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「楽しさ」を意識し… New! かめおか ゆみこさん

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森の声

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2007.05.22
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カテゴリ: カテゴリ未分類
昨日は田島誠三さんの絵本「かちかちやま」の絵が怖いということを書きましたが、今日はその絵がおはなしとぴったりつながって“これは絵本でしかできない”という絵本を一つご紹介します。

それはモンゴル民話を再話した「スーホの白い馬」です。絵は赤羽末吉さんです。

以下は、モンゴルの草原で繰り広げられている競争のシーンです。
スーホ2

どうですか。すごいでしょ。

モンゴルの草原を見たことのある子どもなんていません。
だからイメージなど出来ません。

モンゴルの子どもがこのお話を聞くのなら絵はなくても通じると思いますが、でも、日本の子どもがこのお話しを聞く時にはこの絵が必要なんです。

ここで赤羽さんは絵で説明しようとしているわけではありません。絵で言葉を補おうとしているのでもありません。言葉がなくてもこの絵は見る人の心を打ちます。

以下は、捕らえられていた馬が血だらけになって逃げ帰ってくるところです。


スーホ1

子どもはこのような絵からも多くを学ぶでしょう。

また、長新太さんの絵本などは絵がないとワケが分かりません。
全ページただ“ごろごろ にゃーん”という言葉しか出てこない絵本まであるのですから。

長さんのように、絵本でしか実現できない世界を創造している作家もいっぱいいます。

でも、問題は「昔話」です。
昔話は基本的に口承によって伝えられてきたお話しです。
ですから、言葉だけで語られることで完結するように出来上がってしまっているのです。

ですから、そこに絵をつけると別物になってしまう恐れがあります。
また、ここは非常に大切なことなんですが、昔話は子どものためだけのものではありません。

今では昔話の荒唐無稽な世界は“子供用”と考えている人も多いと思いますが、昔は大人のためのものでもあったのです。
文字がなかった時代、大切なことはみな“お話し”という形で伝えてきたのです。

だから、聖書もお経もお話しがいっぱい詰まっています。

また、お話しは大人たちの娯楽でもありました。
欧米には今でも吟遊詩人がいると聞きます。モンゴルなどにも民族の叙事詩を語る人がいると聞きます。

人々は生命について、自分たちの歴史について、自然との関わり方について、人と人の関わり方について物語という形にして伝えてきたのです。

ですから、昔話の中には猥雑な話し、残酷な話しなどいっぱい詰まっています。昔話とはそういうもんなんです。


だからお子さま用にお話しを変えてしまう・・・・。

でも、それでは伝えられてきたお話しの力が消えてしまうのです。

ということで、私は昔話を絵本で読むことにはあまり賛成しないのです。
昔話は是非「本」を読んで語ってあげて下さい。

それなら怖くないと思います。

それと、絵本より文字だけの本を読んであげることの方が、子どもの本好きにつながるのではないかと思っています。

*********************
有名な「千夜一夜物語」にバートン版というものがあります。
私達が今普通に読んでいる「千夜一夜物語」は普通のお話しとして書き直されたものですが、バートン版は原典に近い形で翻訳されたものです。

私はこのバートン版を高校生の頃に読みました。

以下は、そのバートン版を紹介してある HPからの引用 です。



女性に対する不信から、夜ごと一夜妻を殺し続けるシャーリヤル王。その夜伽《よとぎ》に選ばれた才女シャーラザットは、「明日の晩はもっと面白い話があります」「こんな話もあります」といって一夜ずつ身の破滅をのがれる。話の内容は千変万化、ファンタジーあり、恋愛譚あり、悲喜劇あり、人情話あり、猥談あり、悪漢・盗賊ものあり、歴史物語あり、寓話あり…いつしか千一夜にもおよぶ一大物語集に。健康なエロティシズムと強靭な精神にあふれたイスラム世界への最高の案内書。全9巻。この巻に収められた「バグダッドの軽子と三人の女」や「床屋の六人の兄の話」は、「千夜一夜物語」全編の中でも屈指のこっけい譚。どんな人でも驚き、笑わないではいられない。エキスパンドブック版には各巻とも、レイン版からのエッチング図版を多数収録。






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Last updated  2007.05.23 08:04:45
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