森へ行こう(心とからだと子育てと)

森へ行こう(心とからだと子育てと)

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

すべて、お楽しみさ… New! かめおか ゆみこさん

Profile

森の声

森の声

2012.01.17
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
今日は、昨日までの内容とつながっていると思うので、あるところから依頼されて書いている文章を転載させていただきます。後日、同じ文章を目にする人もいるかもしれませんがお許しください。

***************************

 心の感覚を育てるためには、心を込めて、焦らず、慌てず、結果を急がず、ゆっくりと、丁寧に、を心がけていることが必要だ、ということは前号で書きました。でも、このような説明では、理屈としては理解できても、具体的にはどうしたらいいのか分りませんよね。ということでもう少し具体的に書きます。

 このことを分りやすく説明するのにちょうどよい寓話があります。ヨーロッパで言い伝えられてきたお話だと思います。

 ある人が散歩の途中で石を運んでいる石工に出会いました。それでその人は「何をしているのですか?」と聞きました。
 するとその石工は「見れば分かるだろ、石を運んでいるんだ」と答えたそうです。

 帰りにまた同じ道を通ると、今度は違う石工が石を運んでいたそうです。
 それでその人はもう一度「何をしているんですか?」と聞きました。
 するとその石工は、誇らしげに「教会を建てているんです」と答えたそうです。


 最初の石工は手早く、合理的に石を運ぼうとするでしょう。もしかしたら倍の石を運ぶことで倍の賃金を要求するかも知れません。でも、「教会を建てている」と答えた石工は、手早さよりも心をこめ、丁寧に仕事をすることを心がけているでしょう。
 石を運んでいるだけの石工がやっていることは単なる「肉体労働」です。ですから、早く終わらせ、家に帰って一杯やることばかりを考えながら仕事をしているかも知れません。でも、「教会を建てている」と答えた石工がやっていることは永遠の世界とつながっている創造行為です。ですから、間違いなく自分の仕事に誇りを持って丁寧に仕事をしています。
 たとえ、その教会が出来上がった時には素敵な装飾が施され、その石工が運んだ無骨な石は見えなくなってしまっていても、その素敵な教会を支えているのはまぎれもなくその石工が運んだ石なのです。「教会を建てた石工」はそのことを知っています。ですからみんなが装飾ばかりを褒めても気にしません。

 そして、このようなことは、子育てにおいても同じなのではないでしょうか。お母さんは毎日食事や、洗濯や、掃除や、しつけに振り回されています。それは石工が重い石を運んでいるのと同じです。そんな状態のお母さんに「心を込めて、焦らず、慌てず、結果を急がず、ゆっくりと、丁寧に、を心がけて下さい」などといったら「何をばかなことを言っているんだ」と叱られてしまうかも知れません。また実際そんな心の余裕はないでしょう。
 でも、時々でもいいですから「私はこの労働を通して一人の人間を育てているんだ」と考えてみてください。お料理を作りながらでも、洗濯をしながらでも、「私は今子どもを一人前の人間に育てるために頑張っているんだ、私もこのようにして育てられたのだ」と考えて欲しいのです。それで仕事が楽になるわけではありませんが、自分が今やっている仕事の「意味と価値」は生まれます。そしてその「意味と価値」が生まれることによって、結果として「丁寧に」とか「心をこめて」という状態になるのです。さらには、精神的ストレスは減り、自己肯定感も高くなるでしょう。

 子育てが苦しいのは、ただ単に肉体労働がきついからだけではありません。そうではなく、会社などでの仕事に比べて今自分がやっていることの「意味と価値」が分りにくいからでもあるのです。だから、子育てや家事に簡単、便利を求めたり、多くの塾や教室に通わせて手早く育てたいと思ってしまうのです。子どもに多くを求めたり、子どもを比較したり、競争に追い立てるのも同じ理由からです。でも、そのような子育てをしている多くの人が、子どもが思春期を迎えるころになって初めて「幼児期の子育ての意味と価値」を知り、後悔するのです。でも、結果が出てから後悔しても遅いのです。
 現代人にとって労働は「お金を稼ぐ」ためだけにものになってしまっています。でも、ボランティアなどは「意味と価値」がはっきりとしているためお金をもらえなくても参加します。さらに、自分が頑張った結果が評価もされます。
 子育ては「無報酬」という点ではボランティアに似ています。でも、その「意味と価値」はあいまいです。ですから、やりがいがありません。そのため、すぐに目に見える結果を求めてしまうのです。
 なぜなら、成績が良くて、何でも出来て、お母さんの言うことをよく聞く「良い子」に育てれば、その努力をみんなが評価してくれるからです。また、「人間性」という視点を失ってしまった現代人は、そのように目に見える形の結果を得ることが出来ないと不安になってしまいます。
 でも、実際には子どもはそんな思い通りに育ったりはしません。それどころか、お母さんを困らせるようなことばかりやります。叱れば叱るほど余計に手に負えなくなります。また、他の子にも迷惑をかけたり、公共の場所でも騒いだしします。そして、見も知らない人から「お母さんのしつけがなってない」などと言われます。さらには、どんなに頑張っても誰も褒めてくれません。
 逆にだからこそ、「今、私は一人の人間を育てているんだ」と自覚することが必要なんです。その自覚がないと、「本当に大切なこと」を見失い、目先のことばかりに夢中になり、子育てはますます忙しくなり、ますます重労働になり、ますます苦しくなります。そして、子どもが思春期を迎える頃になって後悔するのです。







お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2012.01.17 07:12:51
コメント(6) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: