土曜日の書斎 別室

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サラダ記念日

【土曜日の書斎】  名作断章




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  1987 (昭和62) 年、 刊行と同時に、 驚異的なベストセラーとなり、 一躍短歌ブームを巻き起した、 女流歌人 ・ 俵万智 第一歌集
  一般に、 古めかしい文芸ジャンルと思われていた短歌でしたが、 キャッチ ・ コピー調の、 瑞々しい感性で綴られた詩世界が、 幅広い年代 (特に若い女性層) から新鮮な驚きをもって迎えられました。
  書名は、 コノ歌集に収められた、 最も有名な一首に由来しています。



サラダ記念日

(7月6日)




1




「この味がいいね」 と君が言ったから

七月六日 サラダ記念日


  七月六日とは、 七夕様 の前日。 (^.^)
  互いに惹かれ合いながらも、 天帝の容喙干渉 に遭い、 離れ離れの境遇に置かれている 織女 牽牛 が、 一年にただ一度の逢瀬を許される夜・・・の前日ですね。
  ソレを、 殊更に サラダ記念日 としているのは、 洒落でも偶然でもありません。
  特別な意味が込められています。

  遠く去った恋人との幸福な日々・・・。
  掛替えのない記憶を愛しむヒロインの、 哀切な心情と重なっているのです。
  ヒロイン・・・て誰の事かッて?
  もちろん、 『サラダ記念日』 のヒロイン です。 (^.^;

  念のため説明すると、 『サラダ記念日』 は 歌集のスタイル を持った 純然たるフィクション です。
  作者である俵万智さん一流の清澄な感性が投影されて、 透明感あふれる作品世界を構成していますが、 生々しい実体験を反映する歌集ではありません。
  三十一文字で織上げられた、 オリジナル ・ ラブストーリー として読んでいい作品です。

  理想化されていない、 一人のヒロインがいる。
  生活感あふれる、 適度に可愛いらしい、 親しみの持てるキャラクターに設定されている。
  結婚を前提として交際中の、 恋人がいる。
  二人は同居中である。
  身近な、 ささやかな事象を大切にしながら、 毎日を精一杯生きている。
  次第に・・・恋人との間に、 溝の様なものを意識し始める。
  もどかしい想いを、 絶えず抱く結果となる。
  一見淡々としたヒロインの心情の表白を追っているウチ・・・。
  読者は、 直接に語られる事のないドラマを想起出来る仕組みになっています。
  やがて、 恋物語の終局にたどり着く事となるのです。


泣いている我に驚く我もいて

恋は静かに終わろうとする


愛された記憶はどこか透明で

いつでも一人いつだって一人










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