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「楽しさ」を意識し… New! かめおか ゆみこさん

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森の声

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2008.07.05
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カテゴリ: カテゴリ未分類
6月25日に、「感情との付き合い方」の中で“感情はコントロール出来ないのです”と書きましたが、今日はその感情のコントロールの仕方について書きます。

矛盾していますか。矛盾していませんよ。だって、今日書くのは直接感情をコントロールする方法ではなく、間接的にコントロールする方法ですから。
異常気象を直接コントロールすることは出来ません。でも、地球環境のバランスを保つことで大きな視点では異常気象をコントロールすることが出来ます。それと同じ方法です。
みんな感情を直接コントロールしようとするから失敗するのです。
怒りがこみ上げている時に、その怒りそのものを抑えようとしても無理なんです。

でも、“上司に腹が立って殴ってやろうかと思ったけど、可愛い子どもや家族のことを考えてぐっとこらえた”というような話しはよく聞きますよね。ここでは感情のコントロールが成功しています。このメカニズムが理解出来ますか。
つまり、イマジネーションの働きが感情の暴走を押さえているのです。

実際、“こんなことをしたらどうなるのだろう”というイマジネーションが働くようになるだけでかなりの割合の事故や犯罪やイタズラが減るはずです。

そして、このイメージする能力を使うことが出来れば感情をコントロールすることができます。

家族のためを思ってぐっと怒りを抑えたお父さんはその怒りを“くそ、負けるもんか、頑張るぞ”という別の感情に転換することで怒りを抑えることが出来たのです。

つまり、実際には怒りの感情を押さえ込んだのではなく、イメージの働きで別の感情に転換したのです。このイメージ能力こそが感情をコントロールする能力なんです。感情で感情を抑え込むことは不可能ですが、他の感情に転換することで結果としてコントロールすることができるのです。そのためにイメージが必要なんです。

でも、今子どもも大人もそのイメージ能力が非常に低下してしまっています。ですから、みんなメディアが作りだしたイメージに振り回されるばかりで自分の心でイメージを創り出すことができません。

以前、ホームレスの人を殺した少年が、“ゴミを掃除しただけなのにつかまるとは思っていなかった”などと供述した事件がありました。この少年も自分の心でイメージすることが出来なかったのでしょう。

また以前、本当の人間の死体を処理して標本のように見せる展覧会をやっていました。写真で見るとまるでリアルな作り物のように見えます。そこには生命の痕跡が消され、物としてのみ存在している肉体が展示されていました。(私は写真を見ただけで見には行っていません。)

でも、私はついでにこの標本(人)が生きていた頃の写真と、履歴と、名前と、家族の写真も一緒に展示したらどうなるだろうか、とイメージしてしまいました。それでも多くの人が見に行ったでしょうか。

人のからだは物ではありません。でもその本当の姿はイメージを通して見ることが出来ません。そして、そのイメージ能力が低下した人にとっては生きている人間すら“物”になってしまいます。
だから簡単に殺して、簡単に分解して、ゴミ箱に捨てることが出来てしまうのです。

“生命を大切にしよう”などといくら叫んでも生命は見ることも触れることも出来ません。“生命”はイメージの中にしか存在することが出来ないのです。ですから、そのイメージ能力が低下した人には“生命”にリアリティーがないのです。それは、勇気や希望も同じです。みんなイメージの世界の中にしか生きることが出来ない存在なのです。

造形や表現の場でも子どもたちのイメージ能力の低下は深刻です。イメージ能力がないから全体や流れを理解することが出来ません。だからマニアルを欲しがるのです。
でも、自由な造形や表現はマニアルでは処理出来ません。それで“わかんない”、“できない”、“せんせいやって”ということになります。


また、イメージ力が弱くて全体や流れを見ることが出来ない子は論理的に考えることが出来ません。ですから当然学力も育ちません。

お母さん達も同じです。虐待の増加の背景にはイメージ能力の低下があります。“やってしまってから後悔する”などという人はイメージ力が乏しいのです。

また、イメージ力が弱い人はイメージに振り回されてしまいます。だから操作しやすいのです。そのため、“勉強しないと負け組になってしまう”というイメージを与えれば簡単に子どもを追い回して勉強を強制するようになります。
そして、特定のイメージに固執してしまいやすいので自分や他の人などに対する偏見を持ちやすくなります。また、妄想にもとらわれやすくなります。

じゃあどうして現代人はこれほどまでにイメージ能力が萎えてしまったのかと言うことです。文明は進歩してきましたが、このイメージ力に関する限り現代人は古代人や自然の中で素朴な生活をしている人たちには全くかないません。それはつまり、文明の進歩と共に心の中の世界がますます狭くなってきてしまっているということを意味しています。




そして、どうしたらそのイメージ力を育てることが出来るのかと言うことです。

ということで続きます。





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Last updated  2008.07.05 07:31:09
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