”名も知れぬ人たちへ”・【承29】

・・・たくましい娘・・・

木曜日の朝4時に起きて,単身赴任先へ。赴任寮に一泊して金曜日に午後休をとって我が家へ。
土曜日は午後からバレエ教室,日曜日は朝8時にバレエ教室,といった具合。

もうすぐバレエ発表会が行われるため,今が一番忙しい時期。冊子に載る顔写真撮りや衣装の選定,試着やら母の会からの集金やら発表会の仕事やらで大変
である。
送り迎えは私が担当だったがその他諸々は妻がこなしていた。

今回は,妻が入院しているため私がやることにしたが,発表会の当日の仕事は遠慮した。

さて,この発表会に妻は来れるのか,という不安が残る。
いつも楽しみにしていたこの発表会。
土曜日の見舞いのとき,病院で妻へ聞いた。
「こんど発表会があるんだけど,お母さん来れるよな」
首をかしげて「んーん,どうだろうな。先生に聞いてみる。行きたいなぁー」と。行きたいだろーな,娘の今まで練習した成果を見たいだろーな,どうやっても見に行かせたい。

妻の治療(放射線と抗がん剤)が大分進んだはずなので,後は体調次第だろうな。発表会は一週間後の日曜日。

その翌日(日曜日)の朝,娘をバレエ教室へ送り,病院へ。
さっそく,病室に。「おはようございます。いつもお世話になっています」と一礼し妻のもとへ,妻の顔が少し明るかった。
「どうした?」と聞いたら。
・・・「行ってもいいって」笑顔・・・
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