森へ行こう(心とからだと子育てと)

森へ行こう(心とからだと子育てと)

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

「楽しさ」を意識し… New! かめおか ゆみこさん

Profile

森の声

森の声

2008.06.06
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
最初にお知らせです。

明日、茅ヶ崎で「音のワーク」(音で遊ぼう)をやります。まだまだ余裕がいっぱいあります。参加してみませんか。楽しいですよ。 5月3日のブログ の下の方に詳細が載っています。
6月26日の「表現共育のワーク」 の参加者も募集中です。こちらはあと少しです。)

**********************************

実は人間の人間的な文化のほとんど全てが模倣で成り立っています。人間は自然からインスピレーションを受けて文化や文明を発展させてきましたが、そのインスピレーションとは模倣そのものなんです。鳥を見て空を飛ぶ物を創りたいと想像するのも模倣能力の現れなんです。

そして、子どもたちはその人類が模倣してきたものを模倣することで人間らしさも、文化も、文明も引く嗣ぐことが出来るわけです。

ですから、子どもたちをそのようなものを模倣出来ないような状態で育ててしまうと、人間らしい人間に育たなくなるということです。


でも、知識は模倣ではありません。“家を建てるのは大工さんだ”と言う知識で、家を建てることはできないのです。
人間は現実と関わることで生きています。ですから、人間が生きていくために必要なのは“現実との関わり方”なのです。“現実についての知識”をいくらいっぱい持っていても、“現実との関わり方”を知らなければ、生きていくことは出来ません。そして、“現実との関わり方”は模倣によってしか学ぶことが出来ません。

ほんとに、ほんとに、こんな当たり前のことも今の時代では子どもたちに保障されていません。
でも、模倣衝動が強い時期の子どもたちは、とにかく生活の中で印象の強いものを模倣しようとします。生まれたばかりの鳥の赤ちゃんが最初に見た動く物を親だと思いこんでしまうように、それは何万年も前から続く人類の本能的な衝動なのです。

そして、今の子どもたちはテレビやゲームの中に登場する人物の行動やしぐさを真似しようとします。子どもたちは真似をすることで“同化”しようとするのです。同化することでその対象を内側から体験するのです。そして、そのものの持つ“力”を受け継ぐのです。
人間の人間らしい感覚はそのようにして受け継がれていきます。単純な動作はその動作だけを見て真似ることが出来ますが、でも 心やからだの内側で働いている感覚は相手になりきって真似をするという方法でないと受け継ぐことが出来ないのです。

それがままごと遊びや、ごっこ遊びの持つ意味です。
だからまた、子どもはお母さんやお父さんの真似をするのです。
ですから、 子どもたちにとって真似をするということは自己を失うことではなく、逆に自己を得ることなんです。

演劇的なワークで相手のしぐさや歩き方をそっくり真似をしてみるというものがあります。そうすると何が起きるか分かりますか。真似をすることで相手が感じていることや心の中の感覚に触れることが出来るのです。(もちろん、実際にはその感覚は相手とは同じものではないかも知れません。でも、“異質な自分”を体験することはできるのです。)
逆に言えば、どうしても相手の感覚が分からない時には演技でごまかすことは出来ても真似が出来ないのです。でも、本人はうまく真似をしたつもりでもその違いは周りで見ている人にはすぐ分かるのです。そもそもちゃんと真似ている時には真似ているという感覚自体がないものなんです。

アンパンマンになり切って遊んでいる子には“アンパンマンの真似をしているんだ”という意識はないのです。逆に言うと、その意識が消えないと“なりきる”ことができないのです。そして大人は同化能力が低下してしまっていますから、なかなかなりきることが出来ません。だから、大人は子どものおままごとの相手をするのが苦手なんです。



この感覚はアニミズム的な宗教や呪術の世界とつながっています。
動物の姿や形や動作を真似ることで、その動物のパワーを得ようとしたり、絵を描いたり、形を似せたものを作ったり、描いたりしてそのものの力に触れようとするのです。
形見として、写真や絵を大切にするのも同じです。

そこで、
亮月庵さんが書いて下さった




上手に真似が出来たから嬉しいのではなく、子どもはその写した絵を通して、その絵の対象とコンタクトをとることが出来るのです。その“自分で描いた絵”には自分とその相手とをつなぐ呪術的な力が宿っているのです。だから大切なんです。そして だから子どもは大好きなものの絵しか描かないのです。 子どもはアニミズムや魔法の世界に生きているのです。

大人でも、恋人の名前を呼んだり、写真を見たりするだけで、恋人が側にいるような感覚があるでしょ。好きな子の名前をノートいっぱいに書いた記憶はありませんか。その感覚がアニミズムの世界とつながっているのです。

人は人ばかりでなく、自然や動物や宇宙まで真似しようとします。ストーンヘンジは宇宙を真似ようとして作られたのです。
人の心は模倣によって創られるのです。
そして、人間はその模倣したことを自在に組み合わせて独自の文化を創ってきました。言葉はその象徴です。

エジソンみたいになりたい。マザー・テレサのようになりたい、黒澤明のようになりたい、イチローのようになりたい、○○先生のようになりたい、お父さんやお母さんのようになりたい、というのもみんな模倣です。
人は模倣によって目標を見つけるのです。 ですから、模倣する対象を持つことができない子は自分の人生で迷子になります。

猿も模倣はしますが、その模倣したことを自在に組み合わせることはしません。 創造性とは、模倣をしないことではなく、その模倣したことを自在に組み合わせる能力のことをいうのです。

だから、子どもたちの育ちには“大人を模倣すること”と、その“大人の常識にとらわれないで自由に表現したり、活動すること”の両方が必要なんです。大人を模倣するだけでは創造性のない人間になってしまいます。でも、模倣がなくて自由なことばかりやっていると人間らしさも、人間としての能力も育ちません。

でも、どちらか一方だけが好きな大人が多いのです。
保守的な人は、大人の模倣を強要します。
進歩的な人は、あえて大人を模倣しないように自由にさせます。

でもいずれの方法でも、子どもは人間らしく育つことができません。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2008.06.06 09:45:16
コメント(4) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: