”名も知れぬ人たちへ”【承38】

・・・傍に,気持ちだけでも・・・

いつも私は,妻の傍にいた,入院しているベットの傍に・・・。
仕事をしているときは集中するが一服するとき
(たばこはやめたけどコーヒーは好きだった)
脳裏に妻の顔が・・・片時も,もちろん娘の顔も。

妻から,放射線治療の結果について話しがあるとメール。
もう,7月も後半のこと,夏が盛りでありいつも汗をぬぐっていた。
娘のバレエの練習の間に付属病院へ・・・。

聞くのが怖い,でも先に妻は言われているんだなと思うと辛い。
なぜそう思うのか,良い知らせはすでに私にくるはず,でもその文面はなかった。
「よう,元気か。どうだった?」と務めて明るく聞く。
妻は,やっぱり明るく
「化学療法だって」
その言葉短かったけどすごーく重みのある言葉。
「そうか,わかった。よくがんばったね」

「もう少ししたら退院だって・・・」

・・・退院,直って退院だったら・・・
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