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たにたに@ ほ~ 「博士の愛した数式」って作風違うんだ。…
muMa @ おー! 奇遇だねぇー うちらは土曜日に行ったん…
さやか@ 奇遇! あら、私も日曜日上野公園にお花見にいっ…
muMa @ Re:なんかさー(01/26) なんでさー?

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July 5, 2008
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今日から部屋探しを始めました。

中目黒、祐天寺、付近で考えているので、とりあえず、
今日は中目黒の不動産屋さんに行ってきました。

大手、と、地元老舗不動産屋さんの2軒。
さすが大手はしっかりとした「教育」があるとみえ、接客がとても丁寧でこちらの要望を「はい。はい!」と笑顔でぐんぐん飲み込んでいく。

かたや、地元老舗不動産屋さんときたら、びっくりする接客を繰り広げる。
「すみません。入り口に貼ってある物件ってまだありますか?」
と扉から押し入ると、狭い空間におじいさんと館ひろしと同じくらいの年齢のおっちゃん2人が無関心そうにこちらに眼をやって、

と、面倒くさそうに答える。
「ないんですか?」
「ないよ、それ貼り変えるの面倒くさいでしょ。8月になったら貼り変えるの」
「じゃ、他の物件見せてください」
すると、ものすごく分厚いファイルをドカッと目の前に置かれて、それの説明もなしに
「これ。見たら」
とくる。
ひどくガラッパチかと思えば、「この物件はいいよ」「スリッパ置きにいくからその部屋に連れてってやるよ」と意味不明な理由で車を走らせてくれる。
窓全開の後部座席には風がびゅんびゅんと吹き込んで、汗でしなった髪の毛をはたはたと流して乾かせる。
「ふたりは結婚してるの?」
「いえ、まだです」

「もちろんですよ」
「いくつ?」
「24です。」
「若いわ。眩しいくらいの歳だわ」
「そうですか」

「知ってますよ」
「それなら完璧だわ。で、ふたりはどれくらいなわけ?」
「高校の頃知り合って、付き合うようになったのはここ3年くらいです」
「じゃあ、もうそろそろだな」
「なにがですか?」
「ふたつの意味で、もうそろそろだよ」
「ひとつは身を固めるってことですよね」
「ひとつはね。あとひとつあるだろ、もうそろそろなの」
「なんですか、それ?」
「わかんないならそれでいいよ」
「わかんないです」
おっちゃんとわたしがどうでもいい話をし、相方はわたしの隣に座り時折笑い、車は中目黒を走り、蛇崩の交差点を左折する。
コギレイなマンションの前に車を止め、おっちゃんは「そこの2階のドンツキ、206だから」そう言ってどこかへ行ってしまう。
「勝手に入っていいのかな」
「ダメだろ」
「あれ、鍵開いてるし」
206の前でそんなことしていたら、おっちゃんがやってきて「何やってんの、入りなよ」とわたしたちをうながした。
「この部屋は本当に縁起がいいんだよ」
おっちゃんはそう言った。
その部屋を後にして、祐天寺の駅を通り、駒沢通りを通り、中目黒に戻った。
おっちゃんの田舎、沖縄の話や、わたしたちの田舎、茨城の話、もうちょっと古くてレトロな物件を探してることを話した。中目黒に戻ってきて
「ほら、そこの部屋も見ていいよ」
と、中目黒駅近の物件も勧めてくれた。
「そこの3階のドンツキだから」
おっちゃんはそう言ってまたどこかに行ってしまった。
「おっちゃんさ、さっきからドンツキしか言わないよね」
そう言いながら相方と3階ドンツキの部屋のドアを開ける。やっぱり鍵はかかっていない。おっちゃんも来ない。ふたりで中に入る。
バランス釜のお風呂、キッチンの陰鬱さ、変な間取り、レトロさに笑う。
おっちゃんはいつまでも来ない。
「まさか、うちらを置いて店に戻ってるんじゃないよね」
そう言いながら店に戻るとおっちゃんがいた。
「またちょくちょく来てよ」
おっちゃんは笑顔でそう言った。

帰り道、
「おっちゃんが言ってた、『ふたつの意味でもうそろそろ』ってなんだったの」
と相方に聞いた。
「あれじゃん。別れるか、結婚するか、じゃん」





●劇場公開作品
「イースタン・プロミス」デヴィッド・クローネンバーグ @川崎109シネマズ

暗躍するロシアマフィアの男と、ある妊娠した少女の死に立ち会った助産婦の運命がロンドンの街角で交差する。ロシアマフィアが行う人身売買について綴られている少女の日記をめぐり、ふたりは大きな犯罪の渦に飲み込まれていく・・・。


ロシアの田舎、そこがどんな場所かわたしは知らない。けれど、荒廃し、さびしく、人の成長を歪ませる場所なのだろう。そんな場所で生まれた人間が、なんとかそこを抜け出して、大きな何かを、世界の全てを手に入れたい、そう思ってロンドンに集まる。しかし、忌み嫌うその場所=己自身から逃げようとすればするほど、深く、内蔵に潜るように深く、そこに入っていってしまう。
暗く、甘美に、腐る、世界。
ラストシーンがよかった。
(この映画はストーリーを書くと、ネタばれ激しく、映画を楽しめなくなってしまうので書けません。)
てか、ヴィゴ・モーテンセンがカッコよすぎるって話よ。



●本
「長い終わりが始まる」山崎ナオコーラ
山崎ナオコーラは、「著者近影はポールスミスの男物でそろえた」とか公言するような、「前に一緒に暮らしていた男の子」とか公言するような、イタイ人間で、そんなところが好きなのです。
そんなイタサ爆発だった前作はけっこう面白かった。しかし、この小説は面白くなかった。
彼女の企みも、挑戦も、やりたいことも、わかる。
だけど、「もう飽きたよ、その方法」と、少しうんざりしてしまいました。
まあ、「この文章きれいでしょ」「この文章雰囲気あるでしょ」みたいな、書きたいことがあるから書いてるような、書きたいことに書かされているような文章ではなく、手癖ですらすらさらさらと書いている小説家の小説よりはましだと思う。





明日は相方の家族との会食です。
ラウンド2のゴングが鳴り響いています。















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Last updated  July 6, 2008 10:26:01 AM
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