 「なんかさー パスワードが 入らないんだよねー」 「何で? ちゃんと入れてみたの?」 「やったよぉー!」 「ゆっくり やったのぉ?」 「やりましたー 1文字 1文字 ゆっくりやったよー!」 「違うやつ 入れたんじゃないの?」 「ちゃんとやったよぉぉー!」 「おかしいね~ ちょっとパソコン入れてみぃ?」 私は パソコンに電源を入れながら 「んもー! 今日は 日記入れられなかったよ! パスワード入んなきゃ 先に進めないじゃない! パソコン おかしんだよねー」 ログインの画面が出た。 「ちょっと やってみ?」 私は 自分のパスワードが書いてある メモを見ながら 打ち込んでみる。 そして ログインを クリック! 「ほらね! おかしいでしょ!」 「んー」 航のちちは 画面とメモを見比べる。 「ママ ここに何で ドットが入ってんの? これ 入んないよー」 「えー! 何でぇー ここにでっかく ドットが あんじゃん」 「これ パパが 書いたんじゃないよね」 「ハッ!」 私は 思い出した。 これは! このドットは! 「ここには ドットが入らないからね」 と 言われて (入れない! なし!) のつもりで ドットを 塗りつぶしたんだ。 自分で 消したんだ。 なのに 大きなドットと 間違えたんだ! (忘れずに 入れる!) と解釈してしまったんだ・・ 航のちちに これ以上 突っ込まれないように 「あー 本当だ。 やっと 入ったよ~」 と ちょっと 不機嫌そうに してしまった・・
March 12, 2007
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2月10日 「おまえ 今日のムシ 何にするか 言ってみろ」 「○○○○と××××」 会場に向かう車の中 航はお菓子の包みを開けながら答える。 「で? 技は 何スキャンするんだ?」 お菓子を 口にほうり込んだ 航は 口をモゴモゴさせながら 「んー まだ 決めてない」 今から会場に行くというのに、 航の気持ちが 全然 会場に向いてないことを 分かっていてのことだ。 「よーし じゃ 今日は 技カードなしで大会出ろよ」 いつもの 調子ではなく 淡々とそう言った。 「いやだ」 航は 口にお菓子を入れたまま 航のちちに 聞えるか 聞えないかの声で答えた。 「今 決まってないで 何で あそこで スキャンできるんだよ!」 おー いつものモードに入ったぞ! 「うん」 力のない返事。 「今日は 技カードなしだぞ」 「いやだ」 またまた 小さな声。 「ちゃんと カード 決めとけよ」 運転席から イライラが伝わってくる。 「はい」 これは ヤバイと思った航は ホルダーから カードを 選びながら 「このムシには これと これと これをつける」 と 申請していく。 「何で そのカード つけた訳? 理由 言ってみろよ」 「えっと このカードにしたのは・・」 航は 呪文のような言葉で 理由を説明する。 「そうだよ 分かってんならいい」 一応 カードの件は 切り抜けられた。 ホッとした 航だが、 また ちちの声が・・ 「そんで あっち行って 遊んでばっかいんなよ!」 「ちゃんと 試合みてろよ!」 毎度 毎度の 決まり文句。 それで 会場に着いて ちゃんと 試合を観ていたか というと・・ お店の 自動ドアが開くと もう最後。 航平の頭の中は “デリート” されてしまうのだ! もちろん 試合の結果だって 言うまでもない。 明日は ミュージアム杯。 そのこともあって 試合に 身が入らない 航に苛立ちを 覚えるのだろう。 帰りの車の中 航は ちちから 熱~い お灸をすえられるのであった。
March 9, 2007
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2月6日 「ママ、今日は 電話の日だからね」 「ん? うん 分かってるぅ」 今日はミュージアム杯 〈対戦バトラーズターミナルタッグマッチ大会〉 エントリー受付日。 でも、私の 電話はつながったことがない。 そういえば、一度だけ つながったことがある。 その時でさえ 「山中 航平くん ですよね・・・ちょっとお待ちください」 「・・・あっ お待たせしました。他の方で エントリーされていますが どうしますか?」 「あっ! じゃ 私のは いいんです! そっちを 生かしてください!」 航のちちの方が つながっていた。 あれ以来、私は 空振りばかり。 今日も 自分は役に立たない と分かっていながら でも、じっとしても 居られないので かけまくった。 すると、メールが飛び込んできた。 「うそぉ~ 違うよねぇ~」 と思いながら メールを開く・・ すると、『OK! OK!』 ホントにぃぃ!? すごいよ パパ! この間の「クワガタ王」でも つながって、今日も!? すごいよ! すごいよ! 私は ただ 電話がつながっただけなのに もう 背中に 羽が生えて どこかへ 飛んでいってしまいそうな気分だった。 あっ! でも 肝心の航のことは・・ つい この間 一勝も出来ずに 苦い思いをしてきたばかり・・ 正直 私としては また そんな姿を さらしにいくのでは ないかと ふたを開けるのが 怖い気持ちだった。 学校から 帰ってきた航に 「パパの 電話がつながったってよ! また あんなことにならないように 大丈夫? 練習するんだよ!」 「もう また いつチャンスが来るか 分からないんだからね! 最後だと思って 後悔しないように 練習するんだよ!」 「また 一勝も出来なかったら 恥ずかしいからね!」 と ガミガミ言うと 「あー それはないね~ トーナメントだから 一回負けたら 終わりだからぁ」 ゲーッ! そうなんだぁ 何だよ~ んも~ 格好わるー 私は しばらく 小さくなっていようと 思った。
March 6, 2007
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最近 少~しだけ パソコンを触るのが怖くなくなった。 でも このブログを始めたばかりの頃 「始めてしまったけど 大丈夫だろうか」 という不安で ちょっとグロッキーになっていた。 航のちちには「気楽にやんなよ~」 と言われ 「うん。 分かってるよ」 と返事はしたものの 実は 勝手に プレッシャーみたいなものを感じていて 少し 体がおかしかった。 始めて間もない頃、 我が家でおなじみの お風呂屋さんへ行った時のこと。 「パパ~、なんか 気分悪くてさ~ 食欲もないし 胸がドキドキしてて おかしいんだよ」 「大丈夫? ママ ブログのことで 気ぃ張ってんじゃないの? もっと 気楽にやんな~」 「う~ん それが 原因じゃないと思うんだけど・・」 気分がすぐれないまま、うちに着くと 航は 車の中で くーくー 夢の中。 仕方なく 航のちちは 航をおんぶした。 私は 両手にバックやお風呂セットを 持って その後ろに ついて歩いた。 すると、ドッテン!! 私は 自分に何が起こったのか、 まったく 分からなかった。 航のちちは 「ナニッ! ママ どうした!?」 「ホースに 足が引っかかったぁ~」 トホホ である。 私は 両手に荷物を持っていたため 顔から 転び 植木鉢に唇を打ち とっさに 荷物を離して 手をついたのだろうけど 両膝をぶつけ ひと時 ボーッとしてしまった。 「さっき お風呂屋さんで 気持ち悪いとか言ってたから 倒れちゃったのかと思ったよー 何でもないなら 早く 立ちなっ!」 背中の航平が重い 航のちちは ちょっと 苛立ちを見せながら言った。 暗がりでは 分からなかったが 部屋の 明かりで傷を確認すると 唇が 少し腫れ、首に棒が刺さった傷があり 両膝が 擦りむけ 手には ささくれのでっかい版のように 皮が剥けてて それを見た 航のちちは 「それ 枯葉が くっ付いてんじゃないの?」 と言った。 「私の 手の皮だよ」 私は 弱々しく 答えた。 (ブログに 気ぃ張ってんのかな~) ミュージアム杯で 決勝いったって ひとっつも 緊張しない 誰かとは 大違いな性格である。
March 5, 2007
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2月4日 ミュージアム杯が終わってから 2,3日 ムシキングに 対して 気持ちが入らなくなってしまった。 それは 航平じゃなく、航のちちと 私が である。 次の目標を決めるのに しばらく時間がかかった。 気持ちを どう切り替えるか・・。 今、どちらに向かうか・・。 航のちちは 「この辺は 飽きちゃったろ 航平。 たまに 違うところへ 行ってみるか?」 と切り出した。 「パパ 道場 行ってみたら? 練習にもなるし、気分転換にも なるんじゃない?」 と 私が言うと 航は 「行ってみたい!」 と張りのある声で 返事した。 「じゃ、あそこまで行ったついでに その辺 泊まって、 次の日 近くの会場の大会 出るか?」 「行っといでよ! ママは次の土日 役員の集まりが連日あるから 行けないけど、 パパと 遊びに行っといで」 とりあえず 路頭に迷わずに済んだ。 これで当分 道場に行くことになるだろう。 そこでの 交流も楽しみだ。 日曜の夜、一泊して 帰ってきた二人。 成績は いいものではなかったが、 航は とても楽しかった、と 私に話してくれた。 ひさ~しぶりに 家を空けた 航のちちと航は 「ママは 寂しくなかったの?」 と何度も 交互に聞いてくる。 「全然 平気だよ」 「のんびりできたよ」 と返答していたが、 そのうち あんまり聞いてくるので 「二人が 帰ってくると なんだか 騒がしいよ~」 と 苦笑い してしまった。
February 28, 2007
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ブログは 以前から 少し興味があった。 でも、パソコンは 触るに触れない。 昨年から 私はパソコン教室に通い始めた。 パソコン教室では 初めに自分の目標を記入する。 私は 「そんな~ 目標なんて~」 と思いながら、 とっさに 「ブログを作る」 と書いてしまった。 だから、教室のインストラクターの皆さんは 私の 目標を知っている。 今年になってから、インストラクターの皆さんが 時々 「ブログの方は どうですか~?」 と声を掛けてくれる。 私は 「それが なかなか~」 とごまかしていた。 先日、私は そのパソコン教室で 小さな かわいい花束をいただいた。 「えっ! これ いいんですか? 誕生日だから!?」 「はい! おめでとうございます」 私は 本当に 本当に うれしかった。 そこにカードが添えてあった。 お祝いのメッセージと共に 「ブログの方は 楽しめてますか?」 と したためられてあった。 私は かわいいお花達から背中を押してもらい その 3日後 ブログを始めた。
February 28, 2007
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試合後 あるバトラーのお父さんとお話しする機会があった。 とても有名な バトラーなので 私など 近寄りがたいのだが、 その場に 航のちちがいたこともあって、 今、すごく 気になっていることを 伺ってみた。 「T君は DSやったりするんですか?」 「やりますよー」 (へ~! やるんだ!) 「でも、試合に負けちゃったりすると 一週間やらせなかったりしますよ」 「ほ~」 航のちちは (やっぱり そのくらいは やりますよね) と言う 声を上げていた。 「この間なんか 頭にきて 壊しちゃいましたから」 私は 表には 出さなかったが 心の中で (ういぃぃぃぃー) とのけぞってしまった。 (で で、どうしちゃったんだろ。 また買ったのかな?) (ちょっと、聞きたいけど、聞けなーい) 私は ぶったまげてしまった。 でも 航平にこういう形があるということを 早く言いたかった。 「航平 T君ちは 試合に負けるとゲーム禁止になっちゃうんだってよ」 航のちちは 間、髪を容れずに 「うちも そのくらいしなくちゃ ダメだろ!」 と言った。 でも、「ゲーム禁止」という言葉は 日常的に言われているため 航は 「またですか~」 ぐらいに あしらっている。 「この間は 頭にきて お父さん ゲーム 壊しちゃったんだって!」 「えぇぇぇぇー!!」 これには 航平も ぶったまげた。 「えっ それでDS また買ったの!?」 (・・って そっちかよ! いや でも 私も同じことを考えていた) 「そういう問題じゃないんだよ!」 と 一応 親らしく決めてみた。 次の日から 航平は 進んで練習するようになった。 と 言いたいところだが、 航平のことだ 「喉もと過ぎれば 熱さ忘れる」で あんなに 悔しい思いをしたのに やっぱり DSに夢中なのであった。
February 26, 2007
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「ミーちゃん こっちに来なかった?」 「あっ いやっ こっちには 来てないと思うけど・・」 「なんか いなくなっちゃった みたいで・・」 「はっ! そうなの! どこ行っちゃたんだろ」 店内を 少し捜すと ミーちゃんはおもちゃの前で お行儀よく座って 遊んでいた。 ちょうど 向こう側から ママさんもやって来た。 良かった 良かった。 これを機に そろそろ会場に 戻ろうか。 会場へ戻ると、航のボードに ひとつも丸がなかった。 (やっぱり こういうことになるんだよ) 昨日の夜 私は 航のちちにこう言った。 「明日は 航平 ボロボロだよ きっと 」 何しろ 勇者の後半から 他のことに気を取られている気がする。 航のちちの 「まぁ 仕方ない」 と言う あいまいな表現に加え ‘DS’という 大変 魅力的なものに 取り付かれ 気合が入っていないのだ。 予選が終わって 航のちちが言った。 「航平は ダメだねー。 一勝も出来なかったよ。 ちょっと 悔しがっていたよなぁ」 「当然だよ。 ママは いい気味だと思ったよ」 「へっ?」 航のちちは ハトが鉄砲玉喰らったような顔で 私を見た。 「あの場所で 一勝も出来ないことが どんなに恥ずかしいか、 思い知ったほうがいいよ」 「ママは 厳しいねぇ~」 「航は おバカだから 〈それじゃ 恥ずかしい思いするよ〉なんて 予言したって ダメなんだよ。 〈恥ずかしい思いしろ!〉って 恥ずかしい思いさせなきゃ」 私は 航平の 試合に対する姿勢がいやだった。 あんな 中途半端な 情けない航平を見ることが 腹立たしかった。 (つづく)
February 24, 2007
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1月28日 また、ここへ来ることが出来た。 ムシキングミュージアム。 でも、正直 もう少し 準備万端で臨みたかった。 枠が決まり、予選が始まった。 私は航のちちと 試合が始まると なかなか出られない場所に 座ってしまった。 航のちちは いつもここに座っていろ と言うのだ。 初めてまわってきた 航の試合の敗北を観てから 航のちちは 一服に立ち上がった。 ついでに 航平に水分補給のため 飲み物を渡した。 航平は ペットボトルと顔を ガッと上に向けジュースを飲むと (ペットボトルを 取りに来てくれ) という風に ペットボトルを軽く持ち上げながら 私に 目で訴えて来た。 (えーっ! 何でパパ すぐ行っちゃんだろ あれ! だって 私だって ここから出るの大変だよ。 もう パパが今 出たばっかりなのに、 また 私が出たら、みんなに迷惑だよね~。 かといって、航が後ろにいるうちに 受け取らないと・・・) 私は観戦している方達の前を こそ泥のように 中腰になり 頭を下げながら 脱した。 無事 航平からペットボトルを受け取る。 でも また 元の場所に戻るのは 気が引けた。 私は 元いた場所に戻るのは 諦めて そのまま 座れる場所を探しに 建物の中をウロウロしていた。 「おっ!あった あった。 ここは試合をしているフロアじゃないし 誰も来ないだろう。 ちょっと 休んでよ」 いすに 腰を下ろした。 (あ~ ここに来るだけで、疲れちゃったよ。なんか眠いし。 おなかも空いた。 そういえば、バック 置いてきちゃったから、お金がないよ。 なんにも 買えない。 あっ おにぎり持って来た! あっ バックか) (航平の試合どうしたかな? 携帯で パパに聞いてみよう。 あっ 携帯も バックだ) (でも、 戻るものね~。 おなか空いたな~) どれくらい 時間が経ったか 分からない。 私は 頭を垂れて、ウトウトしていた。 しばらくすると 「みーちゃん みーちゃあーん」 と子供さんを捜している 女性の声が聞こえてきた。 そういえば バスターズに同じ名前の 小さな女の子がいる。 (同じ お名前だ~ それにママさんの声も 良く似てる~) 顔を上げると バスターズのママさんだった。 (こっ この場面ってさぁ~) 私の姿が ママさんに どんな風に映ったのか 心配になった。 (つづく)
February 19, 2007
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1月27日 (2) 航平は 勇者4 でシルバーを取ることが出来なかった。 毎年 恒例タイトルを 今まで落としたことがなかったが、 初めて、冠を 取ることが出来なかった。 タッグのロムが 替わってから、航のちちは 「試合の意味が 良く分からない」だの 「これじゃ 勝てるものも 勝てない」などと ぼやいてばかり・・・ あのロムが お気に召さないらしい。 航平が負けて帰ってきても 「手は悪くないんだよね~」 「あの展開じゃ仕方ない」 と言う 言葉に 航平は 次第に 「負けても良しとする」 と解釈してしまったように思う。 だから、負けても 悔しさが生まれない。 途中 「明日も 行ってみるか?」 「どうする?諦めないで 挑戦してみるか?」 「パパは ここで諦めるのは 良くないと思うぞ。 やるだけやってみよ!」 と 航平に言っていた 航のちちは きっと 自分自身に言っていたのだろう。 私は 航平にいろんな言葉を投げかけ 闘志を掻き立たせようとしたけれど 結局 最後まで 航のちちの言葉に 甘んじていたような気がする。 明日のミュージアム杯では、勝ち抜きになる。 また 試合の仕方、考え方を 切り替えなくてはならない。 それには 時間が あまりにもなっかった・・・
February 17, 2007
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1月27日 今日で我が家の 勇者4 が 終わった。 午前中は埼玉の会場へ行ったのだが、抽選漏れ。 そこから 次の会場へ向かう。 しかし、シルバーを取る事はできなかった。 航のちちは 月曜日に <ミュージアム杯 第2代 クワガタ王> の電話がつながってから、 もう 心はミュージアムに切り替っていたのだが、 だからといって まだ 勇者4 を投げ出した訳ではない。 航平にも 「今回は 取れないかもしれない。 でも、挑戦だけはしていこう」 と 声を掛けていた。 そして 最後の日を 迎えたのだ。 最後の会場を背に 駐車場に向かう。 航のちちは 「ダメだったかぁ」 という言葉を吐き出し、タバコをくわえた。 航平と私は 車に乗り込む。 一服し終わると 航のちちも車に入った。 そして 「まっ いいよ。 明日に気持ちを切り替えよ」 と言い 同時に 自分の席の後ろに座っている 航平に体をねじりながら 後ろを向いて 右手を航平の前に出した。 「よく 逃げ出さないで がんばった。 よく パパについて来て 勇者 最後までがんばった。 ありがとな・・・」 と言った。 航は 軽く 「うん」 と言い 航のちちの手に 自分の手をすべりこませ 握手した。
February 15, 2007
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1月20日 私は駅の階段を ものすごい勢いで駆け上がっていた。 こんな 一段抜かしで 風を切るなんて 何年ぶりだ。 航平は電車を一緒に降りてから どこへ行ったか分からない。 航平のためなのに、今は航平にかまっていられない。 下車した大勢のお客さんの中で、必死に私の背中を追いかけていることだろう。 大○駅から 次の駅にある 勇者の会場まで6分で行かなくてはならない。 54分に電車が駅を出て、11時までに名前を書かなくてはならない。 電車の扉が開くと同時に飛び出し、階段をクリアしたところで 急に足が重くなり、思うように動いてくれない。(でも、時間が・・・時間が・・・) 周りの人に 自分の異変が分からないように 平気な振りをして改札を出、 建物に向かう。 その時 私の心臓が悲鳴を上げた。(年だよ!年だよ!もう限界だ!) 私の足は止まってしまった。 そこへ航平が後ろから現れた。 「ママァ~」 航平は私の姿を見て、もう走らなくても間に合うのかと 安心したように 「ボクは持久走だと思って、走ってきたよ!」 と言ってきた。 (これは持久走じゃない!) 「バカ! 航平はもっと走れ! ママは走れなくなっちゃったんだよ。 航平は 場所が分かるでしょ。 ひとりで行って、名前 書いてきな!」 そう言われても、ヨロヨロしている私の側から 前へ進む気配がない。 (もう、この のんきなおバカは 私が走らないと 走らないのか! 間に合わないんだようー!!) 心の中で 叫んだ。 半分 怒りながら、半分 呆れながら 私は走り出した。 いや、気持ちは 走っていたが 本当は倒れそうだった。 (笑われる。 ここで倒れたら 笑われるぞ。 ここで倒れたら、人が集まって・・・ ムシキングのエントリーのために 走って倒れたなんて・・・ ダメだ。 普通にしなくっちゃ。 フラフラしちゃダメだ。 倒れちゃダメだ!) 向こうに 会場が見えてきた。 人が はみ出しているのが分かる。 現場に着くと、お店の人を探した。 「えー 間もなくお時間になります」 マイクの声が聞こえた。 (どこ? どこに行けばいいんだ!) 周りの人が見えてなかった。 すると 「はい。 大丈夫ですよ」 と 忍者の格好したお兄さんが サッと 名前を書くボードをくれた。 私の横にはA.S君のお母さんがいて 「あぁ~] と声を掛けてくれたのだが きっと 私の目は 空中を見ていて A.S君のお母さんと視線が合っていなかっただろう。 呼吸は乱れに乱れ、ペンを持つ手はフニャフニャ 足はカクカク それでも、とりあえず 名前は書いた。 私は 「航平 後は抽選で名前が呼ばれるか ちゃんと聞いておくんだよ」 と 言い残し、もうひとつ 私を縛り付けていたものから 解き放たれるため お手洗いへ向かった。 携帯で 航のちちにも 間に合ったことを伝え 会場に戻ると 航平は 太鼓の達人のバチを持って 遊んでいる。 周りには ゼッケンをつけている 子供さんがいる。 「航平 ちゃんと聞いてたの? ダメだったの?」 「うん」 「本当? あんた 遊んでて 聞き逃したんじゃないの?」 「ううん。 ダメだった」 (あんな 思いをしたのに! なんでこの子は こんなに簡単に軽く答えるのだ! なんで あんたは 太鼓のバチを持ってるの。 あんたはもー ) (こんな時のために 体力作りしなくちゃだめかな~?) 抽選漏れしたことを 航のちちに携帯で伝えながら 一瞬 本気で そう考えた。
February 10, 2007
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やっと これまでの日記を 載せ終わりました。 本当は 一日で 終わらせるはずだったのに 始めたばかりの 私の腕では 無謀でした。 なんか 小出しになって 気を持たせてしまいましたね。 すいません。 航のちちは 改めて目を通しながら 「こんな時が あったね~」 「航 こっち来てみろ! いいかぁ 読むぞ~」 なんて 思い出に浸っていました。 私の ブログでは 以前のスタイルを そのままに 画像等を 取り入れないように しました。 我が家の話 ではありますが、 きっと 少なからず 同じような 場面や心情を 経験されていることと思います。 「この話を読むと あの時を思い出す」 なんてことがあったら うれしい限りです。 そんなためには 余計な画を入れず みなさんの ご家庭の画と 重ねていただけたらなぁ と思っています。
January 25, 2007
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春休み中にあった 第7代GC王大会。 2年間待ち続けたチャンス。 その日に向け 出来ることは全部やってきた。 なのに 当日は思った通り手が出せず、予選も通過できなかった。 そう 当日まで調子が上がらず焦っていた。 のは 航のちちの方だった。 航は何故か 本当にイヤになってしまうほど、 本番になると 違うことをやってくれちゃう。 例えば、午前中の試合が終わって 「今の反省点 言ってみろ」 と聞かれると 「ここが悪かった」 「この手が出せなかった」 と答える。 「じゃ 次 出来るんだろうなあ!」 と言う言葉に 「はい!」 と返事をするくせに 同じ日の午後 また 同じことを繰り返す。 航のちちは 大切な試合を前に 苛立ちを隠せない様子だった。 ちょうど 親子ペア戦があった。 私は 「たまに 一緒にでてみたら?」 「気分転換に パパと一緒に出てみたいよね」 と航のちちをあおり、ちちをその気にさせた。 航は大喜びだ。 航は個人で出るより、友達やパパと出る方が好きなのだ。 これで ムシキングの楽しさを思い出して欲しい と小さな期待も掛けていた。 しかし、これがあだとなってしまった。 先にいったのは 航のちちだ。 「パパの手と 相手の手をよーく見ておくんだぞ」 と言う言葉を残し 背中を向けた。 航のちちの試合の展開は 普段の策略を聞いている私から見れば、 航のちちの構想通りに運ばれている。 小型甲虫であれだけ倒せれば十分だ。 たすきを航に渡す。 航のちちは 航の仕事を信じていたに違いない。 ところが、まさかの敗退・・・。 私が思い描いていた 楽しむはずのムシキングが 次の瞬間 苦痛のムシキングに変わってしまった。 「おまえは 見てたのかよ!」 ・・・ 「うん」 ・・・ 「どこ見てたんだよ!」 「相手は どういう手だよ!」 ・・・ 航はどう答えていいのか分からないまま ちちの前で棒立ちになっている。 ガミガミ言われる度 首を大きく縦に振る。 悔しくて出るのか、怖くて出るのか、訳が分からない涙が溢れてきている。 お店の階段で こんなことをしているから、 階段を利用するお客さんはみんな 「何事か」 と言う顔して 通り過ぎて行く。 ふたりの間に 言葉を掛けられずにいた私だが、 航のちちの気が済むまで そこを動こうとしない航を、 他へ連れ出してしまいたくなった。 「もう 航 おいで 2階行こうか」 と声を掛けながら 航の体をさらおうとした。 でも 航は小さく体をこわばらせ、私の動きとは逆に体を傾けた。 「いいんだ」 そう聞こえた。 そう聞こえたけど、もう1度確認しなければ、すぐに消化できなかった。 「何て言ったの?」 と航の口元に耳を寄せた。 「僕は これでいいんだ」 ・・・ 胸が詰まってしまった。 そう言われて これ以上 私に一体何ができるだろう。 航は ちゃんと覚悟しているのだ。 きっと 航本人も イヤになっている 自分の手の至らなさ。 今 ちちの前を去ったところで それは ただの逃げにしかならないこと。 ちちの気持ちを余計 逆撫ですること。 今 ここでこうしていなければ、航自身の気持ちが収まらないこと。 私は 航のちちから車のキーをもらって 車にいることにした。 「僕は これでいいんだ」 航が望んでいることなんだね。 でもママは 女の人だから分かんないよ。 女の人でも 強い人には分かるのかな。 ママは へなちょこだから分かんないよ。 航のことが 正直 痛々しくて見ていられなかった。 大きなしこりが 胸に迫ってきて、顔がくしゃくしゃになっちゃいそうだった。 車の中で くしゃくしゃになった顔から 涙が出そうになった時、 ふたりがフロントガラスの向こうに現れた。 私は慌てて平気な顔に戻り 「もう 行くの?」 と声を掛けた。 翌週は 航の調子が上がってきたのか、2日続けて優勝したものの、 GC王大会当日は いろんな課題を残したまま 終わってしまった。 「僕は これでいいんだ」 航のあの日の言葉が ずっと離れないでいる。 「本当に それでいいの?」 私のやるせない気持ちより、 航の 「強くなりたい」 って気持ちの方が ずっと大きくて 強いんだよね。 そんな航に へなちょこママが出来ることは じっと 見守ることだけだよ。 (2006.4.20)
January 23, 2007
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何を隠そう 航のちちは パチンカーだった。 お店では、常連さんに「おっ 今日も出してるねぇ~」 なんて言われて 「ここが違うんだよ~」 と普通なら 腕をポンポンと叩くところを 航のちちは 人差し指でこめかみのところを チョンチョンと指す。 データーが頭の中に全部入っている。 腕じゃない 頭を使うんだ。 と 言っているのだ。 もちろん わたしも同行させられ 「この台やってみな」 と言われる。 言われるまま 座っていると 必ずと言っていいほど 箱を積んでいた。 そのおかげで 家計は潤っていたし、ちょっとした旅行に行けたりした。 そんな日々の中 子供ができた。 私は 「これは いかん」 と思った。 もともと この不健康な環境が好きではなかった。 この生活を変えるチャンスだ。 赤ちゃんが産まれたら 公園へ行ったり、図書館へ行ったり、お散歩を楽しもう。 私は その時に 心躍らせていた。 航が産まれると 航のちちは キッパリとまでは言わないが、 店に足を運ぶことが グンと少なくなった。 子供が産まれたら、可愛がってくれるだろう。 とは思っていたが、その子煩悩ぶりには 正直 助けられることが多かった。 本当に よく面倒をみてくれ、遊んでくれた。 それでも たまに 大好きなパチンコをさせてあげたくて 「今日は 行って来ても いいよ」 と言うと 「え~ いいよ~」 と ちょっぴり行きたい気持ちをのぞかせながら 返事をしていた。 航が少し 大きくなってきた頃、いつものように 「たまに 行ってきたら?」 と促すと 「もう 勘が鈍っちゃってるだろうなぁ~」 なんて言いながら フラッと3人で店に入ると・・・ 航の目が ギラギラ!! こっ これは!? なんで こんなところばかり パパに似ちゃうんだろうなぁ~ そんなある日 出会ったのが ムシキング。 根っからの負けず嫌いのちちと やっぱり そんなところが似ちゃった航に 火がついた。 初めは ただのジャンケンなんでしょ? と思っていた私だが、 航のちちは 「ただの ジャンケンじゃないよ。 こう出せば 絶対 勝てるんだ」 と言う。 試合に出る度 航のちちは 「そうか!」 と 水を得た魚のように どんどん戦略を見い出していく。 私には チンプンカンプンな戦術を 航は フンフンと聞いて それを実戦にうつす。 すると 勝っちゃったりする。 ふたりは これに はまってしまった。 気が付いたら、お休みは ムシキング 一色に染まっていた。 今では そう簡単に勝たせてもらえなくなってきたが、 それでも ムシキングの奥深さに どっぷり つかっている。 先日 仕事帰りの航のちちを 駅まで 迎えに行った。 駅前には 以前行っていたパチンコ屋があるのだが、 航のちちは パチンコ屋を横目に 「今は 全然行く気しなくなったなぁ~」 とつぶやいた。 自称 パチプロだった航のちちが こんな言葉を口にするなんて・・・ パチンコ屋さんでは作れない 子供との思い出を ムシキングでいっぱい 作ってくれ! (2006.3.15)
January 19, 2007
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先日 私は地域の 「次年度 育成会会長」 になってしまった。 子供がこの春から2年生なら 私も育成会の2年生。 まだ、どんな活動をするのか分からないまま 引き受けることに・・・。 話し合いが終わったのは、午後8時。 うちに帰っても 航のちちと航は まだ 帰ってなかった。 私が 「会長」になったと言ったら、航のちちは何て言うだろう。 びっくりするだろうなぁ~。 9時をまわって しばらくすると ふたりが帰って来た。 「ただいまぁ~ いや~ 今日の試合はさぁ~ ペラペラ ペラペラ」 そうだよね。 試合のことで頭がいっぱいだよね。 まあ 話しが一区切りついたら 言ってみよう。 私が試合に行かなかった時、 航のちちは 今日の試合の様子を 事細かに話してくれる。 いつも ふむふむ と聞いて ときどき航に 「そうだったんだ」 と言葉を掛ける。 話が途切れたところで 私は すかさず 「パパねー ママ 会長になっちゃったよー」 「えーっ! 大丈夫!?」 おぉ いい反応だねー! 「そうなんだよ どんな仕事するんだろう。 1年間 大変かなぁ~」 航のちちは タバコの煙をプカプカさせながら 「あ~ そうそう 夏祭りの時、子供達に何をしてあげるか考えるんだよ」 それなら 私も知っていっる。自治会の時、 後ろで 育成会も話し合っていた。 そうか あれもやるんだ。 「航の手は最近・・・ペラペラペラペラ」 あれ?私の話しは もう終わり? 気が済んだかなぁ~というところで、 「何か 研修会とか いろいろあるみたいでね。 会長さんだけの集まりで また 役員決めるんだって。 そこで会長の会長になると 夏は子供達の合宿に付き添ったりするんだって!」 「あ~ママは大丈夫だよ。 航平 抽選はずれてばっかだから ママもはずれるよ~」 ムシキングと違うんだってー 「いやー でも 負け必殺はさぁー ペラペラ ペラペラ」 え? また ムシキング? 「パパはさ~ さっきから ママの話し 聞いてないよねー」 「そうだね」 えっ?誰? おーっ! うちのちびキングー! ちびキングが 加担してくれた!! 「そうだよね。 パパ ママの話し ちょっと聞いてないよね」 「ちょっと じゃないね。 全然 聞いてないね」 おー!ちびぃぃぃ! 航を産んどいて 本当によかった。 と心底 思った。 「だって パパはムシキングの時は ポンポンしゃべるけど、 ママの話しは あさって向いてしゃべってるんだよ」 「そうだよ。 ねぇ ママ。 パパは ダメだよ」 いいぞ! ちびキング! 「あっ それで ママ いつ 役員の話し合いがあるの?」 航のちちが慌てて 聞いてきた。 もう 遅いのだー! 返事なんて してあげないよ。 「マ~マ 悪かったよ。 明日は ママも大会に行こうよ」 「ママは 明日も おうちにいる!」 「そんなこと言わずに 行こうよ」 プイッ! 調子いいんだから・・・ 航のちちがしていたように あっち向いてよ あっち・・・ 航のちちは 居心地が悪くなったのか 「じゃ ママ 今日はもう寝るね」 と言って、隣の部屋へ行ってしまった。 どうせ パソコンのHPでも 見ているのだろう。 翌朝、引き続き ママキングは機嫌が直らない態度をとる。 「ママ 今度から ちゃんと話し聞くよ。 大会 行くでしょう?」 航も 「ママ 行こうよ」 と言ってきた。 ん~? 今日は航が カナブンのように パパキングに寄り添っている。 「なぁ 航平。 ママにも来て欲しいよな!」 「うん!」 「ママ 行こう?」 カナブンが ボン! ボン!とダメージを与えてくる。 しかし、このままやられる訳にはいかない。 今のうちにもう一言言っておかなくては! 「パパはね、航が試合に負けた時 「話し聞いてねーんだよ、そん時だけ[ハイ。ハイ。]って言って、 試合になると すーぐ忘れんだから」って言ってるけど、 パパだっていつもそん時だけ[分かった。分かった。今度から話し聞くよ] って言ってすーぐ忘れちゃうじゃない。 航のこと言えないからね!」 ハァ ハァ ママキングの必殺技が決まったか? パパキングは 小さくなりながら 「そうだね。わかったよ。気をつけるよ。だからママも行こうよ。ほら準備して」 今日のところは これくらいに しておいてあげるか・・・ 私はちびキングに (航の分も 言っておいて あげたからね!) と目くばせをして、 出掛ける準備をした。 (2006.2.28)
January 17, 2007
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我が家の「勇者3」が終わった。 ムシキングのホームページに勇者3 の掲示が出された時、 航のちちは 画面を見ながら独り言のように 「今回はどうしようかな~」と言った。 ぶつぶつ言ってる航のちちに 私は 「今回は初めから 出るのやめたら? 冬のエントリーは大変だよ。 今年の冬は特に寒さが厳しくて・・・ 朝早くから並ぶんでしょ? そんなの大変だよ」 と本気で言った。 「そうだよな~ 狂気沙汰だよな~」 「今回のタイトルは休んじゃえば?」 「う~ん そうだよな~」 まだ どちらともつかない返事。 始まってみると、航のちちは3回も その狂気沙汰の列に加わっていた。 そして、航が取ったシルバーは ちちがそんな思いをして並んだ会場ではなく、 朝 予約をしてからまわった抽選会場で 運よく抽選に当たり 取ったものだった。 それでも 航のちちはホッと胸を撫で下ろしていた。 「いいんだよ。 朝 並んだことも、予約したことも無駄になってくれた方が」 数日間、航のちちは安堵に浸っているようだった。 2月19日 エリア決勝の日。 正直なことを言うと、私は ことのほか落ち着いていた。 みんなが躍起になって取ろうとするシルバーを手にしたのだ、 私はそれで十分だった。 極端な話、ここにいるみんな 誰がゴールドを手にしても もう いいのだ。 でも やっぱり、航のちちも 航も ここからが本番。 やっと土俵に上がったところだった。 いや、そう思っているのは この会場の人 全てで、 ここで満足しているのは きっと私だけだ。 今回のエリア決勝は バスターズの仲間も多くて どれも気になる試合だった。 バスターズの仲間は 1回戦目を着実に勝ち進んでいく。 そんな中 航は初戦を勝ち進むことができず、 バスターズで最初の脱落者になってしまった。 ゼッケンを脱いだ航に 「バスターズで最初に負けちゃったね」 と声を掛けてしまった。 「分かってる」 投げ捨てるように でも 冷静に航は答え 私の視界から消えていった。 それを一番意識しているのは航の方だった。 むごいことを言ってしまった。 試合が終わるまで、 航のちちは 試合の内容について 私に何も話してこなかった。 いつもなら 「あー言ってたのに こーやった」だの 「また 同じことやって負けた」だの 私の隣で流暢に話しているのに、 今日は心なしか 口数が少ないように感じた。 試合が終わると バスターズの仲間が「○○会場で試合があるみたいですよ。 抽選だけど、行きませんか?」 と誘ってくれた。 にもかかわらず、航のちちは 「いや、今日はもう いいや」 と断っていた。 航のちちが 急に腑抜けになって見えた。 「どうした?パパ?」 と聞くと 「何か 疲れがドッときちゃったな~」 と口にした。 その途端、さっきまでとは違う顔色になった。 長いこと、気が張っていたんだ。 「やっぱ ここまでの道のりが 大変だったからな~」 そうだ、今回の大会は全部 航のちちがエントリーに並んでくれた。 寒さがゆるんだ日もあったが、 それでも早朝は かなり冷え込む。 雪が降った日もあったし、この冬一番の寒気が流れ込む という日もあった。 そんな中 やっと手にしたシルバーの切符。 少しだけ その苦労を解ってあげてなかったことに、 申し訳ない気持ちが生まれた。 でも、ちちはそのことだけに 冴えない顔をしているのではない気がした。 うちに着くと、やっと 気持ちを言葉にしてきた。 「今日の試合はさぁ、あー悔しいぃ とかさぁ、航平のやつ また変な手出したな! とか、そんな気持ちじゃないんだよね。 何で負けたのか分かんないんだよね~」 「航は いい手出してたよ」 と言い出した。 航も 「ボクも そう思う」 と言った。 そんな会話をして だいぶ時間が経ってから、 揺るぎない答えを見つけたのか 航のちちは 「航 あの手は 100回やって1回負ける手だ。 今日はその1回に当たっちゃったんだ。 航の手は正解だ」 と強い口調で言った。 航は黙って ちちの言葉を受け止めていた。 気のせいではなかった。 航のちちは ずっと そのことを考えていたのだ。 大会の間も・・・終わってからも・・・答えが出るまで 次の会場へなど足が向かなかったのだ。 航が寝床に入る時、航のちちは「おやすみ」の代わりに こう言った。 「航 航の手は正解だ。 パパも間違いなく 同じ手を出していた」 答えを見つけた 航のちちの声には 力がこもっていた。 (2006.2.22)
January 15, 2007
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我が家は お風呂屋さんが大好きである。 航のちちがお風呂屋さんモードに入ると 「今日 お風呂にでも行こうか?」とメールを送ってくる。 すると私は 「今 私も 行きたいなぁと思っていたんだよ」 とメールを返し、 お風呂セットを準備して 航のちちの帰宅を待つ。 ところが、お風呂屋さんの道の途中にカードショップがある。 もちろん ムシキングカードもケースの中に陳列されている。 航のちちと航はカードを買うでもなく、気になるカードが売れてないか 新しいカードが並んでないか チェックしたいのだ。 航のちちの方から「ちょっと 行ってみるか?」と誘う時もあるし、 「ちょっと 行きたいなぁ~」と 航の方から けしかける時もある。 お風呂屋さんの帰りなど 「今日は もう遅いからなぁ」 と航のちちがダメ出し しても、実のところ ちち本人が行きたいので、 航から「行きたい行きたい」コールがかかると、 私の手前 「仕方ないなぁ~ ちょっとだけだぞ!」 と言いながら (よしよし 航平 いいぞぉぉ!) とほくそ笑んでいるようで仕方ないのだが・・・ 車は 航を口実に いつの間にか 駐車場へ。 というのが いつものパターン。 今日は 私が運転してお風呂屋さんへ。 カードショップが近くづくと、お決まりのちちのセリフ「行ってみるか?」 「うん!{^^}」航が断る訳が無い。 駐車すると 「ママは 車に乗ってな」 と言って ふたりは あっという間に カードショップに吸い込まれていった。 女の人だって もちろん入れるのだが、 ちょっぴり苦手な雰囲気なので 私は いつも車の中で待っている。 しばらくすると、ふたりがお店の前に出てきた。 お店の前の 小さなUFOキャッチャーみたいなもので 遊んでいる。 三角くじを取り上げているのだ。 あのくじには数字が書いてあって、ポイントを集めると品物がもらえる。 ひとしきり遊ぶと、ふたりは気が済んだのか 車に向かって走ってきた。 北風が冷たいのだろう。 両手をポケットに突っ込み 両肩を上げ 首をすぼめて ふたりで同じ格好をして走ってきた。 親子で同じ格好をしているのがおかしくて 車の中で プッと 笑ってしまった。 ふたりは車の中に入ると さっそく くじを広げる。 私は ゆっくり車を出す。 航が「あっ! ラッキーって書いてある!」と叫んだ。 「えっ!どれ!」 慌てて 航のちちが覗き込む。 「えー でも何でもないんじゃない? ただのポイントじゃない?」 「えっ でもポイントなら ポイントって書いてあるんじゃない?」と 航が甘い疑問を投げかける。 「お~ そうか!何かあるのか?」と ちちはその気になってきた。 ふたりのやり取りに 「あの~ 戻るのかなぁ?」と 聞くと 「ん~?う~ん」と ちち 「うん! 戻る 戻る!」航の勢いで 戻ることに。 再び お店から戻ってくると 「やっぱり 何でもないんだって。3ポイントのことみたい」 「うわ~ 騙されちゃったよぉ~」 こんなことに 一喜一憂している ふたりを見ていると、 親子というより 兄弟みたい。(ちょっとパパには 無理があるかなぁ(笑)) 我が家のムシキングは 試合だけじゃなく いろんな形になって 普段の生活に入り込んできている。 ふたりにとって ムシキングは「思い出作り」「絆作り」の材料なのかも。 お風呂屋さんでは 湯船につかりながら また ムシキングの話しをしていたのだろう。 (2006.2.9)
January 12, 2007
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クリスマスの朝 我が家にもサンタさんがやって来たらしく 航は早速プレゼントの包みを破き 欲しかったゲームを始めた。 航の頭の中は やっと手にしたこのゲームのことでいっぱいである。 しばらく遊んでいると 航のちちが覇気のない声で「おはよう」と起きてきた。 その声に 航もゲームを続けたい気持ちを取り合えずしまい込み 出かける準備を始める。 風邪をこじらせ ひどい頭痛に悩まされていた航のははは 今日は家で少し休ませてもらうことにした。 今日の会場は1匹勝負で1日に3試合ある。 このところ 航のちちは航の手に改良を試しみている。 そのため 手が不安定で結果に結びつかない。 航の年内の優勝はもうないかも・・・航のちちもははも諦めムード。 しかも 今日はサンタさんからのプレゼントが 航の心の大半を占めているんじゃないかと懸念していた。 ちょうど正午に航のちちからメールが入った。 「3回戦敗退・・・」「は~やっぱりダメか・・・」 そして第2試合目も「1回戦敗退」のメール。 「うわあ~。 やっぱりあの子はサンタさんからもらったゲームのことばっり考えてるんじゃないの? あ~今日の夜にしておけばよかったかな~」 プレゼントのせいなのか・・・航の心は今どこにあるのか・・・分からなかった。 このごろの航はムシキングに対して飽和状態にあるような気がする。 お腹いっぱいなのだ。 試合は毎週末 ちちが探してくれ、連れてってくれ、 これに負けても次がある。っていう気持ちが手に取るように分かる。 負けた時 悔し涙を見せても「だから、次に何をしよう」 という動機にまではつながらない。 始めた頃は 負けた時 会場ではケロッとしていたのに 家に帰って ちちとお風呂に入ると「強くなりたい」って泣き出したよね。 湯けむりの中で涙を拭く航を見て 航のちちは「絶対 強くしてやる!」と航の涙に誓ったんだと思う。 あの頃の航は ちちの話しを一所懸命聞いてたよ。 ところが、昨今の様子を見ていると あの時のハングリーな部分が欠けてしまったような気がするよ。 どこへ行っちゃったのかなぁ。 そうこう考えているうちに 第3試合目の結果が・・・「3回戦敗退・・・」 「まあ、仕方ないかぁ・・・」 ぐるぐる言い訳を並べて ふたりの帰りを待つことにした。 夕方 航のちちから「駅に着いたから迎えに来て」と連絡があった。 駅へ迎えに行くと 以外と明るい雰囲気で車に乗り込んできた。 航も航のちちも 吹っ切れちゃったのかなぁと思った。 「航 どうだった?」と聞くと 「ダメだった」と お決まりの会話。 「そっかぁ」なんて言っていると 航が 黒いケースを目の前に出してきた。 「あれ? 何これ?」 航のちちの顔を見て「どうしたの?」と聞くと 「優勝したんだよ」と ふたりでにこにこ・・・。 「え? 本当? 本当なの?」ははは 嬉しいはずなのに 何故か喜びが湧いてこない。 いつもはメールで「優勝したけど、航には知らないふりをしてね」と 入れてくるのに 今日は最後まで黙っていたのだ。 もう さっきまで「仕方ない」って 自分に言い聞かせていたにのに! 「いやぁ 第2試合 1回戦敗退の時は航平に気合い入れ直したよ。 なぁ 航平! お昼ご飯の時に なっ」 「うん。 でも それで 気合いが入った! それがなかったら 優勝できなかったかも」 「ぼくは いつもパパにおこってもらいたいんだ」と ふたりは大盛り上がりだ。 「これは ママにクリスマスプレゼントだよなぁ。 行く時 ふたりで言ってたんだよな。 優勝して ママにしよう。 ってな!」 「うん!」 ふたりの会話は弾んでていいよな。 そっかぁ 今日はクリスマス・・・プレゼント? 「うわ~ ありがとう 何よりのプレゼントだよ~」 ははは会話に乗り遅れる。 「航はさぁ しばらく(優勝できて良かった。優勝できて良かった。) って喜びに浸ってたよ。 珍しいよなぁ~あんなに言うの」 「あっ でも帰ったらゲームやってもいい?」 あっ やっぱり ゲームのこと考えてたんだ! 「何だよ お前はー」 その切り替えの早さに 航のちちは口をとがらす。 「だって パパ 優勝したらいいよって言ってたよ」 家に着いて 夕飯の支度に台所に立っていると、 航のちちが食器を取りにやってきた。 「ママも ホッとしたでしょ 今年はもう 優勝ないかと思っていたもんね」と 話しかける。 「何だか まだ 実感が湧いてこないんだよね」 そう答えるははに ちちはいたずらっぽく笑って居間に戻って行った。 航のははは 「航は本当に優勝したのかなぁ~」と 頭痛のうえに消化不良まで起こしていた。 (2005.12.29)
January 10, 2007
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