Laub🍃

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2011.05.06
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カテゴリ: .1次メモ
みはる つむる を守ってきた。
双子の共依存というやつだろうか。
ぼーっとしてる瞑を守ることが瞠の役目だった。
瞑も、そんなーともすればガキ大将気質な瞠のことを慕っていた。

けれど。

「君を守りたいんだ」
「…え……?いいの……?私なんかで…」
「君がいいんだ」


瞠には役目がなくなってしまった。
瞠は、周囲の色々な放っておけない人の面倒を見ることにした。
けれど執着されすぎたり、逆に当たり前のように受け取られたりしてその度に瞠は「お前の為になんかやるんじゃなかった」と思った。

けれど今ではあまり話さなくなった瞑がぼそりと「瞠が彼氏だったらよかったのになぁ」と言い、それを笑って流すたびに瞠は嬉しい気持ちを隠せず、ちょっとだけ目に水の膜が張った。

もともと一人で生まれてきたらよかったのだろうか。
けれど、すん、と鼻を鳴らしながら隣同士の布団に潜り込んで見る夢は、きっと二人でないと見られなかったと思う。

夜空に錆びたパイプに一度しか食べたことのない果物綺麗な硝子の器不思議な南国の花に牛の骨。
物言わぬ静物が目の前の小川を流れていく。
藍色の地面に浅黄色の小さな星々を呑んだ小川。
裸足にワンピースの姿で自分たちだけ白抜きになっている世界だったけれど、不思議と寒くも寂しくもなかった。

子供の二つの目は、きらきらと、片方は夢見るように、もう片方は楽しくて見開いて、二人だけの世界を見守っている。現実がどう移り変わろうと80%の感覚器を騙すこの夢だけはきっとこのままだ。





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最終更新日  2016.12.27 02:09:39
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